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しおりを挟む湿度は高くないと、天候は悪化しないと、髭は空気から感じとった。
ちなみに、婆ちゃんが持ってた小さな手鏡を探して、見た事で驚いたのが、髭。
手で触ればあるのに、鏡には写ってないんだもん。
通りで、目に入らない訳だけど、何でだろ?
で、魔法袋の中に、最低限の採集キット(籠幾つか、ハサミ、ナイフなど)と、お昼用に蝋を塗った薄紙(油紙より蜜蝋の方が手に入りやすかったので作った)で包んだハンバーガーと、水筒の魔道具を入れてる。
薄紙は散薬を包むのに使うので、白ではないけど、婆ちゃんに作り方を教わった。
作り方は錬金術なので、楮や三椏、樅などからの製紙方法ではない。
アッチの記憶がある今なら、以前より上手く作れそうだけど……
アッチでの記憶は、カルチャースクールでのだからなあ。
で、魔法袋のナップサックは背負うのではなく、抱っこしてる。
魔法袋だけあって、膨らまないので出来る事だ。
それに、弓矢のセットを背負うんでね。
ちなみに、弓と矢も婆ちゃんの手解きで作ったんだけど……
今なら、矢を魔力にして放てるかも?
いやいや、おぼろげに数年だけど、弓を嗜んでたといっても、実戦じゃないからねえ。
成績はそこそこ良かったみたいだけど……
アーチェリーじゃなく弓道の方で良かったかも?とは思った。
一応、腰には虫や魔物が嫌う避け香が入れてある。
これも自作。
けど、刺されたり噛まれたりしない様に、長袖長ズボン姿。
と言っても、上からフード付きのロングマントを羽織ってる。
婆ちゃんに教えられた認識阻害の魔法陣が、ロングマントの背中に刻まれてるので……
いつも以上に、自分の姿に気付かれない様になってる。
ちなみに、今日の予定は……
清流だという川に近い東門から出て、まず本命の川で砂を木箱に詰めて、魔法袋に収納する。
砂の状態にもよるけど、5箱が希望。
それまでに、薬草の分布以外では、キノコや果物などの確認と採集。
まあ、砂を掘り出す前に、ミズゴケのチェックもしたいし、魚の仕掛けを落としておきたい。
清流であれば、わざわざ泥抜きせずに済むから良いんだけど……どうかな?
とりあえず、家から1番近い東門ということもあって、ちょっと嬉しい。
東門を出る時は、止められること無く、すんなりと出れた。
けど、朝方だと言うのに、既に、町に入るのに並んでる。
朝市に出すのか、野菜などの売物を大量に乗せた荷車が多い。
市場に行った事はあるけど、朝市は市場ではなく、市場の横にある広場で開かれるんだ。
広げる区画サイズは決まってるけど、場所は早い者勝ちなんだよね。
だから、「早くしておくれよ!」と声を上げてるオバチャンが居る。
あの年代の女性は、どの世界でも強いよねえ。
そう思いながら、歩き出したんだけど……
向かおうとしてる川までは歩いて30分で、際まで森が迫り出してるので、注意は必要。
そこまでは、人や魔物が潜めないように、町の周囲は切り開かれてるので、しばらく草原部。
だけど、切り株までは掘り起こされてないので、ちょっとした物が見付かる事があるんだ。
今も、紫色がかった茶色の食用可のレア茸があった。
後は小さい茂みになる野苺なんかがあるんだけど……
日差しがよく当たるから。
だけど、取り尽くされたのか、野苺は葉だけの状態だった。残念。
ラズベリーの方の薮は今からかな?白い花がちらほら見えるから。
ちなみに、自分が辿り着いた門は、確か北だった筈だけど、覚えてない。
行く川の川幅は広い様で20mはあるけど、実質、流れてる部分は4m程で、河原にはゴツゴツとした岩が転がってもいるらしい。ギルド情報
とりあえず、深めで茂みが覆い被さってるというところもあるので……
細かい網目の大きめの仕掛けと、ウナギやドジョウ用の細長いのと、幾つか、落とすつもりでいる。
手順やする事を思い出しながら、川まで歩いたんだけど……
途中から街道ではなく、森まではいかないけど、割と下草にまで日差しが差し込んでる林が続いてたので、採集しながら歩いてたら……
流れる水音が聞こえて来た。
水辺には、水を飲みに来る獣、魔物もいるので、気配を探りながら近付いた。
リーナは経験あるけど、アッチの記憶が戻ってからは初めてなので、ドキドキしてたんだけど……
意外と簡単に出来た。探索魔法ってやつ。
川の流れが早い場所ではなく、水溜まりの様になってるところに、何かの気配。
索敵と探索をドッキングするイメージでしたら、黄色のマークがいっぱい。
赤は敵意を持つ相手なんだけど、黄色って事は魔物。
魔物で青のマークになる事はない。
青はあくまで知性がある種に浮かぶものなんだけど……
何やら1箇所に固まって密集してるって、どういう事?
あ、もしかして、これってラノベ定番のスライム?ってやつ?
ちなみに、ここのスライムは最弱の物から最凶の物まで、色によって色々みたい。
水色や薄緑色は最弱の様だけど、紫色とかは悪食なので逃げた方がいいみたい。
そう思いながら、大きな岩に飛び移りながら、対岸に。
予定した深みがあって、影になってる場所に、仕掛けを魔法で落とすんだけど、仕掛け同士は離して……中には端肉を入れてある。
ちなみに、大きめの仕掛けは沢蟹か、ロブスターを狙ってるんだ。
リーナの記憶によれば、この川はどうかは分からないけど、鮭鱒がいそう。
ニジマスが美味しかった~っていう記憶が残ってる。
まあ、今の初夏くらいの季節なら、イワナとかワカサギ、鮎が入れば良いなあ。
猫の獣人だからか、とってもお魚大好きです。
お肉も好きだけど。
お昼にハンバーガーを食べる時には、聞き耳はたててるけど、今のところ、何も起こってない。
なので、回復薬ポーション瓶にする砂は回収した。
ちなみに、川べりにある石が混じってる砂じゃないよ。
細かく白い砂ってなると、川底や滝底って事になるんだよね。
猫だけに濡れると髭が利かなくなるので、嫌なんだけど……
薬材になる苔も、たまにあるので、仕方がない。
潜って取るのじゃなく、土魔法でだけど、川底に手を付けないといけないので、濡れちゃうんだ。
まあ、終わったら、さっさと風魔法で乾かしたけど。
クレソンの様な草が生えてたので、そこそこ清流って事で、上等な砂が取れて上機嫌。
だったんだけど、薄水色のスライムがモゾモゾと近付いて来たので、流れ着いてた長い枝で、突き刺して討伐しながら釣り。
薬草や果物などの採集は、帰り道にでもする予定。
枝で突いてってする方法は、ラノベに描かれてた方法を真似てみた。
そしたら、思ってたより簡単だった。
突く事で酸を吐かせ、2度目に突くと、魔核とゼリーを残して溶ける。
黄色いマークが無くなった時、どっちも回収しておいた。
アッチの記憶が戻らなければ、捨てて行くところだけど……
ラノベにあったスライムゼリーの実験をして見ようかねえ。と思って。
一応、塊はあるけど、ベチャベチャだから、このままでは使えそうにないもの。
日干しにしてみるものと、風魔法でも乾燥させてみよう。
粉にしてからなら、食用のゼリーにもできるよね。
ラノベでは、確か、粉にしてから加熱したら、ゲルになってたよね。
そう思いながら、魔法袋に収納してたら……
森に面した土手に、赤紫のカタクリの花を見付けた!
リーナの薬草知識じゃなくて、アッチの知識。
これは使うのが根っこなのよ。
片栗粉の元祖がコレ、市販の物はジャガイモ
土手をよじ登れば、群生してる!
裏の庭の日陰であれば、根付きそうなので、周りを警戒しながら、掘り出す事にした。
ちなみに、夏になったら地上部は枯れ休眠に入っちゃうからギリギリだね
で、花も葉も茎も湯掻いて食べれるんだ
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