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第3章 聴講生になったので、自由にします!
調査報告と上級ダンジョンその後
しおりを挟む10階層までで、調査を一旦区切って、報告しに地上に戻ったんだけど……
薬師のジョブがないと入れないという結論に至った。
それと低層でも、上級ダンジョンだけあって、危険な魔物が隠蔽魔法で潜んでる事も判明した。
そう、自分でも見落としてたのが、大きな蜘蛛とか居て!
タランチュラほどの即死の毒蜘蛛ではないけど、蜘蛛は麻痺毒持ちだからね。
それが何と!居たのがマジェスタの大木で!
ダンジョンの中にあった事にも驚いたけど、気付いたのは、マジェスタが実をつけ、紅葉してたから!
冒険者全員じゃないだろうけど、水虫に罹ってる人は多いんだろう。
「ああ!!」とみんな叫んでたもん。
必須の葉なのに、滅多にしかならないけど、冒険者なら目にする確率高いので、教えられてるみたい。
「これで作って貰える!」
鬼気迫る勢いで、大グモ討伐隊と早くしないと色が戻ってしまう採集組も向かってった。
青葉だけだと、さすがに自分もわかってなかったよ。
ちなみに、紅葉する為にか、実が落ちていて、我が家の召喚獣4体が口にしてた。
ので、自分も比較的綺麗な実を拾って、時間停止のインベントリに入れて行った。
だって、洋梨の様な実、足が早いんだもん。
冒険者の殆どが紅葉した葉に向かうので、実の方は後回しにされてたから、レイトルたち思う存分食べてた。
自分は食べてないけど、収納してた。
実だけじゃなく紅葉した葉も。
けど、大蜘蛛退治してる人達が、「俺の分も!」と叫んでたので……
魔法の縄・土と蔓で拘束すれば、退治は直ぐで、さすがAランクの冒険者だけある。
ただ、大蜘蛛とマジェスタは共存関係なのかな?
退治されてから数分後には、青葉に戻ってた。
まあ、ダンジョン内なので、数刻後には大蜘蛛も戻るんだろうけど。
この件も報告案件だったから、副ギルドマスターも興奮してた。
「マジェスタまであるって、薬師には必須の物が揃ってるダンジョンですね」
そう口にすれば、気付いた模様。
「まさか……最深部に…」世界樹とまでは口にしなかったけど、考えてるでしょ。
「それよりも、精霊の森があるのでは?」
そう口にしたのは、ミーリアさんだ。
「45階層以下にか?」
「蒼き鋼」のリーダーのアルさんが口にしてた。
ので、「このダンジョン、50階層ですよね」と、鑑定した事を告げれば……
驚かれたんだけど、ダンジョンにナンバーがあり、「ウプラムの庭園」という名もある事に、ギルドが認識してなかった事に、自分も驚いた。
一応、鑑定専門のギルド職員にもさせると言っただけでなく、直ぐにさせれば、出来たみたい。
というか……
「あ、50階層で落ち着いたんですね」と言ったので、今までにも鑑定してた模様。
何でも、成長中の文字が消えたみたい。
ダンジョンナンバーや名称については、「あれ?言いませんでしたか?」と言うので、見えてたけど報告してなかったみたいで、苦笑したよ。
ウプラムと言うのが、遥か昔に居た天才薬師の名前だと知ったのは、婆ちゃんからの手紙で。
ハイエルフで長生きだったらしい伝説級の薬師の名を冠にしただけあって、婆ちゃん興味津々。
老体に鞭打って?
いやいや、王都にある辺境伯邸の魔法陣を使って、辺境領にやってきた。
店は裏庭も世話出来る様になったノアに押し付けて来たそうだ。
「いずれ、あの店はノアにやるんだからな。出来んといかん」
そういうのは婆ちゃんの弁。
魔法陣を使えたのは、案の定、執事のデイビットさんのお陰です。
まあ、使用する条件はあるけどね。
自分の予想通り、元パテメンバーだった。
まあ、どちらも、老体にしか見えないけど、足取りは今でも健在の様です。
なので、勿論?婆ちゃんと一緒に、上級ダンジョンに潜る事になった。
王都以上に、薬が必要なのは辺境領だからねえ。
確かに、王都と言うより王宮には必要だろうけど……
魔術師塔と神殿によって、薬師は片隅に追いやられてるらしいから。
こっちの情報はコーデリア達からね。
それでも、国王から直のホットラインがある様な婆ちゃんだけど。
婆ちゃんとデイビットさんを小屋に招待して、母に会わせておいた。
と言うのも、ダンジョン内での宿泊先になるから。
まあ、召喚獣の小屋に入るのが初めてのデイビッドさんは興味津々で見回してたけど……
婆ちゃんは大爆笑しながら、背中をバンバン叩かれた。
「ライラ、アンタ凄いじゃないか!」って。
「召喚獣4体ともなれば、こんなに広がるんだねえ」
そう言って、興味深そうに歩き回ってたよ。
「あれはどうしたんだい?」
婆ちゃんの言うアレが何か分かってるけどだねえ。
「それが、自身で移動して行ったの!奥の空間に!アレって魔樹だった?」
自分の言葉に、一瞬目を見開いた婆ちゃんだけど、涙が出るくらい大笑いしてた。
そんなに笑う処あった?
それで、婆ちゃん達の準備が出来次第って事にしたんだけど……
出入りするのが面倒だからって、その日から寝泊まりし始めた。
婆ちゃん達が来てから、幾日もしない内に上級ダンジョンに潜り始めたんだけど……
デイビッドさん、以前に潜った事あったんだね。
マーカーが30階層にあるそうだ。
婆ちゃんは初だけど。
婆ちゃん達が来るまでに、自分が潜った階層は20までだから、それは凄い。
それも成長中だった上級ダンジョンでだから。
それで、婆ちゃんに1階層から行く?と聞けば……
自分が書いておいたダンジョン情報を読んでいたからか、「21階層からじゃ」と言い放った。
「どれもこれもココにあったのかと言うほど凄いが、知ってる物、持ってる物ばかりだ」
婆ちゃんの弁に従って、婆ちゃんとデイビッドさんを小屋に残したまま、1人で20階層に降りる転移陣に乗ったんだ。
そこから階段を降りて、21階層に降りたんだけど……
眉を顰めた理由は、その環境が極寒だったから。
探索を始める前に、デイビッドさんが防寒装備を出してた理由があったんだね。
婆ちゃんとデイビッドさんが出て来る前に、レイトルたちが出て来たんだけど……
フレスベルグの2匹はふくふくの丸々の姿になってた。
イベルタは自分の襟巻きの様になったけど。
こういう環境である薬草という事は、金華草や氷華草があるのは絶対だけど……
21階層まで来ると、出る魔物も一見低ランクなんかじゃなく、バリバリの高ランク。
シロクマは勿論、銀狐、銀狼なんかが居る筈。
毛皮が高価格取引される代物。
だけど、銀狐、銀狼より白い方がランク高いんだよ。
なので、コーデリアやイルラが来てた防寒具は、白金貨の代物です。
どんな狩り方をしても、外で狩るよりも、綺麗に鞣された毛皮がドロップするので、冒険者としては有難いダンジョンなの。
金華草や氷華草は勿論、万年雪の下にある事で変節した薬草を見付けてねえ。
婆ちゃんと、あーだこーだと言い合ったよ。
他にも、ダンジョン内じゃなきゃ中々見付けられない希少な薬草も見付けて、婆ちゃん共々ホクホクしてた。
他にも、ホワイトベア・シロクマじゃなく、水色の毛皮のアイスベアが出て、魔法攻撃に耐性があるので苦戦したけど、空間に閉じ込め、真空にして倒した。
まあ、それ1体じゃなく数十頭分の毛皮がインベントリに入ってる。
実戦用のマントしか持ってないので、コーデリア達が来てた防寒具良いなあ。と思ってたから、作って貰おうかなあ?
なんて思ってたら、物凄い数のアイスベア倒してたんだよねえ。
シロクマの方も狩ったけど……
どっちも、動物園に居た熊のサイズじゃないからね。
ボス級は立ち上がったら3mサイズで見上げるほど。
それだけ落ちた毛皮のサイズも大きかったけど。
ただ、婆ちゃんったら、ソーマの材料になるから、拘束して死ぬまでに、クマの肝臓抜いてるんだよ。
まあ、自分の討伐方法が拘束してからなんだけど……
召喚獣たちに掛かったら、雷で即死になるんだ。
でも、この氷の階層でだけは、雷魔法は禁止にしたから。
水の環境ほどではないけど、氷と雷って相乗効果がない訳じゃないから!
なので、レイトルは物理で蹴ったり、頭突きしたりしてたよ。
「死んじまったら消えちまうんだから、勿体ないじゃないからね!」
分からない訳じゃないけど、結構グロテスクだから。
ちなみに、まだ最上級薬を調合出来ないんだよねえ。
筋は良いらしいんだけど、成功率を上げないと、貴重な材料を使うだけに、勿体ないからしょうがない。
まあ、自分が錬金術だとか、魔道具製作とか、色んなことに手を出してるのも、よくないんだろう。
22階層からはロックリザードやゴーレムが居た高山のフィールドで、中々手厳しかった。
23、24と進めば、いずれ出て来るだろうと思ってた砂漠に出くわしたのは26階層。
ボス部屋がある25は案の定、ロックリザードの群れだった。
個人的には、ドロップが鉱石のゴーレム方が良かったんだけど、内臓系が薬になるロックリザードだった。
「瀕死状態にするんだ!殺すんじゃないよ!」
無茶な事を言うのは止めて、婆ちゃん!
で、火山帯と砂漠、どっちが先なんだろう?とは考えてたんだけど、砂漠が先だった。
砂漠で出るのは、もしかしなくても、薬師に必要な薬剤となれば……
ムカデ?ワーム?サソリに、何処でも居るヘビ。
どれにしても、死んでしまったら、消えてドロップ品になっちゃうから、消える前に……
ん?そう言えば、ラノベで死んで直ぐに、インベントリに入れたらって話なかったっけ?
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