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第3章 聴講生になったので、自由にします!
辺境伯領に戻りたいです
しおりを挟む上級ダンジョン「フロリバンダの谷」に潜ってる間に、冬が到来した様で……
上級ダンジョン踏破の報告をしに、ギルドへ。
ギルドって、24時間ずっと開いてるんでね。
真夜中でも、何があるか分からないんで、必ず誰かが居るものなの。
と言っても、今はそれほど遅い時間じゃないんだけど。
踏破の報告以外に、34階層の端に、凍結依頼の鰐が居ると言って、狩ったカイマンの実物を出せば……
受付嬢には悲鳴をあげられたけど、凍結依頼が達成になる事に、ホッとしてた。
真っ青な鱗、意外とキラキラして綺麗なんだよ。
ペンキにも出来るし、絵の具にも、衣服の染料にするのも可能だけど、タイルの染料にもできそう。
そう思ったら、何故か、アルハンブラ宮殿を思い出したのは何でだろう?
どっちかというと、タージ・マハルの青だよね?
そんな事を思いながら、ギルドを出て来たんだけど……
自分がAランクの冒険者だと知らない連中、居るか。
さっさとダンジョンに入っちゃったしねえ。
それに今はレイトルたちも居ないし。
「顔見知りじゃないからって、甘くみすぎだよ」
襲い掛かろうとした状態のまま、凍結させれば……
雪が降ってる気象状態なので、最悪凍死だね。
もう1度、ギルドに入って職員を呼べば、叫び喚いてるけど、剣やナイフを抜いて、襲うモーションのまま凍り付いてるんでねえ。
今までにも何度かあった様だけど、中々尻尾を掴ませなかったみたい。
「これで、少しマシになると思います」
受付嬢はそう言って、喜んでたけど、ギルマスの面白くなさそうな表情は、クロか?
ただ単に、自分の事が気に食わないだけなら良いんだけど……
ギルマスの癒着と汚職だけは、周囲に与える影響は良くないからねえ。
そう思いながら、町の外に出してある小屋に向かったんだ。
次の朝には、召喚獣の小屋の中にも雪は積もっていて、レイトルたち、行動はマチマチだった。
フレスベルグ夫婦は、丸々のふくふくになってるけど、外で雪を被った果物を啄いてた。
レイトルも、雪の中を走り回ってたけど……
イベルダは、果実を採ると、ログハウスに戻って、ぬくぬくしながら、丸まってた。
ちなみに、既に、野営魔道具の家は魔力を通して、個人登録を済ませ、検証の為、色々試してる。
召喚獣の小屋の中では、展開は不可。
思い浮かべる事で、テントも家も展開可能。
大きさも、イメージ次第。
家の中の調度品も、イメージしなければ、ほぼログハウスの設えと同じ。
なので、誰かを泊まらせる為なのであれば、町の宿屋をイメージした方が良い気がしてる。
だって、婆ちゃんやヴィルジーク様でさえ、ログハウスの設えに驚いてたくらいなんだもん。
それがログハウスと同じ設えだったら、欲しいと思ってしまう者が出てしまうのは目に見えてる。
婆ちゃんなんか、どうにか弄ったみたいだし。
というか、さすが!って感じだよ。
レストルームを中心に、考えてはいたけど、弄れるって。
とりあえず、欲しい物getしたし、辺境伯領にさっさと帰っても良いんだけど、王都に寄って行くかねえ。
婆ちゃんの依頼の風邪薬の薬草も届けたいし。
そう、簡易の輸送の転移陣に影響される薬草もあるので、万能って訳じゃないんだ。
商品類は密封の際に、封蝋の魔法を使うからか、異常は出ないけど。
とりあえず、王都に戻るという報告をギルドにして、寄りはするけど辺境伯領に行くかあ。
そう決めて、小屋を出たら……
にこにこ笑顔のエイドリアン公爵様が、外に居た!
小屋の外に出る時は、モニターを見るって決めてたのに、何してるんや自分!
「おはよう」というエイドリアン公爵様はご機嫌だけど、周囲は睨み付けて来た。
テメー、公爵様を待たしていいご身分だなと言いたげな目線だった。
「おはようございます。何かお約束が御座いましたでしょうか?」
なるべく下手に出て、対応すれば……
「いや、特にないんだけど、攻略し終わったら、君の事だから、さっさと居なくなると思ったから、来た」
まさに、エイドリアン公爵様の言う通りなんだけど……
「拠点、ここにする気ない?」
はい、直球戴きましたー!
「申し訳ございません。辺境伯領都べーゼルにもうしばらく居るつもりでおります」
頭を下げて、間髪入れずに返答すれば……
エイドリアン公爵様は笑ってるけど、お付の者は射殺しそうな目付きになった。
「新しい上級ダンジョン見付けたのも君でしょ。良いよねえ!」
「そのダンジョンに潜りたいと思っておりますので」
冒険者としての大義名分を掲げさせて貰うよ。
「そうかそうか!だけど、居づらくなったらおいで、待ってるよ」
いやに、ご機嫌で笑顔を崩さないエイドリアン公爵様の対応が、何か訝しく感じながら……
「ありがとうございます」
そう言って、頭を下げていたんだ。
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