したっぱの日常

きりたんぽ

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第1章

起動

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『ではでは、首飾り型魔道具であるところのキーの説明をするのです。まず、鍵には大雑把に分けて3種類があるのです。1つ目はあっきーの持っているゲストキー、これはある程度の要項を満たせば誰にでも与えられるものですが、機能制限がガッツリかかっているのです。身分証が主な目的なのです。次に通常のキーです。これを持っていれば城の出入りは自由なのです。機能も通常のものは全て解放されているので、便利な携帯型情報機器としても重宝するのです。最後に、幹部以上が持てる上級キーがあるのです。通常のキーよりも機能は増えるのは確かですが、解放される機能に関する情報には閲覧制限がかかっているのです』

「あ、ああー。じゃあ、このゲソキー、の機能はあんまりないんだね。こどもケータイとガラケーとスマホみたいな感じかな」

『ゲソ…?』

 不思議そうに首を傾げているチュレムちゃん。ケータイなんて知らないから当然か。
 この世界はファンタジー風の世界みたいだから、機械文明の話は通じないと見たほうがいいかもしれない。

 機能制限がついているといっても身分証として使えるくらいだから他にもちょっとした機能とか無いんだろうか。

 ゲソキーの使い方についても訊いてみた。

『ゲソゲソ! 把握したのです。「ゲストキー:試金石26番」の登録名を「ゲソ」に変更…完了です』

 何かが変更されてしまったみたいだ。
 な、名前の変更?だけなら大丈夫だよね…。

『さあさあ、ゲソの起動方法は言葉で起動する方法と魔法で起動する方法があるのです。魔法を使う方法は魔法の素養がある者が訓練した結果できるようになるのです。そんな玄人向けな方法はまだあっきーには早いので、言葉で起動する方法を教えるのです。言葉で起動するには「ゲソ起動」と唱えるのです。コツはくっきりはっきりと発音することです。さあ、ボクの後に繰り返すのです! 「ゲソ起動!」』

 ここでさっきの名前が必要になるのか。
 なぜかわからないけれど妙に恥ずかしいぞ。なぜだ!

「コホン…ゲソ、起動」

シーン

『……』

「………」

『…まだまだ! 勢いが足りないのです! さあ、もっと大きな声で繰り返すのです。ゲソ、起動ーー!』

「げ、ゲソ、起動ーー!!」

『もっともっと! 腹の底から気合をいれるのです! ゲソ、起動ーーーー!!』

「っ! ゲソ、起動ォォオオーー!!!」

オォー……ぉー……ー

 廊下に木霊する俺の声だけが残っている。

 恥を捨てて大声を出したというのにゲソの変化は一切ない。

「…~~!! なんっっにも起こらないじゃないか! 俺、今、超恥ずかしいんだけど! 穴があったら入りたいんだけど!」

 顔がすごく熱いよ! 今なら頬で目玉焼きを作れそうだ。

 チュレムちゃんはふよふよと周囲を飛び回りながら矯めつ眇めつゲソキーを観察している。

『ハリハリ! 扉機関と宝玉部の接続に問題発見です。できたての新品を直接持ってきてたので絶縁魔術が入ったままになっていたのです。絶縁魔術が入ったままだとボクしかゲソに接続することができなくなるのです。ボクはとても優秀なので起動していない魔道具にすら干渉することができるのです。ボクの能力を悪用してしまえば『王国』中の魔道具を好き放題にできるからボクを狙う輩もいるけれど、そんな輩はみんなヴィー様の監視網で記録を辿られて捕まってしまうのです。しかも、』

「ま、待って! 話がどんどん脱線していってるよ。その、絶縁魔術?っていうのをなんとかすればいいんだね?」

『アイアイ。正常に起動できるように回路を繋げばすぐに動くようになるのです。うぇいたりろー…っと。絶縁魔術を解除したので、もう一度大声で叫べば今度こそ起動するのです!』

「またさっきのをやるの!?」

『ウィウィ! さあ、お腹の底から!』

「っ、ちくしょおおおおおおおおー!」














『おけおけ。バッチリ起動しているのです』

「……ぽげぇ…」

『ではでは、早速使い方の説明をするので聴くのです。通常、キーには大きく分けて5つの初期機能があるのです。1つ目は自己閲覧機能です。自分についての情報を閲覧することができる機能で、自分の能力アビリティ技術スキルを確認できるのですが、ゲソキーでは凍結されていて使えないです。2つ目はあっきーにとっては一番重要な身分証明機能です。その名の通り自分の身分を証明するために必要なもので、「その魔道具を支給された正当な持主であること」を保証する機能です。3つ目は通信機能です。本来ならキーに登録された者同士が通信する機能ですが、あっきーのゲソキーでは送信・発信機能が凍結されているので利用するのは受信・着信機能です。通信機能の中には登録しあった相手を確認できる機能もあるので活用するといいです。4つ目は交換機能です。通常はキーの魔道具の真骨頂とも言える機能なのですが、だからこそゲソキーでは凍結されているので全く使えないです。説明も飛ばすので、そろそろ起きて欲しいです』

「…はっ」

 高速でつらつらと続く説明にうつらうつらと半分以上意識が飛んでいた。
 思いっきり叫んだところまでは覚えているんだけど、その後からの記憶が曖昧だ。

 確か、首飾りの黒石から、水色と緑色の間っぽい色をした半透明の板のようなものが浮かびあがったんだ。
 板には白い文字と灰色の文字列がそれぞれ四角形の中に書かれている。
 一番上には1つだけ四角形に囲われていない単語があり、そこには「メニュー」とはっきり書かれている
 文字はちゃんと読めるのか、とホッとした、というところで怒涛の説明の洪水が流れ込んできたんだ。

 叫んだときまではあつあつだったほっぺたが石床のせいでキンキンに冷えてしまっている。

 俺はいつの間にか床に倒れ込んでいた身体を起こして続きを促した。

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