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第3章 聴講生になったので、自由にします!

谷で冬越しはやだなあ

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  20階層のボス、ロックゴーレム5体まで、さほどの変わりがなく……

  ボス部屋に、またしても遮られてた公爵様御一行。

  21階層で、また小屋を出して1泊しようかと思ったんだけど……

  明日、また26階層に、公爵様御一行がいそうな気がして……

  足を早めようと思い、小屋を出さず、足を進めた。



  30階層の中ボス部屋の前で、小屋を出して、昨日は寝たんだけど……

  嫌な予感がして、早めに起きて、ボスのゴーレムを撃破し、31階層に降りた。

  坑道の様な洞窟なのは、変わり映えしなかったけど、出て来たゴーレムが、ロックからアイアンになってた。

  通常の討伐であれば、刃が立たない事もあったかも知れないけど、拘束し、拘束が破られる前に解体魔法を行使すれば良いので、速攻が重要。

  今日は公爵様御一行もいないし、快調、快調!

  さっさと進んで、ラスボスから野営魔道具を貰おう!

  でないと、レイトルたちも面白くなさそうだしね。

  彼らが嬉しそうだったのは、1階層くらいだったからねえ。

  ギルドで、何か依頼を受けてたら、延々とツルハシを持って、掘って探さなくちゃいけなかったかも知れないけど……

  あのギルマスだったし、鉱石採集の依頼ばかりだったので、受けなかったんだ。

  高ランク冒険者となれば、訪問地のギルドで凍結になってる依頼を受けると言うのが、義務とまでは言わないけど、受けるのが礼儀みたいだけど……

  ギルマスの態度が変わらない限り、受ける気はない。

  けど、気にはなってるんだよねえ。

  この地の北西って、唯一、環状街道が途切れているのよ。

  といっても、外側環状街道じゃなく、内側のだけどね。

  自分が初めて、初級ダンジョンに向かった際、王都周囲の地形把握で、遠回りしなきゃいけなくなった処。

  外側環状街道に入るのに、skipしようかと思ったら、意外と断崖絶壁の処が多くて断念し、仕方なく、遠回りしたの。

  その断崖絶壁があった場所より南の位置に、上級ダンジョンがあって……

  依頼の青い染料の元になる鱗って、カイマンだよね。

  王都の側を流れる川の上流で、谷になってる支流に居るとは、話を聞いた事あるんだ。

  そこに行くには、川に沿って、森の中を延々移動して行くらしいけど……

  往復で2週間は掛かるのに、依頼料金が低いって、王都の誰だったかが愚痴ってたの。

  何で、そんな事を思い出したのかは……

  34階層で、水が流れる音が聞こえて、レイトルたちも気付いた様で、音がする方に向かった。

  そうしたら、大きな川じゃないけど、急流に近い水量の水が流れてた。

  だけじゃなく、「川の中に居るよ!」と言う様に、僅かな光によって反射する目玉がある!

  大きな口を開け、飛び掛かって来たヤツを、魔法のロープでグルグル巻きにしてたら、レイトルが踏み付けたので、死ぬと同時にインベントリに放り込んだ。


  水をバシャバシャいわせながら、暴れるヤツを倒し切った時には、インベントリには43体も居た!

  案の定、コバルトブルーと呼ばれる青い染料が取れる鱗を持つカイマンだったんだけど……

  34階層の端にある川に居るって、教えなきゃいけないんだろうね。

  溜息をつきながら、カイマンをインベントリの中で解体して、食用可になってる肉を、今晩のご飯にしようと思ってた。

  何処まで進めるかなあ?

  そう思いながら、35階層のボス部屋に向かったんだ。



  さすがに、40階層のラスボスに入るのは、今日は無理だな。と思って、寝たのが39階層。

  ちなみに、35階層のボスはアルマジロだった。

  ゴロゴロゴロゴロ~っと転がって、押し潰そう方式なので、3mはありそうな大きさだった。

  まあ、土壁で防御しただけでなく、穴を掘ったので、そこに丸まったまま落っこちて、モゴモゴしてる内に、レイトルたちが雷を落として、ジ・エンド。

  宝箱から出たのは、何故かスコップで……

  絶対、冒険者連中なら、肩を落とすドロップ品だよ。

  自分でも、ぇぇぇぇ~だもん。

  根を傷つける事無く掘り起こせるスコップだとしても、ね。

  微妙な顔をする自分を見て、イベルダたちが慰めてくれるくらい。

  36~39までのゴーレムはアイアンではなく、メタルになっていて、おかげで希少鉱物を色々と手に入れられた!

  このダンジョンには、希少鉱物が眠ってる証拠だけど、自力では掘り起こせない深さの地中にある気がするよ。

  で、いよいよラスボスなんだけど……

  ギルドの情報が正しければ、何通りかあるらしいけど、家型の野営魔道具がドロップするのは、ミノタウロスなんだそうだ。

  近接戦闘で、物理武器使用で、力押しの定番魔物。

  一応、Aランクの魔物。

  ミノタウロスと戦うのは初になるんだけど、既に、レイトルの鼻息は荒い。

  昨夜のカイマンの肉は、焼肉にしてたらふく食べたのに、ミノタウロスの牛肉を焼肉にして食べたいとの事です。

  イベルダが、そう伝えて来てたんだ。


  だけど、珍しく運がないのか、高さ3m、長さ5mありそうな巨大スラグ、自分の大嫌いなナメクジが居て!

  「いやあああ!」の叫び声と共に、火炎放射。

  勿論、あっという間に焼け落ち、最高級品と鑑定が肉の上でpopしてるけど、嫌です。

  何でもくっつけられる糊だというナメクジの粘液の入った大きな壺も、触りたくない!


  そうだ!後続で待ってる者居なかった筈!

  そう思い出して、ラスボス部屋に入る事、数度……

  あえなく撃沈で、ナメクジ肉と壺が貯まり……

  そう、ラスボス部屋を何も無い状態にしないと、扉は閉まらない様で、泣く泣く触ったの。

  今日最後という事で入ったら、ミノタウロス来た!

  大興奮で、ミノタウロスをミンチにされる前に、窒息させようと大きい水玉を放り投げれば、大きな斧でホームラン!

  どうだ!とばかりに胸を張るミノタウロス。

  ムッとしたレイトルたちに、氷漬けされ、息の根を止めるのに、触れて電流。

  ドロップ品になる前に、インベントリになおしたんだけど……

  あれ?ドロップ品は?

  もしかして、インベントリに入れちゃいけなかった?!

  呆然としながら、6回目の宝箱を開けたら……

  とても可愛い、手のひらに乗るサイズの家があった。

  「やったー!」

  叫んで飛び跳ねる自分に、レイトルたち驚いてたけど、喜んでるのは伝わった模様。


  日が暮れた頃、フロリバンダの谷がある町ジョセフィアに戻って来たら……

  辺り一面、真っ白だった。




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