転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

文字の大きさ
192 / 410
本編 学園中等部編

45

しおりを挟む


 その日から、ルーカスとヨハンは勉強会をする事になった。毎日放課後にヨハンがルーカスの部屋に来て、1刻ほど勉強して帰る。

 そして、15の日。ルーカスはソフィア、ナタリー、シエンナ、クロエ、ヨハンと一緒に皇城の一室を使って、午前中から勉強会をしていた。


「ルー様、こちらを教えて頂きたいのですが……」


「これはね──……」


 ルーカスはテスト勉強を終えていた為、教える役だ。
 皆で半日程集中して勉強をした。


 コンコンコン

「昼食のご用意が出来ましたので、直ぐにお持ちしてもよろしいでしょうか?」


 もうそんな時間なんだね。


「お願いします」


「畏まりました」


 ソフィアが侍女にそう言うと、侍女は扉を離れていった。


「机の上を片付けようか」


「そうね」


 皆は机の上にあるノートや教科書を自分のかばんに仕舞っていく。


「ソフィア様、皇城では自室でお食事を取られるのですよね?」


「朝と昼はですね。以前は夕食も特別な日以外は自室で食べておりましたね。皆さんは食堂で取られるのですか?」


 ルーカス達はエブリンがいた頃は全員で食卓を囲む事はなかった。エブリンが亡くなってから、皆で夕食だけは共に食べる様になった。

 元々皇族は、仲が良い事の方が珍しい。皇位争いや母の違いなどで、全員が全員、仲が良いというのは長い歴史の中でもごく稀だ。その為、皇城では食卓を囲うという風習がなかったのだ。


 一方、後継争い等があるものの、貴族(平民)は家族で食卓を囲う者がほとんどだった。


「はい。私は家族で食堂に揃って食べています」


「私もです。お父様がお忙しい時は、ご一緒できない事もありますが」


「そうなんだね。僕はご飯を減らした事がウィル兄さんにばれてしまうから、夕方だけで良いなと思っているよ。皆と食べるご飯は美味しいけどね」


 ルーカスが後ろめたそうに言うと、皆が笑った。


「確かにリオ殿下は、テオ殿下が食事をしないと凄く怖いですからね」


「そうなんだよね。だから、結婚したとすれば、毎回同じ食卓を囲うわけでしょう? 相手に直ぐにばれてしまうよね」


 その言葉にソフィア達は心底驚いた表情をする。


 コンコンコン

「失礼致します、お食事をお持ち致しました」


「入ってください」


 ソフィアが返事をすると、侍女達が食事を机の上に並べ、それを終えると直ぐに退出して行った。

 皆が昼食を食べ始めると、ソフィアが口を開いた。


「ルーは、結婚するの?」


 !? どうしたんだろう……?


 ルーカスだけでなく、ナタリー達も直球で聞いたソフィアに対して驚いている様子だ。


「えっと、するのではないかな……? 皇族だし」


「皇族だからって事は、政略結婚という意味かしら? じゃあ、好きな人はいないの?」


 好きな人という言葉に、ルーカスはリヴァイの顔を思い浮かべ、ルーカスの鼓動が少し早くなった。


 リヴは公爵家の跡取りで、僕は一国の皇子だし……。けれど姉さんに嘘をつくのはだめだよね。


「……いるよ、好きな人。僕は、リヴの事が好きみたいだよ」


 ルーカスの突然のカミングアウトに、食事をしていた皆の手が止まる。


「えっ、自覚していたの!? ……じゃあ、どうして政略結婚なんて選ぶの?」


 ソフィアの言葉に同意する様に皆が頷いた。


「どうしてって、リヴとは結婚しないから……? リヴは公爵家の跡取りだし、好きな人がいるみたいだからね」


「……殿下の方に振り向かせようとは思われないんですか?」


「ん? リヴの気持ちを変えさせる必要ってあるかな? リヴは好きな人がいるのだから、その人と幸せになればいいのではないかな?」


 ルーカスは心底分からなそうにそう言った。その事に皆は目を見開いて驚いた。


「貴方は諦められるのね。ならもし、私やお父様達が貴方を嫌ったとしたら、貴方は諦めるの?」


「それは、辛いけれど、皆の気持ちが僕から離れてしまったのならば、仕方の無いことだと思うよ」


 その言葉を聞き、ソフィアは凄く悲しそうな表情をした。


「どうして簡単に諦めるの? 仕方の無いことって何よ!?」


 ルーカスが追いかけようとしたが、ソフィアはすぐに戻ってくるからと言って、部屋を出ていってしまった。


 姉さん、すごく悲しそうな表情をしていた……。


「ねえ、ナタリー。僕は先程、何を間違えたんだい? 何が姉さんを悲しませたんだろう?」


 ああ、分かっている。僕の心にはが欠けている。そのが、どんな感情なのかが僕には分からない。


 翠は、小さい頃から虐待やいじめを受けた。自分に良い感情を向ける相手がいないことが、翠にとっての当たり前だった。
 だからルーカスには、愛して欲しいという感情がある。だが、愛してくれないと嫌だという、相手に対しての不満や嫉妬、羨望という感情が欠落しているのだろう。


 だから愛して欲しいけれど、無理ならば仕方ないと簡単に諦める。


 前世のことを知っているソフィアとナタリーはそれに気付いたのだろう。






しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

ユキ・シオン

那月
BL
人間の姿をした、人間ではないもの。 成長過程で動物から人間に変わってしまう”擬人化種”の白猫青年と、16歳年上のオッサンとのお話。 出会ったのは猫カフェ。白猫従業員としての青年と客としてやってきたオッサン。 次に再会したのは青年が人間として通う大学。オッサンは保健室の先生だった。 青年が金のためにヤバいことをしていて、あるトラブルが起こる。 そこへ見計らったかのようにオッサンが飛び込んで救出したのをきっかけに2人の距離は縮まり…… ※表紙絵は自作。本編は進むにつれてどんどん動物園と化します(笑)

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

少女漫画の当て馬に転生したら聖騎士がヤンデレ化しました

猫むぎ
BL
※イヴ視点26以降(ハルフィリア編)大幅修正いたします。 見てくださった皆様には申し訳ございません。 これからも見ていただけたら嬉しいです。 外の世界に憧れを抱いていた少年は、少女漫画の世界に転生しました。 当て馬キャラに転生したけど、モブとして普通に暮らしていたが突然悪役である魔騎士の刺青が腕に浮かび上がった。 それでも特に刺青があるだけでモブなのは変わらなかった。 漫画では優男であった聖騎士が魔騎士に豹変するまでは… 出会う筈がなかった二人が出会い、聖騎士はヤンデレと化す。 メインヒーローの筈の聖騎士に執着されています。 最上級魔導士ヤンデレ溺愛聖騎士×当て馬悪役だけどモブだと信じて疑わない最下層魔導士

寄るな。触るな。近付くな。

きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。 頭を打って? 病気で生死を彷徨って? いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。 見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。 シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。 しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。 ーーーーーーーーーーー 初めての投稿です。 結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。 ※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!

ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。 牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。 牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。 そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。 ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー 母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。 そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー 「え?僕のお乳が飲みたいの?」 「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」 「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」 そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー 昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!! 「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」 * 総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。 いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><) 誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。

処理中です...