転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 幼少期

105 sideプレストン伯爵 (後半から)

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 前皇帝の幼少時代から、プレストン伯爵家、ウォーカー伯爵家、クレスウェル子爵家、そしてイーストマン男爵家は中立派を装った皇帝派である。

 そしてその4家の当主はアーサーの命により、謀反を考える反対派の組織に潜入し、情報を集めていた。

 しかし、この4家は建国後千年以内に出来た今では数少ない家門で帝国内でも有力な家だった。その為、組織内での立場は弱く信用も得られていなかったのだった。


 今日は4人で集めた情報を共有し、アーサーへの報告の予定を立てていた。その時にルーカスと出くわしてしまったということだ。


「父上への報告が直接会ってのものならば、私が集めた情報も一緒に報告して欲しい。今日私と出会った事を報告してくれて構わない」


「分かりました」


 ルーカスは、プレストン伯爵達に今日集まった情報を提示した。


 ルーカスはまず、今日話し合いの席にいた者達の名前を教えた。
 次に、干ばつによって生まれた利益の事を伝えた。
 そして、病を広めようとしていることを伝えた。


「キャンベルの他にも、商業が盛んな領の者がいる可能性がある」


「そうですね。農業が盛んな領の者もいる可能性がありますね」


「病の事だが、あの方とやらが用意した物を使って引き起こさせるようだ。その物が何かまでは分からなかった。広める場所は西の国境付近のライリー領からで時期は来年の1の月だそうだ」


「ライリー領ですか!?」


 イーストマン男爵が驚いた声を上げた。他の3人も心底驚いた表情を浮かべている。


「国境城塞のある領地に病なんか広めてしまったら、他国に侵略される可能性もあります」


「ああ。そんな事も考えつかないんだろう。辺境と言えば国境警備を担い、国境城塞のあるルイーズ、ライリー、バーナード、レイモンドの名前しか上げない。あれは本当に貴族なのか?」


 帝国には東西南北にそれぞれ他国との国境に城塞が置かれている。この場所は、帝国の中でも優れた土地を持っている。その為、隣国では喉から手が出る程この土地を欲している所もある。


「プレストンは小神殿の管理をしているだろ。病原についての情報を聞けなくて悪いな。病の件、頼むぞ」


「っ! 誠心誠意努めさせて頂きます」


 ルーカスはそう言うと部屋を出てオスカー領へと帰って行った。






◇ ◇ ◇


 私達は殿下のお姿を見た時、瞬時に敵であると認識した。潜入先に皇族の方が現れたとしても、それが皇族の方からの命での潜入ならば尚更、味方の可能性も思い浮かぶはずだ。しかし、私達にはその可能性すら思い浮かば無かった。確実に敵だと、そう思ってしまった。


 そう考えていたのは他の3人も同じだった様だ。ルーカスが部屋を出てから、4人の表情が少し曇っている。


「はぁ、一先ず帝都に向けて出発しようか」


「そうですね」


 その日のうちに4人は出発し、翌日の朝早くに皇城に到着し、アーサーに謁見した。謁見室にはアーサーとフレデリック、アレクサンダー、そしてプレストン伯爵らだけだった。


「情報を伝えてもらおうか」


「はい。その前に陛下。今回のお茶会後に第3皇子殿下とお話させて頂きました」


「ほぅ、ルーカスとか。何か言っておったか?」


 アーサーは、プレストン伯爵の口から話したと出てきた為、自分達の仲間である事を示したのだろうと察した。


 陛下の纏う空気が少し柔らかくなられた。やはり第3皇子殿下は陛下側のお方で間違いないのだな。


「今回ご報告にあげる情報は殿下がお集めしてくださったものです」


 ウォーカー伯爵が話すと、クレスウェル子爵とイーストマン男爵が情報を全て報告する。


「っ! ライリー領に病原を放つだと?」


 それを聞きアーサー達は頭を抱えた。


「陛下。この病の対処を私に…いえ、我が一族に任せていただけませんでしょうか」


「プレストンにか?」


「はい。始め、私は第3皇子殿下の事を敵だと認識致しました。それにも関わらず、あの方は私達を匿い、情報の報告という重要な仕事を任せて下さりました。
 私は第3皇子殿下に誠心誠意努めさせて頂くと誓いました。どうか、私に誓いを全うする機会を頂けませんでしょうか」


 フレデリック達やウォーカー達は驚きの表情を浮かべた。


「それは、私ではなくルーカスに忠誠を誓うということか」


 プレストン伯爵はアーサーの目を見据えて言う。


「そういう事に御座います」


「ルーカスは皇位を狙っていないぞ」


 そうだろう。あの方の目に野心など一切見えなかった。だからと言って成すべきことを怠る方の目はしておられなかった。


「承知しております」


「彼に教養が足りなかったり、性格が悪かったりすればどうする。逆に皇族としての給仕を忘れ、誰にも彼にも気を遣い優しく接する者だったとしたら?」


「その時は殿下を支え、不躾ながら皇族として正しい道へとお導きさせて頂きます」


 迷いのない言葉と瞳を見て、アーサーは口を開く。


「相分かった。この件に関しての主導権はプレストン伯爵に一任する。アイザック、レスターを使い治療と病原の追求を遂行せよ。1の月までに治療の準備もしっかりしておけ」


「っ、ありがとうございます」


 こうしてルーカスの知らないところでルーカスに忠実な臣下が誕生したのだった。






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