ヒロインだと言われたって知るか!

ふにゃー

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第4章 学園卒業しました!同時に結婚しました

卒業式?

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  夏至の次の日から、ヴィルジーク様の絡みが激しく、真っ赤になる日々です。

  前からよく頭は撫でられたけど……

  今は、周りに人が居ても、腰に手を回されるわ、頬に指を滑らされるし、頬や額にキスをして来る。

  2人きりだと、息が続かず立っていられなくなるくらい濃厚なキスをされる。

  だけじゃなく、うわ言の様に「ライラ…ライラ」って呼ぶし、「大好きだよ」を口にする様になったし、腰を押し付けて来るし!

  ヴィルって呼んでって言うし!

  「俺の事、好き?」って、何度も確認して来るし!

  最近、自分の気持ちに気付いた自分と違って、ヴィルジーク様、随分と年季の入った想いだった様で、今からちょっと怖い。

  唇が腫れぼったくなるくらいのキスなんて、紙面の中だけで、初めて経験したよ!

  それで、王都である卒業式には出ないけど……

  その日に、辺境領都で、式を挙げるの。

  ヴィルジーク様、その日を指折り数えてる様で……

  初夜だって言うのに、絶対に、抱き潰さる予感しかしない。

  冒険者してるから、そこそこスタミナあると思ってるけど、ヴィルジーク様には勝てないよ!


  と、自分の事でいっぱいいっぱいの日々だったんだけど……

  卒業式まで片手で数えられる程になった頃

  コーデリアの婚約が、王命として発表された。

  思ってた通り、王弟殿下の嫡男のロベルト様だった。

  夏至の夜に、毎年王宮で行われる夜会で、顔合わせが密かにあった様で……

  ロッテンマイヤー侯爵、国王陛下に嫌味を言われ、青くなってたそうな。

  勿論、話に来たのは、意外にお喋りなカラス。

  夜は鳥目で見えないんじゃないのか?と思いはしたけどね。

  ちなみに、通訳はヴァインタミアのイベルダです。

  自分と違って、婚約なので、婚姻はまだ先みたい。

  実は、卒業の同級生の中で1番早いです。

  第2王子殿下とクリスティーナ・アギレラ様の婚姻式は、卒業式の5日後、王都の大神殿で行われるだけに。

  あ、でも、婚姻するって事で、辞めた女の子も居たので、1番とは言わないかなあ。

  乙女ゲームであれば、卒業式と言えば、定番の断罪だけど……

  今回の卒業式ではありえなさそう。

  ま、それが1番だよ。

  だって、公の数多くの目がある中で行う婚約破棄は、お馬鹿が行う所業だもの。

  国が最も良いと決めた事を、自身の欲の為に覆すんだから、国の根底が揺らぐ。

  劇場の演出なら、良い手なのかもだけど。


  ちなみに、今は攻略中のブリュンヒルデの隠れ家の16階層。

  屋敷に居ると、ヴィルに絡まれたり、母の縫子仲間に囲まれたりするのと、召喚獣たちを連れ出してあげないとって事で、逃げて来た。

  通常は反対ですよと、執事のクライブさんに言われたけど。

  国王陛下に言った様に、冒険者も、薬師も、テイマーも辞める気はないんでね。

  それにしても、本当に、ブリュンヒルデの隠れ家は不思議。

  もう1つの上級ダンジョン「ウプラムの園庭」は、薬師特化という筋が通ってたけど……

  ダンジョンって、初めて入った隣国の初級ダンジョンや中級ダンジョンの様に、外と似通ったフィールドが展開されてるものだと思ってた。

  あくまで、ラノベが基礎知識なんだけどね。

  ちなみに、ブリュンヒルデの隠れ家は、女性が要る様な物ばかり。

  6階層の綿花は、安く提供出来るので、生理用品に使われ始めたし……

  7階層では、雲母とかタルクとかマンガンとかが採れる、土が剥き出しの地層の崖があって……

  他国から入って来た水銀入りのファンデは危険なので、配合を覚えてなかったので、今、試行錯誤中。

  オシロイバナの実の粉も有害なので、止めましょう。

  8階層では採集品はなかったけど、レイトルに擦り寄り追い掛け回す、大量のメスばかりの馬の群れが居た!

  イラついたレイトルに蹴倒され、死んじゃった時にはショックだったけど、ドロップ品に変わった事で、前提がおかしい事に気付いた。

  そのドロップ品が、馬肉、革もあったけど、大量に落ちたのがたてがみ。

  そう言えば、馬の毛で作ったヘアブラシや歯ブラシ、化粧用のブラシとかもあったよねえ。

  そう1度気付いてしまったら、色々とあったの。

  だって、サフラワー、油にもなるけど、紅花もあったの!

  小屋の中の花畑にもあるので、色付きリップを自分用に作ってたら、どう作るのか?って言われ続けてるんだ。

  油と言えば、マッサージオイル向きなのはヒマワリか!

  だから、1面、種を飛ばして来るダンシングフラワーの階層があるんだね。

  降りた瞬間は、素晴らしい夏の様な風景に、心和んでたのに、1歩、足を踏み出した途端、防御のバリアがなかったら、蜂の巣にされてた。

  まあ、イベルダの好物だけに、彼は大喜びだったけど、ぶつかると傷を負うんだよ。

  どうやって片付けたかは、種が尽きるまで耐え、尽きた後、大鎌に風魔法を掛けて、刈り取ったの!

  その後は、イベルダが忙しげに拾い集めてた。

  けど、風魔法使えるの忘れるほど、頭の中は種だった模様。


  そう言えば、ラノベの中で、肉特化とか果物特化のダンジョンが描かれてたけど、この世界にはあるのかな?

  国王陛下には、他国に行く事もある。と言ったので、出向く事は出来るだろうけど……

  ヴィルジーク様が拗ねそうな気がする。

  でも、まあ、予感で、冒険者として北に行きそうな気がしてるんだよねえ。

  そういう意味でも、ヴィルジーク様と結婚出来るのは嬉しいけど、浮ついてない訳。

  その前に、「ブリュンヒルデの隠れ家」を踏破したい。

  式後は、絶対に、しばらく寝室だろうし……

  あと半分、辿り着けるかな?





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