ゴックン、その口で食べるの? /Osaka発ドラァグドライブ、掛け違いの旅

Ann Noraaile

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【 旅と温泉グルメ しゃぶれどもしゃぶれども(番外編) 】

13: 犬と散歩する①

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 アンの住んでいる町は緑が多くて、中でも桜は近隣から花見に来るほど隠れた見所スポットがあったりする。
 春になると、そこかしこの堤で、桜が咲いて目を楽しませてくれる土地だ。
 しかし紅葉の季節になると、あの鮮やかな紅色は殆ど見つけられない。
 楓もみじなどの紅葉樹の数が圧倒的に少ない。
 あっても個人の植木でどこかの庭先でひっそりと葉を揺らしているという程度だ。

 紅葉と言えば、意外だけど、桜(ソメイヨシノ)も紅葉する。
 紅葉というより、どちらかというと黄色に近いのだが、、。
 それも銀杏のように、目に飛び込んでくる程の明るさはない。
 結果、春の派手やかさに比べて、秋の桜は、コスモスの花などにその座を奪われてしまう。

 アンの町の桜(ソメイヨシノ)は、並木が1kmほど続くボリュームがあるので、秋には桜色に代わって、薄紅黄金色がそれなりに存在感を持っている。
 「鮮やかさ」に迫れるのは、「ボリューム」なのかも知れない(笑)。
 ただし夜桜は幽玄で美しいが、桜の紅葉はいくらライトアップされても、ボリュームがあっても、モミジ等の紅葉には決して勝てない。


「あんた、いい加減にしぃやー、、さっきから何回おんなじこと、やってんねん。」
 桜堤に向かう途中なのだろうか、町中の小道を行く中年の叔母様が、やや怒りを含んだ口調で仰った言葉。
 ただしこの相手は、人間ではない。
 長年連れ添った夫の如く、叔母様にそうぼやかれてしまったのは、ありふれた雑種の中型犬だ。
 このワン君、散歩の途中、自らに宿る本能に従って、他の犬があちこちにマーキングした匂いを、ただ嗅いでいただけの話なんだけど、叔母様にすれば、その回数が「ひつこい」らしい。
 確かに1メートルごとに立ち止まられてクンクンされれば、イライラもするだろう。

 メディアなどに登場する犬君達は利口な子が多いが、街中で遭遇するような子は極めて「イヌイヌ」してるし(笑)、そんなに躾もされていない場合が多い。
 というかアンなどは、それが普通だと思ってるし、本当はそれくらいの付き合いが、犬にとっても人間にとっても良いのじゃないかと密かに思っている。
 この中年叔母様と、雑種犬の関係が正にそうだ。
 叔母様だって言っても「しょーない」と思っているけれど、思わず「あんた」とそう言ってしまうのだ。

 「ほんま、大阪やなー」と大阪人であるアンが、あらためて「大阪人」に感心する瞬間とは、こんな叔母様の独り言をなにげにキャッチした時だ(笑)。
 アンの実家にもラブラドールがいるが、完全に「犬」として家族の一員化しているので、この叔母様の気持ちは判らなくはない。

 実家でラブラドールを面倒見ているのは年老いたパパだが、パパにとってはどこまで行っても犬は犬のようだ。
 老人と老犬。
 犬に「服」を着せるような事は絶対にしない。
 その上で可愛がっている。

 犬の知能は人間で言うと三歳児ぐらいに相当するらしい。
 犬の喜怒哀楽を見ていると、確かにそれは頷ける。
 でもなー、匂いを嗅ぐのを「いい加減にしぃや」と言われてもなぁ、、。
 やっぱり犬としても困るだろうな(笑)。




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