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第7章 生者と死者を巡る受難と解放の物語
59: マネキン化する女装潜入警官
しおりを挟むここ数時間、俺はいったい何をしていたのだ?
俺は自分の行動について考えた。
本当に奇妙でぶっとんだ事をして来たに違いない。
徐々に記憶が蘇って来た。
確か俺は、女の人形になるという途方もない考えに没頭していた筈だ。
だがそんな気持ちは、もう、消し飛んでいた。
急に、今までのことが、俺の頭にフラッシュバックして来た。
門戸に、精液を顔中へぶっかけられる。
俺は手足を縛られているから、顔を拭くこともできない。
顔面は気持ち悪くって、そして、臭ってくる。
肌にねっとりとへばりつくその感じがたまらなく気持ち悪い。
ヌルヌル感だけでも反吐が出そうになるのに、嫌な臭いがする。
門戸の精液は臭いがきつい。
きっと精力がつくようなものばかり食べてるからだろう。
鼻にツーンとくる。
門戸は精液を顔にぶっかけておいて、それを顔面パックだ、と言う。
ごていねいにそれを顔中に塗りたくられて、拭いてもらえなくて、放ったらかしにされる。
手も足も自由を奪われているから、そのままで耐えるしかない。
飲まされる事もある。
口の中に、ドバッ、っと射精されるのだ。
手も足も縛られて抵抗できない状態で、のどの奥めがけて射精してくる。
両足を縛られて、閉じ合わせられないように縛られる、両手も背中で縛られて、そうやって縛られて弄ばれるのはしょっちゅうだった。
だが性交はなかった。
それがある夜、門戸が薄笑いを浮かべながらズボンの下を脱いで、そそり立った皮膚病を患ったような青黒い異様なペニスを俺に見せつけた。
『何?しばらく口では、しなかったけど、こいつ何か妙な病気になった?』
そんな不安と共に、同時にピンとくるものがあって、来る時がついに来たんだ、と俺は覚悟した。
初夜を迎えるんだぞ、どんな気分だ? といった調子で、いつものように言葉で嬲られながら、とうとう門戸に入れられてしまった。
俺のアナルは抵抗したが、それはやはり本来の男の抵抗ではなかった。
ようはそれを突き入れる側の男からすれば、気持ちが良く、相手が喜んでそれを受け入れたという事になる。
だが、その時の本当の問題は、そのペニスが門戸の腰に付けられたとても良くできたディルドーだったという事実だった。
しかもご丁寧な事に、それは半分腐乱した死人の陽物を現したモノだったのだ。
門戸の本当のペニスは、そそり立った死人のペニスが生えだしている人工皮膚パンツの股間の谷間の下で、蚯蚓腫れのような大きなテントを張っていた。
死人のペニスの感触は、今でも忘れられないし、きっとこれからも忘れることはないだろう。
冷たくて硬いものが、俺の体内に入ってくる。
もちろん、本物の死体の勃起したペニスなんてあるわけもないし、想像も出来ないが、ソレは確かに門戸の股間にあったのだ。
おぞましい、嫌だ、やめてくれ、だが俺は縛られていたから抵抗も何もできない。
でも、頭の醒めたところでは、これが俺の運命なんだ、と考えていた。
門戸とは、いずれアナル性交するのは明らかだと思っていたし、そこで俺は優位に立つんだと心の準備をして来たわけだが、もしかすると、同時に何処かで門戸に敗北してしまう自分自身も予想していたのかも知れない。
あれは理屈じゃなく、皮膚感覚から来る触感めいた予感だった。
門戸が腰を使って責めたてて来ると、あそこの中を硬いもので摩擦される感触がはっきりとわかった。
そして、それはお腹の奥を突き抜けて、脳天にまで響くような感じだった。
まさに内臓を貫かれてる感じだった。
俺の「生」が、門戸の「死」のペニスで犯されるのだ。
辛いとか、おぞましいとかを越えてしまってて、知らず知らずのうちに涙さえ出てしまった。
しかもその死人の偽ペニスには、放出する仕掛けがまであった。
俺は死者のペニスで生で入れられ、中出しされたのだ。
射精されたのが、あそこの中の皮膚感覚ではっきりとわかった。
死より冷たい精液を噴射されたのがわかった。
その瞬間、不覚にも自分が最高に気持ちよく射精した時の記憶がかぶさって、まるで俺は絶頂に達して射精したような錯覚に陥り俺はのけぞって呻いてしまったのだ。
・・・そうだ、そうなんだ。
そちらの忌まわしい記憶こそが、俺のリアルなんだ。
こんなマネキンドール化は、何かの間違いなんだ。
俺の頭は、ここ最近で最もクリアーな状態になっていた。
突然、俺は自分自身に、俺が何をしていたかを思い出した。
あの変な液体を飲んで、自分自身で自分をこの姿勢に固定したのだ!
俺はこの奇妙でいやらしいマネキンスタンドを降りなければならなかった。
この女物の服を、そしてスーツを脱がなければならなかった。
こんな事は、お笑いぐさの回り道だ。
俺は足を動かそうとして、お尻にポールが刺さっていることに気づいた。
そして腕は固く、ぎこちなく、動かすのが困難だった。
俺は靴に手をやろうとしたが、屈む事ができなかった。
だが自分の体がこんなに硬くなっていなくても、屈む事はできなかっただろう。
なぜならウエストを固く締めるコルセットとお尻のポールが邪魔をしていたからだ。
体の力を抜くと、スーツと俺の体は自然と、元の女らしいポーズに戻り始めた。
・・・くそっ、これを誰が作ったんだ。
発想は大人の玩具みたいなものなのに、出来が異常に良い。
頭の悪い奴が、作れるものじゃない。
ポールが尻の穴から本当に抜けない!
俺はパニックになりかけた。
俺は足を動かそうとした。
だがブーツは台にしっかり固定されていた。
俺は自分の足元を見下ろした。
いつのまにかブーツから足枷、土台へと通じている鎖が、台の中一杯まで巻き上げられていたのだ!
俺は自分の足を、靴から引き抜こうとした。
だがブーツなので、どうしても不可能だった。
それにブーツのサイズも小さめだったのだ。
俺はポールとディルドーの継ぎ目の所に何とか手をやった。
自分の体を持ち上げようとしたが無理だった。
俺はスタンドに乗ってポールの上に体を合わせた時ディスプレイスタンドからカチカチなる音を聞いていた。
そして俺の体は、その時、上に向かって押し上げられたのだ。
俺はブーツで足を更に固定され、肛門の棒で陳列台に固定されていた。
何でこんな事になった?
俺が眠っている間に、誰かが何かをしたのか?
俺は迂闊にも、このブーツを履く時、脱ぐ時の心配など何もしていなかった。
ブーツが駄目なら、せめて肉色スーツを脱ごうと、首の後ろに手を伸ばした。
指が首の後ろをまさぐると、驚愕した。
元はもっと大きかったスーツの着用口は、今は10円玉ぐらいの大きさにまで縮んで薄くなり、おまけに硬化していたのでドールスーツごしの指には、ひっかかりすらしなかった。
俺は次に、スカートを脱ごうと試みた。
だがロックされた留め金は、この指では到底はずせそうになかった。
固く合わさったジャケットのスナップボタンも同様だった。
俺は、誰かに助けを求めようと、マウスピースの嵌ったドールマスクのしゃべりにくい口で叫び始めた。
だがその唇はエロチックに丸く無防備に開いているにもかかわらず、内部のマウスピースのポリマー素材が口中の水分を吸って膨らみ、くぐもった声しか出なかった。
スーツで硬化した関節は固かった。
今と違うポーズを取ろうと動かすだけで、力を必要とした。
そして疲れて脱力すると、又、スーツは元のポーズに戻ろうとした。、
俺はのたうちまわって、自分自身をひっくり返そうとした。
だが無理だった。
バランスを崩そうと体を素早く揺らす事自体が、不可能だったのだ。
とうとう暴れるのを諦めて鏡を見た。
その姿は目が覚めた時から、何も変わっていなかった。
フェミニンなリアルドールのままだ。
寸分も動くことが、できなかった。
鏡を見つめ続けていた。
事態を打開しようにも、取れる動きはほとんどなかった。
ヤバイ、本当にやばい。
なんという事態だ。
このままでは、衰弱発狂してしまうだろう。
この状態を打開してくれるのは、悔しいが、門戸照人しかいない。
門戸はいつ帰ってくるか分からず、もう一人、この別荘に潜んでいる筈の人物は、俺が人形になってしまう事を舌なめずりしながら望んでいる。
俺は泣きたかった。
だが、それすらできなかった。
突然、バイブレーターが動き出すのを感じたのだ!
やめてくれ!
こんな時に、そんなものは欲しくなかった。
だが自分の意志で、ディルドーの動きを止める事はできなかった。
快楽と振動が俺の全身をつらぬいた。
俺のアナルはもう完全に開発済みだ。
刺激は、硬化した肉色スーツの股間部に押さえつけられた亀頭にも与えられ続けている。
そして俺は、生命にかかわる恐怖に晒されなからも、オルガスムが近づいているのを感じていた。
俺は絶頂に達して果てた。
だがもし仮に周りに人がいても、俺がイッたとは誰もわからないだろう。
俺の筋肉は、ほとんど動かなかったからだ。
時間の経過と共に、さらに動きづらくなっているような気がする。
少し動くだけで、全身の筋力を必要とした。
そして脱力すると、全てが元のマネキンドールの定位置へと戻って行くのだ。
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