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07:《聖紋》を復活させる方法(2)
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「いえ、たとえ見つからなかったとしても、フィルディス様が謝られることではありませんよ。貴重な情報を教えてくださってありがとうございます。イリスフレーナ、是非行ってみたいです!」
「そうか。興味を持ってもらえて良かった。エミリオにも後で礼を言ってやってくれ。そろそろ元の場所に戻ろう。だいぶ時間が経ったし、エミリオが戻ってくるかもしれない」
「はい」
歩き出した彼に付き従い、しばらくして私は口を開いた。
「あの、フィルディス様。お尋ねしても良いでしょうか」
「何だ? 改まって」
私の隣を歩きながら、フィルディス様は不思議そうな顔をした。
「私が《聖紋》を失ったのはたった一週間前です。それなのに、この短時間でエミリオ様はイリスフレーナという国の存在を突き止めた。ということは、フィルディス様は私が《聖紋》を失った直後にエミリオ様に調査を依頼されたんですよね?」
「ああ。リーリエが聖女の証を失い、レニールに婚約破棄されて落ち込んでると聞いたから。婚約破棄されたことはどうしようもないけど、《聖紋》なら取り戻す手段があるんじゃないかと思ったんだ。その手段を見つけ出すことでリーリエを励ましたかった」
彼の思いやりが胸に染みて、目頭が熱くなった。
「……気持ちは大変嬉しく思います。けれど、どうしてそこまで私のことを気にかけてくださったんですか?」
私がフィルディス様とエミリオ様と知り合ったのは二年前――正確には二年と少し前のことだ。
二年前の冬、ルミナスに魔物の大群が押し寄せた。
ルミナスの北西部に広がる大森林に生息していた魔物たちが、国境を侵して一斉になだれ込んできたのだ。
原因はわからない。
その冬は例年より寒さが厳しかったから、食料不足に陥った魔物が人間を餌として認識したのかもしれない。
辺境伯の報告を受けた国王は大慌てで軍を起こし、討伐隊を編成した。
その中にはフィルディス様やエミリオ様もいた。
私はルミナス救護団の一員として現場に駆けつけ、負傷者の治療に当たった。
人と魔物との激しい戦争の中、私たち三人は交流を深めた。
白い息を吐きながら、フィルディス様やエミリオ様と交わした言葉。
夜空の下で互いの生存を喜び合い、笑い合った記憶は色あせることなく、宝物として私の心に刻まれている。
半年にも及ぶ戦争が終わると、華々しい戦果によって、騎士見習いだったフィルディス様は正式に騎士となった。
エミリオ様は魔導『士』から魔導『師』に格上げされた。
二人は宮廷で働き始め、私は以前と変わらず聖女として各地を飛び回る生活を送った。
王宮に行ったときに何度か二人と顔を合わせたけれど、それも片手で足るほどの回数だし、言葉を交わした時間は長くても五分程度。
それなのに、どうしてフィルディス様は私を気にかけてくださったのか。
長い付き合いの友人ならともかく、私とフィルディス様がまともに交流したのは戦場での半年間だけなのに。
もしかして、そのたった半年間の思い出をフィルディス様は大切に胸に抱いていてくださったのだろうか。私と同じように。
「そうか。興味を持ってもらえて良かった。エミリオにも後で礼を言ってやってくれ。そろそろ元の場所に戻ろう。だいぶ時間が経ったし、エミリオが戻ってくるかもしれない」
「はい」
歩き出した彼に付き従い、しばらくして私は口を開いた。
「あの、フィルディス様。お尋ねしても良いでしょうか」
「何だ? 改まって」
私の隣を歩きながら、フィルディス様は不思議そうな顔をした。
「私が《聖紋》を失ったのはたった一週間前です。それなのに、この短時間でエミリオ様はイリスフレーナという国の存在を突き止めた。ということは、フィルディス様は私が《聖紋》を失った直後にエミリオ様に調査を依頼されたんですよね?」
「ああ。リーリエが聖女の証を失い、レニールに婚約破棄されて落ち込んでると聞いたから。婚約破棄されたことはどうしようもないけど、《聖紋》なら取り戻す手段があるんじゃないかと思ったんだ。その手段を見つけ出すことでリーリエを励ましたかった」
彼の思いやりが胸に染みて、目頭が熱くなった。
「……気持ちは大変嬉しく思います。けれど、どうしてそこまで私のことを気にかけてくださったんですか?」
私がフィルディス様とエミリオ様と知り合ったのは二年前――正確には二年と少し前のことだ。
二年前の冬、ルミナスに魔物の大群が押し寄せた。
ルミナスの北西部に広がる大森林に生息していた魔物たちが、国境を侵して一斉になだれ込んできたのだ。
原因はわからない。
その冬は例年より寒さが厳しかったから、食料不足に陥った魔物が人間を餌として認識したのかもしれない。
辺境伯の報告を受けた国王は大慌てで軍を起こし、討伐隊を編成した。
その中にはフィルディス様やエミリオ様もいた。
私はルミナス救護団の一員として現場に駆けつけ、負傷者の治療に当たった。
人と魔物との激しい戦争の中、私たち三人は交流を深めた。
白い息を吐きながら、フィルディス様やエミリオ様と交わした言葉。
夜空の下で互いの生存を喜び合い、笑い合った記憶は色あせることなく、宝物として私の心に刻まれている。
半年にも及ぶ戦争が終わると、華々しい戦果によって、騎士見習いだったフィルディス様は正式に騎士となった。
エミリオ様は魔導『士』から魔導『師』に格上げされた。
二人は宮廷で働き始め、私は以前と変わらず聖女として各地を飛び回る生活を送った。
王宮に行ったときに何度か二人と顔を合わせたけれど、それも片手で足るほどの回数だし、言葉を交わした時間は長くても五分程度。
それなのに、どうしてフィルディス様は私を気にかけてくださったのか。
長い付き合いの友人ならともかく、私とフィルディス様がまともに交流したのは戦場での半年間だけなのに。
もしかして、そのたった半年間の思い出をフィルディス様は大切に胸に抱いていてくださったのだろうか。私と同じように。
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