372 / 410
本編 学園中等部編
225
しおりを挟む翌日の朝、ルーカスとリヴァイは支度を済ませるとレイアを連れて馬車に向かった。御者はイグネイシャスがするそうで、ルーカス達が馬車に乗るとイグネイシャスが馬車を走らせた。
「レイアは街に行くのは初めてかな? 沢山見て回ろうね」
「う~」
少しの間馬車が走り街へ到着すると、ルーカスとリヴァイは先にリボンの刺繍を頼みに行くことにする。2人は以前パーティー用の正装を仕立てるために皇城へ呼び、依頼したデザイナー達のいる店へと足を運んだ。レイアはイグネイシャスと馬車で留守番をする。
ルーカスとリヴァイが店に入ると、すぐ様店員が2人の元へやってきた。
「いらっしゃいませ。奥の個室へご案内致します」
1人の店員がルーカスとリヴァイを個室へ案内し、他の店員が2人に紅茶とお茶菓子を持ってきた。
「今日はどういったご依頼でしょうか?」
「このリボンに、ムハンマド公爵家の家紋を刺繍して欲しい。すぐに出来るかい?」
ルーカスは亜空間からリボンを入れた木箱を取り出し、店員もといデザイナーへリボンを見せた。
「こちらのリボンにですね。私はムハンマド家の御仁に依頼され、家紋を刺繍したことがございます。そうですね、今日のお昼頃には完成出来るかと」
「それは良かった。では未の刻に取りに戻るよ。それまでに完成させておいてくれるかな」
「かしこまりました」
その後デザイナーは大きさなどを事細かに確認する。
「では最後に刺繍糸の色ですが、どうなさいますか?」
「シルバーグレーの色はあるかな?」
「勿論ございますよ」
「ではそれで入れてくれるかい」
「かしこまりました」
全ての注文を終えると、ルーカスとリヴァイは店を出てレイア達の待つ馬車へと戻った。そしてまた馬車が走り出し、次は雑貨屋へと向かった。
「殿下、シルバーグレーだと私の色だとすぐに分かってしまいますが、よろしかったのですか……?」
リヴァイは少し不安そうな声でルーカスに尋ねた。
「……何かだめな理由でもあったかな? 僕はムハンマド家の人間になるのではなく、君の伴侶になるんだ。だから寧ろ、君の色を纏えることが嬉しいんだよ」
「ありがとうございます。殿下に私の色を纏って貰えることは、とても嬉しく、大変光栄にございます」
馬車が雑貨屋へと到着すると、ルーカスとリヴァイはレイアを抱えて店へ入り、赤子の玩具スペースへとやってきた。
「玩具が沢山あるね。レイア、気に入ったものはあるかい?」
「ばぁぁ、あ~」
ルーカスがレイアに話しかけると、レイアは玩具を見るのではなくルーカスを見て嬉しそうに話しかけた。
その様子を見てリヴァイが玩具を1つ手に取ると、レイアに遊んでみせる。
「レイア、これはどうだ?」
「デンデン太鼓だね」
リヴァイがレイアの目の前でデンデン太鼓を振るとポコポコと可愛い音を鳴らす。
レイアはそれに興味津々の様子だ。
「気に入った様だね。では風車はどうかな?」
ルーカスがそう言うと、レイアを抱えて両手のふさがっているルーカスに変わり、リヴァイが風車を取ってレイアの顔の近くへ持っていくる。
それにルーカスがふうっと息を吹きかけると、風車はからからと沢山回った。
「きゃあきゃ~」
「これも気に入ったようですね」
2人はレイアの気に入った玩具をいくつか見繕い、会計を済ませた。レイアが気に入ったものは、デンデン太鼓、風車、鈴の3つだ。そして絵本を5冊ほど買い、馬車に戻った。
「レイアは音のなる物を好んでいるようですね」
「そう言えばそうだね。音が好きなのなら、屋敷に戻って笛子や古琴を弾いてみようか」
「きっと気にいると思いますよ」
その後ルーカス達は、食べ歩きをしたり、店に寄ったりして、街を散策した。そして未の刻が近付き、ルーカスとリヴァイはリボンを取りに仕立て屋へと戻った。
「こんな感じに仕上がりました」
デザイナーがルーカスへ刺繍を入れたリボンを見せる。リボンにはムハンマド公爵家の家紋である狼とナスタチウムの花と葉がシルバーグレーの糸で刺繍されている。
リボンを受け取り代金を支払うと、ルーカスとリヴァイは馬車に戻った。
「おかえりなさいませ。レイア様はお昼寝なさいました」
「ありがとう」
ルーカスはイグネイシャスから眠っているレイアを受け取り抱える。
「この後の予定はどうなさいますか? 神殿への訪問時間まで少し時間がございます」
「そうだね、以前ティファニーに行くように言われたエラスティスという店に行ってみるかい?」
「そうでしたね。行ってみましょうか。イグ、場所は分かるか?」
「承知しておりますが……家紋の描かれた馬車を店前に止めておけるようなお店ではございませんので…………」
「どういうことだ」
歯切れの悪いイグネイシャスの言葉に、リヴァイが尋ねる。
「お嬢様に口止めされておりますので詳しくは話せませんが、少なくとも赤子や幼子を連れて入れるようなお店ではございません」
幼子を連れて入れない店をティファニーが僕とリヴの2人に勧める。それも2人で行き、勉強するようにと……もしかして。
ルーカスもリヴァイも、イグネイシャスの言葉になんとなく予想が着いた様子だ。
「……取り敢えず行ってみようか。ガイ、通りまで馬車で向かいなさい」
「かしこまりました」
ルーカスとリヴァイ、レイアの3人は馬車に乗り、エラスティスへと出発した。
27
あなたにおすすめの小説
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
寄るな。触るな。近付くな。
きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。
頭を打って?
病気で生死を彷徨って?
いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。
見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。
シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。
しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。
ーーーーーーーーーーー
初めての投稿です。
結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。
※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。
転生したら嫌われ者No.01のザコキャラだった 〜引き篭もりニートは落ちぶれ王族に転生しました〜
隍沸喰(隍沸かゆ)
BL
引き篭もりニートの俺は大人にも子供にも人気の話題のゲーム『WoRLD oF SHiSUTo』の次回作を遂に手に入れたが、その直後に死亡してしまった。
目覚めたらその世界で最も嫌われ、前世でも嫌われ続けていたあの落ちぶれた元王族《ヴァントリア・オルテイル》になっていた。
同じ檻に入っていた子供を看病したのに殺されかけ、王である兄には冷たくされ…………それでもめげずに頑張ります!
俺を襲ったことで連れて行かれた子供を助けるために、まずは脱獄からだ!
重複投稿:小説家になろう(ムーンライトノベルズ)
注意:
残酷な描写あり
表紙は力不足な自作イラスト
誤字脱字が多いです!
お気に入り・感想ありがとうございます。
皆さんありがとうございました!
BLランキング1位(2021/8/1 20:02)
HOTランキング15位(2021/8/1 20:02)
他サイト日間BLランキング2位(2019/2/21 20:00)
ツンデレ、執着キャラ、おバカ主人公、魔法、主人公嫌われ→愛されです。
いらないと思いますが感想・ファンアート?などのSNSタグは #嫌01 です。私も宣伝や時々描くイラストに使っています。利用していただいて構いません!
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
王道学園のモブ
四季織
BL
王道学園に転生した俺が出会ったのは、寡黙書記の先輩だった。
私立白鳳学園。山の上のこの学園は、政財界、文化界を担う子息達が通う超名門校で、特に、有名なのは生徒会だった。
そう、俺、小坂威(おさかたける)は王道学園BLゲームの世界に転生してしまったんだ。もちろんゲームに登場しない、名前も見た目も平凡なモブとして。
【完結】双子の兄が主人公で、困る
* ゆるゆ
BL
『きらきら男は僕のモノ』公言する、ぴんくの髪の主人公な兄のせいで、見た目はそっくりだが質実剛健、ちいさなことからコツコツとな双子の弟が、兄のとばっちりで断罪されかけたり、 悪役令息からいじわるされたり 、逆ハーレムになりかけたりとか、ほんとに困る──! 伴侶(予定)いるので。……って思ってたのに……!
本編、両親にごあいさつ編、完結しました!
おまけのお話を、時々更新しています。
本編以外はぜんぶ、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
転生先は猫でした。
秋山龍央
BL
吾輩は猫である。
名前はまだないので、かっこよくてキュートで、痺れるような名前を絶賛募集中である。
……いや、本当になんでこんなことになったんだか!
転生した異世界で猫になった男が、冒険者に拾われて飼い猫になるほのぼのファンタジーコメディ。
人間化あり、主人公攻め。
嘘はいっていない
コーヤダーイ
BL
討伐対象である魔族、夢魔と人の間に生まれた男の子サキは、半分の血が魔族ということを秘密にしている。しかしサキにはもうひとつ、転生者という誰にも言えない秘密があった。
バレたら色々面倒そうだから、一生ひっそりと地味に生きていく予定である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる