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本編 学園中等部編
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しおりを挟むあれからルーカスとエドワードは長い時間剣を打ち合っている。
兄さんも体力が多いから、このままだと埒が明かない。
エドワードと剣を打ち合っているとルーカスは少しエドワードから距離を取る。
……殺さないように、けれど全力で。
ルーカスは地面を強く踏み込み、エドワードの真正面に飛び込んだ。
エドワードはルーカスの攻撃を警戒して身構える。
しかし、ルーカスはエドワードの目の前で地面を蹴り上げると、上に飛んだ。
「っ!?」
そしてエドワードの頭上を縦に一回転し、背中側に回る。
そのまま空中で体を捻りエドワードに向けて剣を振るう。
エドワードは間一髪で反応し、振り返ってルーカスの剣を受け止めた。慌てていたエドワードは力み過ぎてしまい、ルーカスを後ろに吹き飛ばしてしまう。
しかしルーカスが着地すると同時に、エドワードが一気に近付き攻撃をする。
っ、強い……!
剣を受け止めると力強さに圧され、甲高い音が会場中に鳴り響いた。
観客達は2人の試合の迫力に大盛り上がりだ。
「すげー! 予選とは迫力が段違いだな!!」
「ああ! 準々決勝も凄い迫力だったけど、この二方の戦いは圧倒されるものがある」
エドワードも、このままでは戦況が変わらないと思ったのか、先程とは比べ物にならない程の力で攻撃をおくる。
ルーカスはエドワードの剣を真剣に見極めて避けていく。
こんな攻撃をまともにくらえば、一撃で審判員に戦闘不能を判断される。
ルーカスはエドワードの隙を狙い着実に切り込んでいく。エドワードの体には沢山の切り傷がつき、少し痛そうだ。
しかし、エドワードも負けじとルーカスに攻撃する。ルーカスは傷が深くなりそうな攻撃は完璧に避けきる。そして当たってもかすり傷程度の攻撃は、なるべく小さい動作で避けた。その為、避けきれなかった剣がルーカスの足や腕を掠めることもある。
「集中しているようだな」
「ええ。兄上相手では油断している暇はございませんので」
「君に、そう言って貰えるのは、嬉しいな」
エドワードは足に少し深めの傷を受け、血がだらだらと流れている。
「痛そうにしておりますね。隙が出ていますよ」
そう言うとルーカスは、怪我をしている方とは反対側のエドワードの足に剣を振るった。ルーカスの剣がエドワードの足を切り込んだ。
「ぐっ、……ああ、痛い。だが、君は、違うようだ」
「……どういう意味でしょうか」
(やはり、気が付いていない!)
ルーカスの体にも血が溢れるほどでは無いがかすり傷が多数着いている。それにはルーカスも気付いていた。
しかし、ルーカスの体には、一つだけ大きな傷が着いている。先程エドワードの攻撃が横腹を掠めた際、思った以上に深く剣が刺さり他の傷に比べ少し多く出血している。
だが、ルーカスは痛覚が非常に弱い。加えて攻撃への影響もない為、かすり傷との差に気が付けていないようだ。
それにエドワードは気付いた。
(傷に気付かないのならば、大きな隙を作れるかもしれない)
そう思うとエドワードは足の痛みに耐えてルーカスに攻撃を仕掛けていく。
ルーカスはそれを避けながら攻撃をする。
また、隙が無くなった……。上手いな。力では勝てない。なら、もう一撃、今度は死なない程度に深いのを。
(っ、凄い殺気だ。だが、好機!)
ルーカスが動きを速める。そしてエドワードのお腹の急所から外れた箇所に剣を突き刺した。
「ゔっ!!」
(まだだ!)
ルーカスはお腹を刺すとすぐに剣を引き抜いて次の攻撃に掛かろうとする。
その時、エドワードはルーカスのふくらはぎの内側を深く切り込んだ。
あれ……。
その瞬間、攻撃に転じようとしたルーカスはふくらはぎを切られて足から力が抜け、膝を着いて座り込んだ。
その一瞬の隙にエドワードはルーカスの剣を思い切り吹き飛ばした。
「勝者ルカ!」
その合図に観客席から、地響きのような歓声が上がり続ける。
「やべー! 絶対第3王子様が勝つと思った!!」
「だよな! 最後腹に剣刺さってんのに攻撃に向かうとか第1皇子様すげぇな!!」
「2人とも強ぇ!!!」
観客達は興奮して大歓声を上げ続ける。
「っ、はあ、はあ、悪い、ルーカス。肩を貸してくれ……」
「っ、兄上。大丈夫ですか……?」
エドワードは出血量が多く、体に力が入っていない。膝を着いて倒れるとそのままルーカスにもたれかかった。
「ああ、大丈夫だ」
「おい、悪いが治療班を連れてきてくれ」
ルーカスが審判員にそう言うと、審判員は急いで治療班を呼びに向かった。
「顔色、凄く悪いよ。血が流れ過ぎている」
「……ルーカスは、足とお腹は大丈夫か?」
お腹? あ、本当だ、結構深い。……けど。
「大丈夫だよ。もう、血は止まっているから……」
ルーカスはほんの少しだけ暗い声でそう言った。しかし、出血多量で意識がぼんやりしているエドワードはそれに気付かないで良かった、と言ったのだった。
今日は野菜と果物にお肉を沢山食べさせよう。
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