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本編 学園中等部編
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しおりを挟むその日、ルーカスとリヴァイは生徒会の仕事や食事を終えて、自室で休んでいた。
「はあ、今日はすごく疲れたよ」
「そうですね」
「そういえば、リヴって好きな人がいるんだね」
リヴァイはルーカスの突然の言葉に心の底から驚いた。
「コ、コールマン嬢のことでしたら、先程、私とはなんの関係もないと……」
「うん、そうだね。けれど、姉さんが今朝、コールマンではない、君の慕っている相手の名前を聞いたと言っていたんだよ」
ルーカスがいつも通りの態度でそう言うと、リヴァイはとても焦った。
「あ、あの、それは……」
「どうして僕に教えてくれなかったのかな? 僕だって、君の応援をしたいよ。姉さんだけずるい」
ルーカスは拗ねたようにそう言った。
「……ソフィア様にも伝えたわけではありません。私のお慕いする方が誰なのか、気付かれたようです……」
「では、リヴから伝えた訳では無いんだ?」
「はい」
「教えてはくれないのかい?」
リヴァイは申し訳なさそうな顔をした。
まあ、言いたくないなら仕方ないか。
「もし教えても良いと思えた時は教えてね? 僕、全力で応援するから!」
「わ、分かりました」
(全力で、応援する……。やはり、殿下は私の事など……)
リヴァイは少し落ち込んだ表情する。それに気付いたルーカスは話題を切替える。
「では、違う質問をするね?」
「は、はい」
「リヴは最近、兄さん達や姉さんの事を名前で呼んでいるよね?」
「そ、そうですね」
リヴァイは、エドワード達にルーカスが好きな事を自覚したのを知られた時から、彼らとの約束を守り、名前で呼ぶようになった。
「それに、兄さん達は君の事をリヴァイと呼んだり、ノアちゃんと呼んだりしているし。いつからそんなに仲良くなったの?」
ルーカスはまたもや拗ねたようにそう言った。
「先日の我が家でのお茶会の際です。その時にエドワード様達に私のお慕いしている方が誰なのか、知られてしまいました」
兄さん達も知っていたんだ。
「僕だってリヴの事、沢山知りたいし、リヴに名前で呼ばれたい。今は無理だって分かっているけど、いつか、僕の事も名前で呼んでね?」
「! 分かりました。いつか、必ず」
(お名前で呼べないのは、私が殿下を意識しているからだ。私は、こんなにも公私混同する人間だったのだな)
「では、次は君が質問する番だよ。何か聞きたいことはあるかい?」
最近、ルーカスとリヴァイは、部屋にいる時は相手への質問をし合っていた。いつも話題がある訳では無いため、一日1つは互いに質問をすることにしたのだった。
リヴァイは少し考え込んでから、ルーカスに質問する。
「……殿下は、お慕いする者はおられないのですか?」
僕の好きな相手……。
「どうなんだろう。いるのかもしれないし、いないのかもしれない」
ルーカスの曖昧な返答にリヴァイは少し驚く。
「僕には、好意なのか、恋情なのか、区別をつけられないと思うから。恋い慕う相手には欲情すると言うから、大人になれば気づける可能性もあるだろうけど、今はよく分からないかな」
僕に、そういう欲があればだけど。
翠は17歳で亡くなった。それまでに精通することは無かった。個人差がある為何とも言えない。だが、小さい頃から父親に性処理をさせられていた為、心身共にそういう事を倦厭していた可能性もあるだろう。
「リヴは、その相手に欲情する?」
ルーカスからそういう話題が出るとは思わず、リヴァイは驚いた表情をする。
「……そう、ですね」
「そうなんだ。ねえ、その相手はどんな子なんだい?」
ルーカスは楽しそうにリヴァイに聞いた。
(どんな人かって。殿下、貴方ですよ……。何故、そんなに楽しそうに聞くのですか? ああ、貴方が私の事を好きになる事など、一生ないのだろうな)
リヴァイの感情に、苦しい様な怒りが渦巻いた。ルーカスもそれに気付いたようだ。
「ごめんね、しつこかったね。質問は終わりにしようか。僕、湯浴みをしてくるね」
そう言ってルーカスは、立ち上がって浴室の方へ向かおうとする。すると、ルーカスがリヴァイの横を通った時、リヴァイがルーカスの腕を掴んで引き止めた。
「リヴ?」
リヴァイが黙ったまま、腕を話さないため、ルーカスが振り返り呼びかけた。
すると、2人の目が合う。リヴァイのルーカスを見つめる目には、少しの熱が帯びている。
ドクンッ! ルーカスの心臓が1度、大きな音を鳴らした。
……今のは、何だろう?
「殿下……」
リヴァイに呼ばれ、ルーカスは意識をそちらに戻した。
「私の好きな人は、年齢にそぐわないほど大人で、けれど無邪気なところもあります。いつも自分の事は二の次で、人の為に怒り行動するとても危うい人です。綺麗で美しく、とても愛らしいお方です」
リヴァイは怒ったように、そして愛おしそうにそう言った。
「そうなんだ。リヴにこんなに想われるなんて、その人は凄く幸せ者だね」
ルーカスは笑顔でそう言って、湯あみへ向かった。
(何故伝わらない。伝わるわけが無い。ああ私は、とんだ臆病者だな)
ルーカスは浴室で体を洗い、お湯に浸かった。
はあ、リヴの事、怒らせてしまった。けれど、あんなに想ってもらえるなんて、何だかその人が羨ましいな。
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