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本編 幼少期
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あれから1ヶ月が経ち、5の月に入った。
少し前に、リアムから書簡が届いた。内容は6の日にこちらに戻って来るということ。そして、戻ってくる時にリヴァイ達も一緒に来るという事だった。
確かエルシー従姉さんとキャシーは同じ学年だったね。それで一緒に帰ってくることになったのかな。
その為、オスカー邸は最近客間の準備で大忙しだ。
そして6の日のお昼。ルーカスはグレイと音の魔法の鍛錬をしている。
「素晴らしいですね。2ヶ月で全てを覚えてしまわれました」
「まあ、もう少し練習をしなければならないけどね」
「いえいえ、完璧と言っても過言ではございません」
「ありがとう。リアム従兄さん達は何時程に帰るかな?」
「夕方頃に帰って来ますので、夕食はご一緒できると思いますよ。もし宜しければ、夕食時に殿下の演奏をおきかせ願えませんか?」
「では、弾かせてもらおうかな」
「折角ですから、『癒精音(ゆしょういん)』をお弾きになられてはいかがでしょう」
「それは良いね」
癒精音は字のごとく精神を癒す曲だ。リアム達は学園での勉学の後馬車に乗って戻ってくる為、少なからず精神的にも疲労を感じているはず。そう思い、グレイが提案した。
ルーカスは何度か癒精音の練習をした後、部屋に戻った。夕方になると、モニカがルーカスの部屋の扉を叩いた。
「セス様方がもうすぐお戻りになられるようで、広間にお越し頂きたいとのことです」
「分かった」
ルーカスはモニカを連れて広場に向かった。広間に着くと、グレイとオリヴィアが待っていた。門の方にはマイケルとシエルがいるようだ。
「丁度馬車が到着したようです」
グレイがそう言うと、広間の扉が開き、マイケル達が戻ってきた。後ろには、リアム達やリヴァイ達もいる。
マイケルが付き添っていた侍従長に下がるように命じて使用人達は全員持ち場に戻って行った。
「ただいま戻りました、お祖父様、お祖母様」
「おかえりなさい、リアム、エルシー」
「ノア様、ようこそお越し頂きました。ケイ殿、スージン嬢、久しぶりだな」
皆が挨拶を一通り終えると食事をする事になった。
リアム達はグレイ達と話して、ルーカスはリヴァイ達と話している。
「リヴ、学園の剣術大会で3位に入ったんだって? 初めての大会だったのに凄いね」
「いえ、私は剣術大会にしか出る気が無く、剣の鍛錬を優先しておりましたので」
「なら、今年は体術と魔法の大会は参加しないんだ?」
「はい、来年以降も出る事はないと思います」
「そうなんだ。それでもやはり凄いことだよ。中高等部の男子生徒の殆どが参加したんでしょう? それで3位なんだもん!」
「っ、ありがとうございます。殿下は、何故他の競技に参加しないのか、お聞きにならないのですね」
(単に、私の事に興味が無いだけかも知れないが)
「ん? だって、剣術大会に出て3位になったんでしょう? 他の大会に出るなんて意味ある?」
ルーカスは不思議そうに首を傾げて言った。
「はははっ! 確かにルーカス殿下の言う通りですね。リヴ、お前は剣術大会に出たんだ。強制参加でも無いのに理由を尋ねてくる教員や生徒の方が変だな」
ムハンマドは氷の魔法を得意とする家系だが、リヴァイは氷よりも炎の魔法の方が得意らしい。その為、周りの人間は魔法の大会に出ない事に対し、面白おかしく噂をしたり、リヴァイに尋ねたりしてきたと言うのをアレイルから聞いた。
茶葉を買いに行った時のリヴの魔法は、上手だったから剣術大会以外に興味が無かっただけなんだろうな。
少し談笑をしていると、グレイから琴を弾こうと言われた。
ルーカスは琴を出して、癒精音を弾いていった。
「癒精音ですね? もう習得されたとは、流石はルーカス殿下ですね。心が癒されました」
「お兄様の言う通りです。それに、古琴というのはこんな音色だったのですね。重みのある独特な音色が心地良さを増幅させているようです」
「ありがとう。おじいちゃんは教え方が上手だからすぐに上達出来たよ」
琴を弾き終えると、また少し談笑をする。
「ねぇ、リヴ達は本当に長期休暇の間ずっとこちらにいるのかい?」
エドワードからの手紙に、リヴァイ達は側近の為ルーカスが城を離れている間は、付き添わせる方がいい。その為長期期間の間はオスカーで過ごすという内容が書かれていた。
「はい。エドワード殿下から私は行けないから、ルーカス殿下の事を頼むと言われたんです」
「どこへ行くにも同行しろと言われました」
「…そう、兄さんに何を頼まれたんだい?」
ルーカスが真顔のまま尋ねると、アレイルとキャサリンは視線を外した。
まぁ、傷の具合を見てきて欲しいと言われたんだろうな。
ルーカスはリヴァイに尋ねる。
「兄さんに何処へ行くにも同行しろって言われたんでしょう?」
「はい」
「なら、一緒に湯浴みしようか」
「「……え??」」
アレイルとキャサリンが意味が分からないという顔をする。
(殿下は傷の具合を確認してきて欲しいと言われた事に気づいておられるだろう。傷を見せて欲しいなど言えるはずもない)
「はい、ご一緒させて頂きます」
「「……は?」」
「エイルも一緒に入る?」
「……遠慮します」
(エドワード殿下の頼みはリヴに任せよう)
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