ヒロインだと言われたって知るか!

ふにゃー

文字の大きさ
54 / 79
第3章 聴講生になったので、自由にします!

辺境伯領に戻りたいです

しおりを挟む



  上級ダンジョン「フロリバンダの谷」に潜ってる間に、冬が到来した様で……

  上級ダンジョン踏破の報告をしに、ギルドへ。

  ギルドって、24時間ずっと開いてるんでね。

  真夜中でも、何があるか分からないんで、必ず誰かが居るものなの。

  と言っても、今はそれほど遅い時間じゃないんだけど。

  踏破の報告以外に、34階層の端に、凍結依頼の鰐が居ると言って、狩ったカイマンの実物を出せば……

  受付嬢には悲鳴をあげられたけど、凍結依頼が達成になる事に、ホッとしてた。

  真っ青な鱗、意外とキラキラして綺麗なんだよ。

  ペンキにも出来るし、絵の具にも、衣服の染料にするのも可能だけど、タイルの染料にもできそう。

  そう思ったら、何故か、アルハンブラ宮殿を思い出したのは何でだろう?

  どっちかというと、タージ・マハルの青だよね?

  そんな事を思いながら、ギルドを出て来たんだけど……

  自分がAランクの冒険者だと知らない連中、居るか。

  さっさとダンジョンに入っちゃったしねえ。

  それに今はレイトルたちも居ないし。

  「顔見知りじゃないからって、甘くみすぎだよ」

  襲い掛かろうとした状態のまま、凍結させれば……

  雪が降ってる気象状態なので、最悪凍死だね。


  もう1度、ギルドに入って職員を呼べば、叫び喚いてるけど、剣やナイフを抜いて、襲うモーションのまま凍り付いてるんでねえ。

  今までにも何度かあった様だけど、中々尻尾を掴ませなかったみたい。

  「これで、少しマシになると思います」

  受付嬢はそう言って、喜んでたけど、ギルマスの面白くなさそうな表情は、クロか?

  ただ単に、自分の事が気に食わないだけなら良いんだけど……

  ギルマスの癒着と汚職だけは、周囲に与える影響は良くないからねえ。

  そう思いながら、町の外に出してある小屋に向かったんだ。



  次の朝には、召喚獣の小屋の中にも雪は積もっていて、レイトルたち、行動はマチマチだった。

  フレスベルグ夫婦は、丸々のふくふくになってるけど、外で雪を被った果物を啄いてた。

  レイトルも、雪の中を走り回ってたけど……

  イベルダは、果実を採ると、ログハウスに戻って、ぬくぬくしながら、丸まってた。

  ちなみに、既に、野営魔道具の家は魔力を通して、個人登録を済ませ、検証の為、色々試してる。

  召喚獣の小屋の中では、展開は不可。

  思い浮かべる事で、テントも家も展開可能。

  大きさも、イメージ次第。

  家の中の調度品も、イメージしなければ、ほぼログハウスの設えと同じ。

  なので、誰かを泊まらせる為なのであれば、町の宿屋をイメージした方が良い気がしてる。

  だって、婆ちゃんやヴィルジーク様でさえ、ログハウスの設えに驚いてたくらいなんだもん。

  それがログハウスと同じ設えだったら、欲しいと思ってしまう者が出てしまうのは目に見えてる。

  婆ちゃんなんか、どうにか弄ったみたいだし。

  というか、さすが!って感じだよ。

  レストルームを中心に、考えてはいたけど、弄れるって。

  とりあえず、欲しい物getしたし、辺境伯領にさっさと帰っても良いんだけど、王都に寄って行くかねえ。

  婆ちゃんの依頼の風邪薬の薬草も届けたいし。

  そう、簡易の輸送の転移陣に影響される薬草もあるので、万能って訳じゃないんだ。

  商品類は密封の際に、封蝋の魔法を使うからか、異常は出ないけど。

  とりあえず、王都に戻るという報告をギルドにして、寄りはするけど辺境伯領に行くかあ。

  そう決めて、小屋を出たら……

  にこにこ笑顔のエイドリアン公爵様が、外に居た!

  小屋の外に出る時は、モニターを見るって決めてたのに、何してるんや自分!

  「おはよう」というエイドリアン公爵様はご機嫌だけど、周囲は睨み付けて来た。

  テメー、公爵様を待たしていいご身分だなと言いたげな目線だった。

  「おはようございます。何かお約束が御座いましたでしょうか?」

  なるべく下手に出て、対応すれば……

  「いや、特にないんだけど、攻略し終わったら、君の事だから、さっさと居なくなると思ったから、来た」

  まさに、エイドリアン公爵様の言う通りなんだけど……

  「拠点、ここにする気ない?」

  はい、直球戴きましたー!

  「申し訳ございません。辺境伯領都べーゼルにもうしばらく居るつもりでおります」

  頭を下げて、間髪入れずに返答すれば……

  エイドリアン公爵様は笑ってるけど、お付の者は射殺しそうな目付きになった。

  「新しい上級ダンジョン見付けたのも君でしょ。良いよねえ!」

  「そのダンジョンに潜りたいと思っておりますので」

  冒険者としての大義名分を掲げさせて貰うよ。

  「そうかそうか!だけど、居づらくなったらおいで、待ってるよ」

  いやに、ご機嫌で笑顔を崩さないエイドリアン公爵様の対応が、何か訝しく感じながら……

  「ありがとうございます」

  そう言って、頭を下げていたんだ。




  
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

「ご褒美ください」とわんこ系義弟が離れない

橋本彩里(Ayari)
恋愛
六歳の時に伯爵家の養子として引き取られたイーサンは、年頃になっても一つ上の義理の姉のミラが大好きだとじゃれてくる。 そんななか、投資に失敗した父の借金の代わりにとミラに見合いの話が浮上し、義姉が大好きなわんこ系義弟が「ご褒美ください」と迫ってきて……。 1~2万文字の短編予定→中編に変更します。 いつもながらの溺愛執着ものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...