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しおりを挟む赤ちゃんの世話をしてて忘れていたんだけど……
貴族の屋敷には、隠し通路って言うのがあるの。
ゴラスティーニの自分の部屋のベッドのヘッドボードがある壁に、入口があると教えて貰った。
飾りを動かせば、壁が外れて、通路が現れるって。
ここも女主人の部屋なので、隠し通路があるとは思うんだけど……
何処だろう?
と言うのも、同じ場所にはなかったの。
平民であれば、偶然で見付けない限り、そんな通路があるってしらないよね。
でも、先日までであれば、隠し通路を使って逃げてたけど……
今は、今にも死にそうな赤ちゃんを育ててあげないと!
そんな事を考えながら、赤ちゃんが寝入ってる時を見計らって、一緒に寝たり、探してたりしてたんだ。
そんなある日の夜……
カタンと音がしたと思ったら……
天井裏から、全身真っ黒の人が降りて来て、固まってた。
「リリアンヌ様」と言われ、声は出さず頷いてた。
ただ、5人の赤ちゃんの存在に、目を見開いてた。
きっと予想外の展開だったんだろう。
黒ずくめなのに、困ってると伝わって来た。
「あの…この部屋の隠し通路って知ってる?」
小声で、そう言えば……
レストルーム側ではなく、専任侍女の部屋側の扉近くを引っ掻いた。
ぽかりと開いた、奥は真っ暗だけど、何故か怖くなかった。
寝てる赤ちゃんを前と後ろに結わえていれば、黒ずくめさんも、手伝ってくれただけでなく、背負ってくれた、3人も。
目が覚めて泣いても、攻撃されない様に防御とサイレントの魔法を掛けて、通路の中に、足を踏み入れた。
その頃、屈強な家政婦は捕らえられていたが、戻って来ていないだけだと思われていた。
4階から続く隠し通路を、影と思われる黒ずくめさんの案内で、慎重に歩いていた。
サイレントの魔法を掛けたので、物音は聞こえないだろうけど、何がしか侵入防止の為に罠が仕掛けられてるとの事だったんで、ドキドキしてたの。
詳しい話は聞いてないけど、何があって、転機になったんだろうって。
そう言えば、ゴラスティーニの屋敷の隠し通路も、部屋側は教えて貰ったけど、出口は何処だったんだろう?
通路を使って逃げるってなったら、城内は敵で溢れてるよね。
となったら、城外?
え?かなりの距離にならない?
そう思ってたら、降りる階段は終わった様で、代わりに迷路の様に感じる通路になった。
自分が面倒を見てから、少しずつ体重が戻って来てた赤ちゃんが、重く感じる様になって来た。
なんかの物語で、背負った赤ちゃんがどんどん重くなって、沈み込んで行く?だった?
その様なお話があった様な記憶があるんだけど、あれは何のお話だったかしら?
そんな事を考えてたら……
曲がった先に、煌々と灯りが点いてる空間があった。
行っても大丈夫?と思ってたら……
「リリ!」と自分を呼ぶレイノルドの声が聞こえた。
だけじゃなく、駆け寄って来てくれた。
ただ、抱っこしてる赤ちゃんに気付き、固まってしまったけど。
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