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60:国民的アイドルの降臨
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双子と共に帰宅すると、素敵なサプライズが待っていた。
「ただいまー!」
亜紀くんが今日も元気に扉を開ける。
「お帰り」
玄関ホールには見慣れた出迎えのお手伝いさんの他に、すらりとした美青年が立っていた。
十字のマークが入ったワインレッドのシャツと細身のジーパンを見事に着こなし、爽やかに微笑むのは真紘さんだ。
「兄ちゃんだー!!」
亜紀くんは飼い主に飛びつく犬のように、持っていた鞄を放って兄に抱き着いた。
放物線を描いて飛んだ鞄は佐藤さんがキャッチし、そのまま部屋へと運ばれていった。
「なんで兄ちゃんがいるの?」
アイドル活動に学生生活と、多忙を極める真紘さんに会えたことが嬉しくて仕方ないらしく、兄を見つめる亜紀くんの目はキラキラしている。
「『紅風堂』の季節限定モンブランを貰ったんだ。五個あるから、甘いもの好きの弟たちにおすそ分けしようと思ってね」
ぱちん、とウィンクする真紘さん。
「『紅風堂』!? マジで!? ってか、そのためにわざわざ来てくれたのか!? 兄ちゃん大好き!!」
亜紀くんはぎゅーっと兄に抱き着き、全身全霊で感謝を表した。
「ふふ。亜紀はいつも全力で歓迎してくれるから嬉しいよ」
嬉しそうに亜紀くんの頭を撫でてから、真紘さんは突っ立っている悠紀くんに向かって両手を広げた。
「たまには悠紀も飛びついてくれていいんだよ?」
「遠慮する」
道を歩けば女子を絶叫させずにはいられない超人気アイドルに対しても、悠紀くんは塩対応を貫き、一歩引いた。
「そっか。悠紀はおれを歓迎してくれないのか。残念だなあ。じゃあ悠紀の分は皆でわけようね」
「!?」
びくりと悠紀くんの身体が震えた。
何を隠そう――いや、何も隠してなどいないが――この家で最もスイーツ好きなのは悠紀くんである。
『紅風堂』と言えば、頻繁にテレビでも取り上げられる超人気店。
季節限定商品の入手は困難を極め、この機会を逃せば永久に食べられない可能性が高い。
皆が美味しそうにモンブランを食べる中、一人だけ指を咥えて見ているなんて拷問だろう。
「……っ、……。……」
悠紀くんは拳を握って葛藤している。
「さあ行こうか。今日の夕食はふわふわのオムライスだよ。楽しみだねー」
真紘さんは右手で私の背中を、左手で亜紀くんの背中を押し、無慈悲にも悠紀くんを放って玄関ホールを出て行こうとした。
「――! 待って」
悠紀くんは真紘さんに駆け寄り、私の背中を押す真紘さんの右腕を掴んで引いた。
「なあに?」
真紘さんがとぼけた様子で尋ねる。
「……っ、あ、兄貴が、帰ってきてくれるのは、嬉しい」
わずかに頬を赤らめて、たどたどしく、悠紀くんは言う。
「はい、良く言えました。悠紀も一緒に食べようね」
にっこり笑って真紘さんは悠紀くんの頭を撫でた。
「ただいまー!」
亜紀くんが今日も元気に扉を開ける。
「お帰り」
玄関ホールには見慣れた出迎えのお手伝いさんの他に、すらりとした美青年が立っていた。
十字のマークが入ったワインレッドのシャツと細身のジーパンを見事に着こなし、爽やかに微笑むのは真紘さんだ。
「兄ちゃんだー!!」
亜紀くんは飼い主に飛びつく犬のように、持っていた鞄を放って兄に抱き着いた。
放物線を描いて飛んだ鞄は佐藤さんがキャッチし、そのまま部屋へと運ばれていった。
「なんで兄ちゃんがいるの?」
アイドル活動に学生生活と、多忙を極める真紘さんに会えたことが嬉しくて仕方ないらしく、兄を見つめる亜紀くんの目はキラキラしている。
「『紅風堂』の季節限定モンブランを貰ったんだ。五個あるから、甘いもの好きの弟たちにおすそ分けしようと思ってね」
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「『紅風堂』!? マジで!? ってか、そのためにわざわざ来てくれたのか!? 兄ちゃん大好き!!」
亜紀くんはぎゅーっと兄に抱き着き、全身全霊で感謝を表した。
「ふふ。亜紀はいつも全力で歓迎してくれるから嬉しいよ」
嬉しそうに亜紀くんの頭を撫でてから、真紘さんは突っ立っている悠紀くんに向かって両手を広げた。
「たまには悠紀も飛びついてくれていいんだよ?」
「遠慮する」
道を歩けば女子を絶叫させずにはいられない超人気アイドルに対しても、悠紀くんは塩対応を貫き、一歩引いた。
「そっか。悠紀はおれを歓迎してくれないのか。残念だなあ。じゃあ悠紀の分は皆でわけようね」
「!?」
びくりと悠紀くんの身体が震えた。
何を隠そう――いや、何も隠してなどいないが――この家で最もスイーツ好きなのは悠紀くんである。
『紅風堂』と言えば、頻繁にテレビでも取り上げられる超人気店。
季節限定商品の入手は困難を極め、この機会を逃せば永久に食べられない可能性が高い。
皆が美味しそうにモンブランを食べる中、一人だけ指を咥えて見ているなんて拷問だろう。
「……っ、……。……」
悠紀くんは拳を握って葛藤している。
「さあ行こうか。今日の夕食はふわふわのオムライスだよ。楽しみだねー」
真紘さんは右手で私の背中を、左手で亜紀くんの背中を押し、無慈悲にも悠紀くんを放って玄関ホールを出て行こうとした。
「――! 待って」
悠紀くんは真紘さんに駆け寄り、私の背中を押す真紘さんの右腕を掴んで引いた。
「なあに?」
真紘さんがとぼけた様子で尋ねる。
「……っ、あ、兄貴が、帰ってきてくれるのは、嬉しい」
わずかに頬を赤らめて、たどたどしく、悠紀くんは言う。
「はい、良く言えました。悠紀も一緒に食べようね」
にっこり笑って真紘さんは悠紀くんの頭を撫でた。
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