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53:大好きだから(4)
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「太陽のように明るく、お茶目で可愛らしい亜紀くんを愛する生徒はとても多かった。彼らは亜紀くんが弟のために動いたことを知り、団結して悠紀くんの悪口を言う生徒の粛清に乗り出した。おかげでいまも表だって悠紀くんの悪口を言う人はいない。単純に、皆があの頃よりも成長し、分別をわきまえたことで、あからさまに悪意をぶつける人がいなくなっただけなのかもしれないけれどね」
関先輩は風に揺れる髪を押さえて苦笑した。
「高等部生になって私が報道部に入ったとき、亜紀くんに頼まれたわ。もし弟に関する記事が出そうになったら止めてくれって。今回の真田さんの暴走は亜紀くんのトラウマを刺激したでしょう。危うく過去の二の舞を演じるところだった。本当に申し訳ないことをしてしまったわ。ああ、もちろん、戸川さんにもね。戸川さんが直接の被害者だものね」
「いいえ。私のことはいいんです」
関先輩の目をまっすぐに見返して言う。
私の表情に何か感じるものがあったのか、関先輩は微かに笑って言った。
「亜紀くんがどうしてあんなに社交的で、年齢問わず、より多くの友人を作ろうとしているのかわかる?」
「はい。悠紀くんのため、ですね」
亜紀くんは生来お喋りで、人との交流が好きなのだろう。
でも、多分亜紀くんは自分のためだけじゃなく、何よりも弟のために味方を増やそうとしている。
いざというときに弟を守れるように。
人の口には戸が立てられなくても、せめて表面上は、弟が平穏な学生生活を送れるように。
「つまるところ、亜紀くんは悠紀くんが大好きなのよね」
緩やかな風に吹かれながら、桜の木の下で、関先輩はくすくす笑った。
つられて私も笑う。
心地良い時間が流れた。
「さて。お喋りはこれでおしまいかしら?」
鞄を持ち直して、関先輩が首を傾げた。
「はい。ありがとうございました」
「ええ。またね」
関先輩が去っていく。
少しして私も昇降口に向かった。
「戸川さん」
呼び止められて振り返る。
先に行ってと言ったのに、気になって待っていたらしく、悠紀くんが歩いてきた。
隣に亜紀くんの姿はない。
見回してみると、亜紀くんはさきほど別れた場所で立ち止まり、五人の男女と会話していた。
「何の話をしてたんだ?」
「亜紀くんが悠紀くんのことを大好きだっていう話」
「は?」
悠紀くんはあからさまに嫌そうな顔をした。
素直じゃないなあ、と苦笑する。
私、真紘さんに聞いてるんだけど。
悠紀くんだって、亜紀くんが風邪を拗らせて寝込んだときは心配で一晩中起きてたんでしょ?
自分のことはなんて言われてもスルーしてきたのに、亜紀くんのことを悪く言われたときは相手の胸ぐらを掴み上げて怒ったんだってね?
私、知ってるんだから。
悠紀くんも亜紀くんが大好きなこと。
「ふふ。行こう」
私は笑い、軽い足取りで歩き出した。
関先輩は風に揺れる髪を押さえて苦笑した。
「高等部生になって私が報道部に入ったとき、亜紀くんに頼まれたわ。もし弟に関する記事が出そうになったら止めてくれって。今回の真田さんの暴走は亜紀くんのトラウマを刺激したでしょう。危うく過去の二の舞を演じるところだった。本当に申し訳ないことをしてしまったわ。ああ、もちろん、戸川さんにもね。戸川さんが直接の被害者だものね」
「いいえ。私のことはいいんです」
関先輩の目をまっすぐに見返して言う。
私の表情に何か感じるものがあったのか、関先輩は微かに笑って言った。
「亜紀くんがどうしてあんなに社交的で、年齢問わず、より多くの友人を作ろうとしているのかわかる?」
「はい。悠紀くんのため、ですね」
亜紀くんは生来お喋りで、人との交流が好きなのだろう。
でも、多分亜紀くんは自分のためだけじゃなく、何よりも弟のために味方を増やそうとしている。
いざというときに弟を守れるように。
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「つまるところ、亜紀くんは悠紀くんが大好きなのよね」
緩やかな風に吹かれながら、桜の木の下で、関先輩はくすくす笑った。
つられて私も笑う。
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「さて。お喋りはこれでおしまいかしら?」
鞄を持ち直して、関先輩が首を傾げた。
「はい。ありがとうございました」
「ええ。またね」
関先輩が去っていく。
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「戸川さん」
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先に行ってと言ったのに、気になって待っていたらしく、悠紀くんが歩いてきた。
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