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しおりを挟む黒ずくめさんと連れ出した赤ちゃんは、居合わせた他の人達に抱きかかえられ、地下から脱出したんだけど……
あの通路は、神殿の地下墓地に繋がっていたそうな。
貴族が脱出する際のルートだけど、暗殺者が忍び込む際のルートにもなりうるので、罠があったみたい。
ただ、貴族の隠し通路と違い、王宮の隠し通路は何ルートもあるらしいけど。
その様に意味のある隠し通路だけに、使用する許可が出たのは、シンディが遺体で発見されたからだ。と聞かされ、ショックを受けた。
自分だけじゃなく、他人の物でも欲しがる性格だったので困ったものだったけど、それでも妹だったから。
シンディの遺体を運んで来た罪で、あの屈強な家政婦が捕まり、今頃、屋敷には捜査の手が入ってるそうだ。
いくら、隣国の勇者といえ、王族の血を引く子供を宿したシンディを殺したってなったら、ねえ。
今、自分はラゴスティーニの屋敷の居室のベッドの上で話を聞いていた。
先程、自分の健康状態を確かるのに、医者が来て、帰って行った処。
「リリが世話をしてた赤ちゃんは比較的、元気だったけど…」
そう言い渋るレイノルドに、嫌な予感がした。
だって、勇者の性癖は妊娠してる女や妊娠しない幼女なんだもの!
あのシンディが、勇者に体を許すとは思えない!
そう、シンディは誰彼構わず、男に媚びを売るタイプではなく、ここぞと思う相手以外にはけんもほろろ。
という事は……
「シンディは妊娠何ヶ月だったの!?」
半狂乱になりそうになり、レイノルドに背中を撫でられたけど……
シンディの赤ちゃんが8ヶ月くらいだと言うのは、自身の妊娠月齢からも分かる。
「ねえ?大丈夫なの?ねえ!」
レイノルドを揺さぶるくらいに、必死だった。
「虫の息だったけど、王宮の医師団が診てる」
そう言われ、自分には祈るしか出来そうになかった。
常に、女性の護衛だと言うメイドが部屋の中に居る状態で過ごしている間に、自体は動いていた。
レイノルドは忙しそうにしてるが、寝る前には顔を見せてくれていた。
隣国の所業が近年だけでなく、水面下で10年以上前より始まっていて、あまりにも悪質だと言うことで、国王陛下が同盟を破棄。
国境を封じ、警備の兵を置いた。
当然、隣国の勇者は王城の地下牢で、尋問中。
屋敷に居て、自分が世話をしてた赤ちゃんは、身元が分かる者は引き取られて行った。
自分にとっての悪夢から、辺境伯が孫を取り戻せたと言うのなら、良かったのかな?
レイノルドが言うには、激高してた高位貴族の様に見えた老人が辺境伯だったらしいの。
その辺境伯が赤ちゃんに固執してた理由、たぶん男児だったからじゃないかな?
辛うじて産めたけれど、日々疲弊し、助けの手紙を出したけど、助けが来る前に姿を消していた様で……
勇者という事で、助けてくれると思ったんじゃないかな?
自分でもよく分からないけど、勇者と言われてた男が弱き者の味方だとは思えなかったから、距離を置いたの。
実際、勇者とは名ばかりの卑劣な無頼漢だと分かったのは、捕まってからだけど。
ただ、魔力持ちの赤ちゃんばかりを集めてたけど、どうやって隣国に連れ出すつもりだったのか、不明な点はあるのだけど。
そう言えば、赤ちゃんの世話をする様になってから、疲れてるからなのか、夢は見なかったけど……
今後も見続けるのか、寝るのが少し怖い。
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