転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

文字の大きさ
84 / 410
本編 幼少期

77

しおりを挟む


 ルーカスは空中で一回転して、綺麗に着地した。


(うわぁ、粉々だ)


「テオ殿下! 申し訳ございません、力を込め過ぎてしまいました! 腕は大丈夫ですか?」


「問題ない」


 パーシヴァルは顔を真っ青にして、ルーカスに尋ねるが、彼の顔は何事も無かったかのように無表情だった。
 その為、他の団員達は何があったのかが分からず混乱する。


「((コソッ…どういう事だ? 副団長は何故あんなに焦ってるんだ?」


「((コソッ…さあ。殿下は何ともなさそうだぞ」


 アレクサンダーはパーシヴァルが焦っているのを見て、訓練を締めようとする。


「ルーカス殿下、念の為後で医務室に向かいましょう。殿下の技量を見る事が出来た。
 本日の訓練はここまで! 直ちに執務へ戻れ。解散!」


 アレクサンダーがそう言うと、団員達は即座に騎士棟へ戻って行き、訓練場は皇子達とアレクサンダー、パーシヴァルの6人だけになった。


「ルーカス、腕を見せろ」


 エドワードがそう言うと、ルーカスは腕をそちらへ向けた。


「っ!? 何が問題ないだ。骨が砕けてるじゃないか! ウィリアム、頼む」


「はい、兄様」


 ウィリアムがルーカスの腕に手を向けて、光の魔法を発動する。腕が光り、少し温かくなった。


「これでもう大丈夫だよ」


「ありがとう、兄さん」


 ルーカスが笑顔で言うと、パーシヴァルは驚いた顔をする。そしてアレクサンダーの方を見ると、「察せ」と言われた。


「で、ルークに言うことあるよね?」


「本当に申し訳ないです、殿下」


「本当だよね。普通手加減するよね? ルークはまだ6歳で、君の半分程しか背も無いのに。吹き飛ばすとか有り得ないよね?」


 ウィリアムが笑顔でパーシヴァルを詰める。


「ほんとにすんません」


「ルーカス、君もだ。一瞬気を抜いただろ。何故だ?」


「ユンに攻撃した後、右手首に違和感があって、それに気を取られてしまったんだ」


「ああ、右手首は骨にヒビが入っていた」


 それを聞いた皆はルーカスの体の脆さを心配した。


「そんな顔で見ないでよ。確かに僕の体は脆いけど、ユンの体だっておかしいからね? あの骨の硬さは異常だよ」


「まあ確かに、パーシヴァルの体も異常ですね」


「でしょう?」


「はい。それに興奮して、6歳の方を相手に手加減を忘れて攻撃を打ち込むなど頭の方も異常でしょう」


「悪かったって団長!」


 パーシヴァルは申し訳なさそうに謝る。


「ウィル兄さんに魔法をかけてもらったから僕はもう大丈夫だよ。2人はエド兄さんと父様の所に行って、コンの事を報告しないと」


「そうだな。このまま行くぞ3人は先に帰っていろ」


 そう言うと、エドワード達はアーサーの執務室へと向かった。
 ルーカス達は、東棟へと向かって歩く。


「ルー、凄かったわ! 飛ばされた時も一回転して綺麗に着地していたわ!」


「ふふふ、ありがとう」




 エドワード達はアーサーの執務室に入り、コンのことを話す。


「その者は今何処にいる?」


「騎士棟の地下牢に拘束しております」


「その者は、5年の懲役と小金貨1枚の罰金、そして騎士団除名に課す。お前達2人はエドワードの指示通り行え」


「「承知致しました」」


「それから陛下。ルーカス殿下の事なのですが」


「何かあったのか?」


 アレクサンダーはルーカスとパーシヴァル対人戦等の事を話す。


「なっ! 6歳の子相手に手加減を忘れる奴があるか! お前は始末書をもう1枚書いて来い!」


「申し訳ございません!」


「その事もなのですが……」


 アレクサンダーが少し言いづらそうに言う。


「他にも何かあったのか?」


「殿下は、痛覚がとても鈍いのではないでしょうか? 骨が砕けているのに、痛がる様子が微塵も感じられませんでした」


「俺もそう思います。拳が殿下の腕に当たった時、骨の砕ける音がしました。その時の殿下の表情には苦痛は無く、少しの驚きしかありませんでした」


「それから、ルーカスがパーシヴァルに攻撃した後、右手首に違和感があったと言いました。その右手首の骨にはヒビが入っていましたが、ルーカスは痛みではなく違和感があったと言ったので少し疑問に思いました」


「痛覚が鈍いというより、無いに等しいと考えられるな」


「はい」


「分かった。ルーカスの方の始末書は明日の巳の刻までに出せ。ユンはもう下がって良い」


「承知致しました。失礼致します」


 ガチャリ


「エドワードはウィリアムとセバスを、アレクはフレディとディムを呼んでこい」


「分かりました」


「分かった」


 2人は執務室を出て、皆を呼びに行った。
 皆が来ると、アーサーは今日、ルーカスにあった事を話した。


「痛みを感じないか」


「ああ。もしルーカスが怪我をしている事に気付いたら、すぐに手当してやってくれ。そのままの状態にしておくと悪化するからな」


「分かった」


「分かりました」








しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

寄るな。触るな。近付くな。

きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。 頭を打って? 病気で生死を彷徨って? いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。 見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。 シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。 しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。 ーーーーーーーーーーー 初めての投稿です。 結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。 ※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

転生したら嫌われ者No.01のザコキャラだった 〜引き篭もりニートは落ちぶれ王族に転生しました〜

隍沸喰(隍沸かゆ)
BL
引き篭もりニートの俺は大人にも子供にも人気の話題のゲーム『WoRLD oF SHiSUTo』の次回作を遂に手に入れたが、その直後に死亡してしまった。 目覚めたらその世界で最も嫌われ、前世でも嫌われ続けていたあの落ちぶれた元王族《ヴァントリア・オルテイル》になっていた。 同じ檻に入っていた子供を看病したのに殺されかけ、王である兄には冷たくされ…………それでもめげずに頑張ります! 俺を襲ったことで連れて行かれた子供を助けるために、まずは脱獄からだ! 重複投稿:小説家になろう(ムーンライトノベルズ) 注意: 残酷な描写あり 表紙は力不足な自作イラスト 誤字脱字が多いです! お気に入り・感想ありがとうございます。 皆さんありがとうございました! BLランキング1位(2021/8/1 20:02) HOTランキング15位(2021/8/1 20:02) 他サイト日間BLランキング2位(2019/2/21 20:00) ツンデレ、執着キャラ、おバカ主人公、魔法、主人公嫌われ→愛されです。 いらないと思いますが感想・ファンアート?などのSNSタグは #嫌01 です。私も宣伝や時々描くイラストに使っています。利用していただいて構いません!

嘘はいっていない

コーヤダーイ
BL
討伐対象である魔族、夢魔と人の間に生まれた男の子サキは、半分の血が魔族ということを秘密にしている。しかしサキにはもうひとつ、転生者という誰にも言えない秘密があった。 バレたら色々面倒そうだから、一生ひっそりと地味に生きていく予定である。

王道学園のモブ

四季織
BL
王道学園に転生した俺が出会ったのは、寡黙書記の先輩だった。 私立白鳳学園。山の上のこの学園は、政財界、文化界を担う子息達が通う超名門校で、特に、有名なのは生徒会だった。 そう、俺、小坂威(おさかたける)は王道学園BLゲームの世界に転生してしまったんだ。もちろんゲームに登場しない、名前も見た目も平凡なモブとして。

悪の策士のうまくいかなかった計画

迷路を跳ぶ狐
BL
いつか必ず返り咲く。それだけを目標に、俺はこの学園に戻ってきた。過去に、破壊と使役の魔法を研究したとして、退学になったこの学園に。 今こそ、復活の時だ。俺を切り捨てた者たちに目に物見せ、研究所を再興する。 そのために、王子と伯爵の息子を利用することを考えた俺は、長く温めた策を決行し、学園に潜り込んだ。 これから俺を陥れた連中を、騙して嵌めて蹂躙するっ! ……はず、だった……のに?? 王子は跪き、俺に向かって言った。 「あなたの破壊の魔法をどうか教えてください。教えるまでこの部屋から出しません」と。 そして、伯爵の息子は俺の手をとって言った。 「ずっと好きだった」と。 …………どうなってるんだ?

会計のチャラ男は演技です!

りんか
BL
ここは山奥に作られた金持ちの学園 雨ノ宮学園。いわゆる王道学園だ。その学園にいわゆるチャラ男会計がいた。しかし、なんとそのチャラ男はまさかの演技!? アンチマリモな転校生の登場で生徒会メンバーから嫌われて1人になってしまう主人公でも、生徒会メンバーのために必死で頑張った結果…… そして主人公には暗い過去が・・・ チャラ男非王道な学園物語

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

処理中です...