転生皇子の新生活

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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本編 学園中等部編

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 ルーカスが試合場の招集場所に行くと、教員数名とノーマン、クロエが生徒の招集を行っていた。


「ルーク殿下はこちらにいらして下さい」


「分かった」


 ノーマンに案内された場所に行き、待機する。しばらくすると、デールも招集場所にやって来る。
 デールはルーカスの姿を見るとニヤリと笑って話しかけてきた。


「殿下、逃げなかったのですね。それじゃあ、腕を切り落とされても文句は言えませんよね?」


「っ! おい、お前! 皇族の方になんて口の利き方してるんだ!!」


 デールの発言が聞こえた教員がデールを叱った。他の出場者の皆もデールの言った言葉に顔色が真っ青になった。
 しかし、教員に怒られても、デールは悪びれる事無く、言葉だけの謝罪をした。


「テオ、申し訳ございません!」


「何だ。切り落とすのは、腕だけで良いのか?」


 ルーカスは首を擦りながら、腕だけで良いのかと問うた。その発言にこの場にいる全員が心底驚いた。
 そしてデールは顔を真っ赤にして怒鳴る。


「殺されても文句を言うなよ!!」


 いつも相手を挑発しているくせに、自分は挑発に乗りやすい。エド兄さんに手加減しなくても良いと言われたから、ルールは守って手加減無しで行こうかな。


 ルーカスがそう思っていると、それぞれの試合場所に入場する時間になった。


「ノーマン、急所への寸止めは勝利に入るか?」


「入ります。対象は顔、首、胸への寸止めですね。続行不可で審判員が試合を止めます。しかし、もしも誤って相手を傷付けてしまった場合は、反則として負けとなってしまいます。かすり傷程度なら問題ありませんが」


「そうか。助かる」


 うん、それなら戦いやすいね。


 出場者が、一斉に自分達の出場場所に移動すると、観客達は歓声をあげる。

 生徒達の中には、デールがルーカスに喧嘩を売っていたことを知っている者も多い。その為観客達は、8試合目はルーカスとデールの試合を楽しみにしているのだ。


「絶対にぶっ殺してやる!」


 ルーカス達が向き合って剣を構えて立つ。すると、デールはルーカスが微かに聞き取れる声量でそう言った。


 この程度で理性を無くしてくれるなんて、やりやすいな。


 8試合目の生徒達全員の準備が整うと、審判員が一斉に合図する。


「初め!!」


 初めの言葉で一斉に試合が始まった。
 デールが先手を取ろうと距離を詰めて力強く剣を振り下ろす。
 ルーカスがそれを素早く避けると、地面にデールの剣が当たり、少し削れた。


 体格に見合った力強さ。けど、攻撃が単調で凄く下手。弱いね。


 デールは剣をもう一度ルーカス目掛けて振り上げる。ルーカスはこれも完璧に避ける。


「ちょこまかと!」


 そう言って、もう一度剣を振り下ろす。ルーカスはそれをさらりと避けると攻撃に転じた。

 デールは両腕が前に出て前屈みの体勢になっている。ルーカスは、デールが体勢を戻す前に地面を蹴って、彼の剣を持っている手に飛び乗った。

 いくら体重の軽いルーカスとはいえ、152cmの人ひとりが手を踏んでいるのだ。デールの手には痛みが走り、顔を顰める。


 しかしルーカスはそれを気にせず、デールの顎下を掴み上げて上を向かせる。そして剥き出しになった首に剣を振り上げ、既で止めた。


「続行不可! 勝者テオ!!」


 試合終了の合図を聞いて、ルーカスはデールの上から降りて剣を鞘に戻した。
 審判員の合図に、観客達は地響きのような歓声をあげた。まさかルーカスが勝つとは思っていなかったのだろう。予想外の結果に驚きが滲み出ている。


 それはデールも同じのようだ。顔は怒りと恥ずかしさで真っ赤になって放心状態になっている。


「嘘だ。これは何かの間違いだ。俺が負けるなんて……。そうだ絶対にまぐれだ! もう1回、俺と戦え!!」


 そう叫ぶとデールは剣を振ってルーカスに飛びかかってくる。まさか試合終了後に剣を振り回して飛びかかるとは思わず、審判員は1歩出遅れる。
 元々2人と距離のあった審判員は1歩出遅れた事で、デールを止めることが出来ず、デールはルーカスに思い切り剣を振り下ろしてくる。


 めんどくさいな。


 ルーカスは体勢を低くして構え、鞘から剣を取り出した勢いのまま、デールの剣を簡単にいなした。そして流れる様にデールの顔横に剣を振り切った。ルーカスの剣はデールの頬を掠め、彼の頬からはダラダラと血が流れた。


「い゙っ!!」


「そんなに死にたいのならば、今ここで殺してやろう」


 そう言ってルーカスが少し殺気を出して1歩近付くと、デールは恐怖で震えながら謝った。


 その後、デールは教員達に連れていかれ、剣術大会だけでなく、弓術、魔術の大会への出場まで禁止されたのだった。






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