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本編 幼少期
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しおりを挟むラルフとメーリンは 、その話を聞くと言葉を失った。
「……まじかよ。皇族がいるのに喧嘩売るとか有り得ね~」
「しかも公爵家の人間に向かってなんて事言ってんだそいつら」
「だから言いたくなかったんだよ。人が侮辱された事を安易に言うべきでは無い。気分の良い話でもないからね」
2人は少し申し訳なさそうな顔をした。
「悪かったな。あんたが話したくなさそうだったのに無理矢理聞いて」
「私も乗っかって悪かった」
「良いよ。ティファニー達も特に気にしていないみたいだし。まぁ外ではこの話はしないでね」
ルーカスがそう言うと、2人は真剣な顔で約束した。
やっぱり皆、真面目で優しい子達だな。でも空気が少し暗くなってしまった。
「そうだ」
ルーカスは何かを思い付いたように、エドワードの所へ行った。
「どうした」
「エド兄さん、琴を弾いてもいいかい?」
「それは良いな。まだ私達も聞いた事がないからな。楽しみだ」
「ありがとう」
ルーカスはモニカに言い、少し低めの椅子と机を運んでもらった。
シュッ
椅子に座り亜空間から古琴を出すと、音の確認をする。
「見たことない楽器だな」
「東洋の楽器だそうです」
「そうなのか」
東洋の文化はナサニエルだけでなく、他の国にも余り広まっていないらしい。
そのため、皆は古琴に興味津々のようだ。
「では、弾いていくね」
ルーカスはそう言うと弦を弾き、少し微笑むように笑う。その音色は川に流れる水の様に、時には優雅に響き、時には激しく流れる。
(……凄い。心地良くて心が温まるわ。それに……)
(凄まじいなこれ。何処の楽師の演奏よりも釘付けになる)
皆は、ルーカスの演奏に声も出ない程釘付けになる。
ルーカスは凄く楽しそうなとても優しい微笑みで演奏していく。
綺麗な音色が響き、最後の1小節を弾き終えた。
すると、皆の拍手と歓声が上がる。
「すげ~な! 言葉が出てこなかったぞ」
「本当にとても素敵な演奏だった」
「それにルー様の演奏するお姿は、まるで女神様の様にお美しかったです!」
「ふふふ、ありがとう」
ルーカスは凄く嬉しそうな笑顔でお礼を言う。
「女神でいいのかよ。お前は一応男だろ」
「一応って……」
「確かにかっこいいって言われたいけど、お世辞よりも心からの言葉の方が凄く嬉しいからね」
「確かに、狐や狸は何処にでもおりますからね」
「そうですね。人間は何かと媚びを売るものですから」
アレイルとノーマンが笑顔でそう言うと、皆は少し微妙な顔をした。
(この2人意外と辛辣なんだね)
「そろそろ席を移動するか」
「もう1周まわったぞ」
「兄様、自由に座るのはどうでしょうか」
「そうだな」
「((コソッ…姉さん、良い事思いついたんだけど……」
「((コソッ…成程、良いわね」
ルーカスとソフィアは何かを企むように話した後、エドワードの方へ向かった。
「((コソッ…エド兄さん、この庭園の少し奥に噴水があるんだよ」
「((コソッ…そこにティファとお二人で行ってきてはいかがですか」
「っ! はぁ、私は優秀な弟達を持ったようだ」
エドワードは少し恥ずかしそうにそう言うと、ティファニーを誘い2人で噴水の方へ向かった。
他の皆はそれぞれ好きなところで固まって話をする。ルーカスは側近の3人と話している。
「キャシー、君の共鳴の魔法は魔力を登録しておけば、遠くにいても魔力を流して位置を知ることができるんだよね?」
「はい。会話をする事も可能です」
「そしてエイルは、気配や位置が分かればその場所に転移する事が出来る」
「その通りです」
「では、僕とエイル、リヴの魔力を登録してくれないかな?」
「畏まりました。では私に魔力を流して頂けますか?」
ルーカス達はキャシーに魔力を流し、登録してもらった。
「私と1本の線で繋がっているイメージで魔力を流してください。そうすると共鳴できます」
「五感を共鳴するのか?」
「そうよ。聴覚や視覚だけを共鳴することも出来るし、他にも感情や痛覚も共鳴出来るわ」
「キャシー、共鳴する時は必ず安全な時とは限らない。痛覚だけは絶対に共鳴しない様にしなさい」
ルーカスが真剣な表情で言うと、キャシーが答えた。
「肝に銘じておきます」
「うん。それにしてもエイルとキャシーだけ普通に話してずるいよ。僕には堅苦しい敬語なのに」
「少しずつ崩していってますから!」
「ふふ、うん」
「分かっていて言いましたね」
ルーカスがいたずらに笑って謝る。
「余りからかわないでください」
「ふふ、そうだ、君達5の月の7の日から3日程、空いているかい?」
「学園も長期休暇に入っておりますので予定はございませんが、どうかされましたか?」
「オスカー領で買い物をしたいから来て欲しいんだけど良いかい?」
「大丈夫ですよ」
「予定を空けておきます」
「ありがとう」
5の月に4人で買い物に行くことになった。エドワード達が戻ってきた後、少し話してからお開きとなった。
「今日は楽しかったわね」
「うん。来年も楽しみだね」
側近達のお茶会は毎年恒例の行事となった。
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