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第3章 聴講生になったので、自由にします!

召喚獣たちの好みでない上級ダンジョン

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  公爵様御一行を振り切り、11階層に進んだのは良いけど……

  アリの次は、またモグラの様で……

  土臭いので、食用可と出ても食べません。

  まだ、毛皮はビロードの様に毛が密集して、滑らかだけど、ラッコの魔物の方が艶やかか。

  アリは硬くて軽い外殻が鎧の素材になるので、売れるけど、モグラのドロップ品は……

  その上、道の両脇の崖にはめぼしい物も無くなったからか、フレスベルグ夫婦もイベルダもつまらなさそうで……

  少し進んだ場所に、カーブと共に、僅かの広がりがあった。

  ので、小屋を出して、中に入って、野営する事にしたんだけど……

  月光袋と蜜による琥珀糖くらいしか摘めてないからか、全員、果樹の処に向かって行った。

  夕方より早めに入ったので、花畑に向かえば、驚きの光景。

  母が設置しておいたベンチに座り、羽虫たちとお喋りしてた。

  ふと、母の為と言いつつ、安全ではあるけど、小屋の中に軟禁してたのではないか。

  そう思う表情を、母がしていて、考えてしまった。

  「ライラの召喚獣になりたいわ」

  そう言ってた事を鵜呑みにしてしまっていたのでは……

  自分は充分、召喚獣の小屋に引きこもっていられるほど、居心地がいいんだけど……

  でも、母を1人にすると、子爵家が手を伸ばさないとは言い切れない。

  どうしたらいいんだろう?



  1晩考えても、答えは出ず、そんな状態で、小屋を出てきて、踏破を始めた。

  地面ばかりを見てた所為か、モグラ以外に出て来た巨大ワームに引っ掛かる事無く、ドロップ品に。

  といっても、最高級と鑑定に出ていても、触りたくない肉ばかりだけど。

  このまま、15階層の中ボスかなあ?

  そう思ってたら、またワーム!

  もういい加減にして~!


  レイトルたちも、雑食といえ、モグラやワームの肉はあまり好みではない様で……

  さっさと行こうとするんだよねぇ。

  好きな物ないかな?とばかりに、イベルダとフレスベルグ夫婦は見回しながらも、前に進んでる。

  まあ、自分もめぼしい物が、探査にも現れないので、既に辟易してる。

  このダンジョンから、色んな鉱物が出るって話だったけど、踏破さえしたら、もう来なくて良いかなあ。

  召喚獣たちの反応からも。

  そんな事を考えてたからか、15階層のボス、またしてもワームで!

  そりゃ、鱗の色が土色じゃなく錆色で、硬そうだったけど、口の中に炎を放り込む方法の倒し方だからねえ。

  ドタバタと巨体が暴れてる影響の方が危険!

  落ちるのは、また有り余ってる肉?と思いながら、避難してたら……

  「ぇぇぇぇ!」と叫ぶ羽目になったのは、鑑定文によると、落ちたのはワームの糞!

  フンコロガシの糞の方が固形で良かったよ!

  ドロドロで、いくらミミズの糞が土を豊かにするといっても、触りたくない!

  やだやだ!

  さすがに嫌だ!と思って、宝箱に向かえば……

  何で、鍬?

  「鋤けば鋤くほど、畑が豊かに」って!

  私に何させる気よ!

  まあ、貰っとくけどさあ。糞は要らないと思ってた時、レイトルが踏み付けたからか、消えてた。


  溜息をつきながら、16階層に降りたら……

  にこにこ笑顔のエイドリアン公爵様御一行が居て、顔が引き攣った。

  思わず、見えていない事にして、通り過ぎようと考えたくらい。

  よくよく考えれば、15階層程度であれば、踏破してるマーカー持ち居るよねえ。

  そうだよねえ、簡単には離して貰えないよねえ。

  「おはようございます」と声を掛けられたら、無視は出来ないからねえ。

  「おはようございます」と返すのが礼儀。

  あーめんどくさいなあ。

  そう思いながら、レイトルたちと歩き始めれば、やっぱり付いてくるよねえ。

  ただ、15階層までと違い、16階層からは完全に土の中だった。

  まあ、天井までは10m以上はある事には驚いたけど。

  洞窟と言うより、坑道と言った方が正解かなあ。

  だって、探索と鑑定の魔法が合わさる物が沢山ある様で、popがアチコチに立っているんだもん。

  「魔鉄」「鉄」「銅」「火打ち石」
  
  割とよく、外でも見掛ける鉱物が多い様だけど、掘らずとも、そこそこの大きさの鉱物が転がってる。

  けど、よくよく考えたら、異常じゃない?

  銅も、そうだけど、王都の鍛冶屋のオルゲンさん、屑鉱石扱いのクロムと分けるのに、熱して液体にしてたよね。

  そりゃ、合金の真鍮が、あるある鉱物で存在してたけど……

  鉄や銅が不純物なしで、転がってるとは!

  要するに、形は石だけど、インゴットなの!

  溶かせば直ぐに、製品作りを始められるとなったら、そりゃ鍛冶屋は、このダンジョンの周辺で店を開くよ!

  液体にするのに、鉄の融解度は2000度じゃなかったかな?

  それに必要になる薪の量と代金を考えたら……

  
  唖然としながらも、転がってる石の中から、「魔鉄」だけを拾ってたら、イベルダも拾ってくれた。

  ら、popと一緒に赤点だった物が動き出した。

  ラノベでも定番のゴーレム、それもロックゴーレムだった。

  鑑定文にあった様に、レイトルが手を出す前に拘束。

  それから、ゴーレムに「解体」と呟けば……

  岩と鉱物と宝石と魔石になって、転がった。

  その魔石がバレーボール大サイズで、驚きだった

  けど、レイトルに食べられる前になおしたからね!

  色々と使えそうな魔石なのに、勿体ない!

  それに、驚いた事に、鉱物がねえ。

  魔鉄、ミスリムだけじゃなく、オリハルコン!

  ヒヒイロカネまでが!微量でも出たー!

  という事は、このダンジョンで僅かでも、ヒヒイロカネがあるって事でしょ!


  ひゃっほー!と声だけじゃなく、手も上げてる自分を、唖然として見てた公爵様御一行。

  「何をそんなに興奮してる?」

  そう聞かれ、つい……

  「ヒヒイロカネが微量だけど出たんですよ」

  そう言えば、そりゃびっくりするよねえ。

  このダンジョンで出るのは、オリハルコンが最高だって話だったから。

  婆ちゃんが持ってた魔術書にあった「解体魔法」を使用して、ゴーレムを討伐すると出る。

  そう言えば、公爵様仰け反ってたけど……

  興味津々の様だった。


  16階層で、出て来るゴーレムを解体魔法で処して歩き、17階層に降り歩き続けた。

  レイトルも、地面に魔石が落ちてる事がある事に気付き、齧って歩いてたけど……

  驚きが、何処かに裂け目があるのか、月の光だけ受けて育った様な色合いの薄い、イビルプラントが居た。

  それにしたら襲って来ないな。と思ってたら……

  イビルプラントの形の水晶花!

  珍しいなあ。と思いながら、3cmほど残して、採集ハサミでcutすれば……

  3cm部分の色が透明から緑に戻った。

  ので、時間が経てば、元に戻るんだろうね。

  けど、そろそろロックゴーレムにも飽きたなあ。

  そう思ってたら、18階層に降りる階段があった。  



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