89 / 97
89:大歓迎(2)
しおりを挟む
「なあ、手を掴んでていいのか? おれの能力を知ったときはすぐ手を離したじゃん。記憶を読まれるのは嫌なんだろ」
「いいよ。玲央を受け入れるって決めたときから、この家で暮らす全員、とっくに覚悟はできてんの。そもそもよく考えたらオレ、清く正しく生きてるし。玲央に読まれて困るような記憶なんてないんだよ」
玲央くんの手を掴んで玄関ホールを歩きながら、亜紀くんはにっと笑った。
「……お前が3D美少女Akikoの正体だって誰かに言ってもいい?」
「それはダメ」
亜紀くんはぴしゃりとそう言ってから、大広間の前で止まった。
「はい。ここがうちの大広間。開けて」
亜紀くんは玲央くんの手を引っ張っていたその手で真鍮製のドアノブを指さした。
「……おれが?」
「そう」
何故? という顔をする玲央くんに、こくりと頷く亜紀くん。
この後の展開を知っている私は悠紀くんと顔を見合わせて笑った。
「…………」
玲央くんは眼鏡の奥の黒瞳でしばしためらうようにドアノブを見つめた後、扉を開けた。
瞬間、けたたましい音が一斉にさく裂し、色とりどりの紙テープが玲央くんめがけて降り注いだ。
「!?」
びくっと玲央くんの肩が震え、
『お帰りなさいませ玲央様ー!!!』
ドンドンパフパフー!!
お手伝いさんたちの声と共に、騒々しい音楽が鳴った。
飾り付けられた大広間にはクラッカーや楽器を手にしたお手伝いさんたちがずらりと並んでいる。
今回の参加メンバーはぴったり十人。
男性である執事の森田さんと、お仕着せを着た女性のお手伝いさん九人だ。
「………………?」
「お荷物をお預かり致します」
佐藤さんは頭や肩に紙吹雪を乗せた玲央くんが固まっている隙に鞄をさっと取り上げ、大広間を出て行った。
残り八人となった女性のお手伝いさんたちは、クラッカーや楽器をテーブルの上に置くや否や玲央くんの元に殺到した。
「まーイケメン! 大変だわ、新たなイケメンが降臨したわ! この家にはイケメンしかいないわよどうしましょう!」
「なんて働き甲斐のある職場なのかしら! 今日もお掃除頑張っちゃう!」
「まあまあ、この子ほんとにイケメンじゃない」
「ええそうね、真紘様も超イケメンだけれど、真紘様とはまた違う系統のイケメンよ! 真紘様が白鳥の美しさだとしたら玲央様は野生の狼の美しさね!」
「ああっ、わかる! わかるわ! ちょっとした仕草にも気品を漂わせる優雅な真紘様に対して、玲央様はワイルドな感じ!」
「あらっ、ピアス穴がたくさん! これはワルね!? あなた好青年に見せかけて実はワルだったでしょう!? 隠してもダメよ、おばちゃんにはわかるのよ!」
「何を言ってるのみんな、そんなことより大事なことがあるでしょう!? 歓迎の挨拶という名目で堂々とイケメンにボディタッチする絶好の機会なのよ!? じっくり鑑賞するのは後よ後!」
「この機を逃すな!」
「触れ触れ!」
「いいよ。玲央を受け入れるって決めたときから、この家で暮らす全員、とっくに覚悟はできてんの。そもそもよく考えたらオレ、清く正しく生きてるし。玲央に読まれて困るような記憶なんてないんだよ」
玲央くんの手を掴んで玄関ホールを歩きながら、亜紀くんはにっと笑った。
「……お前が3D美少女Akikoの正体だって誰かに言ってもいい?」
「それはダメ」
亜紀くんはぴしゃりとそう言ってから、大広間の前で止まった。
「はい。ここがうちの大広間。開けて」
亜紀くんは玲央くんの手を引っ張っていたその手で真鍮製のドアノブを指さした。
「……おれが?」
「そう」
何故? という顔をする玲央くんに、こくりと頷く亜紀くん。
この後の展開を知っている私は悠紀くんと顔を見合わせて笑った。
「…………」
玲央くんは眼鏡の奥の黒瞳でしばしためらうようにドアノブを見つめた後、扉を開けた。
瞬間、けたたましい音が一斉にさく裂し、色とりどりの紙テープが玲央くんめがけて降り注いだ。
「!?」
びくっと玲央くんの肩が震え、
『お帰りなさいませ玲央様ー!!!』
ドンドンパフパフー!!
お手伝いさんたちの声と共に、騒々しい音楽が鳴った。
飾り付けられた大広間にはクラッカーや楽器を手にしたお手伝いさんたちがずらりと並んでいる。
今回の参加メンバーはぴったり十人。
男性である執事の森田さんと、お仕着せを着た女性のお手伝いさん九人だ。
「………………?」
「お荷物をお預かり致します」
佐藤さんは頭や肩に紙吹雪を乗せた玲央くんが固まっている隙に鞄をさっと取り上げ、大広間を出て行った。
残り八人となった女性のお手伝いさんたちは、クラッカーや楽器をテーブルの上に置くや否や玲央くんの元に殺到した。
「まーイケメン! 大変だわ、新たなイケメンが降臨したわ! この家にはイケメンしかいないわよどうしましょう!」
「なんて働き甲斐のある職場なのかしら! 今日もお掃除頑張っちゃう!」
「まあまあ、この子ほんとにイケメンじゃない」
「ええそうね、真紘様も超イケメンだけれど、真紘様とはまた違う系統のイケメンよ! 真紘様が白鳥の美しさだとしたら玲央様は野生の狼の美しさね!」
「ああっ、わかる! わかるわ! ちょっとした仕草にも気品を漂わせる優雅な真紘様に対して、玲央様はワイルドな感じ!」
「あらっ、ピアス穴がたくさん! これはワルね!? あなた好青年に見せかけて実はワルだったでしょう!? 隠してもダメよ、おばちゃんにはわかるのよ!」
「何を言ってるのみんな、そんなことより大事なことがあるでしょう!? 歓迎の挨拶という名目で堂々とイケメンにボディタッチする絶好の機会なのよ!? じっくり鑑賞するのは後よ後!」
「この機を逃すな!」
「触れ触れ!」
0
あなたにおすすめの小説
子持ち愛妻家の極悪上司にアタックしてもいいですか?天国の奥様には申し訳ないですが
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
胸がきゅんと、甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちだというのに。
入社して配属一日目。
直属の上司で教育係だって紹介された人は、酷く人相の悪い人でした。
中高大と女子校育ちで男性慣れしてない私にとって、それだけでも恐怖なのに。
彼はちかよんなオーラバリバリで、仕事の質問すらする隙がない。
それでもどうにか仕事をこなしていたがとうとう、大きなミスを犯してしまう。
「俺が、悪いのか」
人のせいにするのかと叱責されるのかと思った。
けれど。
「俺の顔と、理由があって避け気味なせいだよな、すまん」
あやまってくれた彼に、胸がきゅんと甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちなのに。
星谷桐子
22歳
システム開発会社営業事務
中高大女子校育ちで、ちょっぴり男性が苦手
自分の非はちゃんと認める子
頑張り屋さん
×
京塚大介
32歳
システム開発会社営業事務 主任
ツンツンあたまで目つき悪い
態度もでかくて人に恐怖を与えがち
5歳の娘にデレデレな愛妻家
いまでも亡くなった妻を愛している
私は京塚主任を、好きになってもいいのかな……?
訳あり冷徹社長はただの優男でした
あさの紅茶
恋愛
独身喪女の私に、突然お姉ちゃんが子供(2歳)を押し付けてきた
いや、待て
育児放棄にも程があるでしょう
音信不通の姉
泣き出す子供
父親は誰だよ
怒り心頭の中、なしくずし的に子育てをすることになった私、橋本美咲(23歳)
これはもう、人生詰んだと思った
**********
この作品は他のサイトにも掲載しています
俺様外科医の溺愛、俺の独占欲に火がついた、お前は俺が守る
ラヴ KAZU
恋愛
ある日、まゆは父親からお見合いを進められる。
義兄を慕ってきたまゆはお見合いを阻止すべく、車に引かれそうになったところを助けてくれた、祐志に恋人の振りを頼む。
そこではじめてを経験する。
まゆは三十六年間、男性経験がなかった。
実は祐志は父親から許嫁の存在を伝えられていた。
深海まゆ、一夜を共にした女性だった。
それからまゆの身が危険にさらされる。
「まゆ、お前は俺が守る」
偽りの恋人のはずが、まゆは祐志に惹かれていく。
祐志はまゆを守り切れるのか。
そして、まゆの目の前に現れた工藤飛鳥。
借金の取り立てをする工藤組若頭。
「俺の女になれ」
工藤の言葉に首を縦に振るも、過去のトラウマから身体を重ねることが出来ない。
そんなまゆに一目惚れをした工藤飛鳥。
そして、まゆも徐々に工藤の優しさに惹かれ始める。
果たして、この恋のトライアングルはどうなるのか。
結婚相手は、初恋相手~一途な恋の手ほどき~
馬村 はくあ
ライト文芸
「久しぶりだね、ちとせちゃん」
入社した会社の社長に
息子と結婚するように言われて
「ま、なぶくん……」
指示された家で出迎えてくれたのは
ずっとずっと好きだった初恋相手だった。
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
ちょっぴり照れ屋な新人保険師
鈴野 ちとせ -Chitose Suzuno-
×
俺様なイケメン副社長
遊佐 学 -Manabu Yusa-
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
「これからよろくね、ちとせ」
ずっと人生を諦めてたちとせにとって
これは好きな人と幸せになれる
大大大チャンス到来!
「結婚したい人ができたら、いつでも離婚してあげるから」
この先には幸せな未来しかないと思っていたのに。
「感謝してるよ、ちとせのおかげで俺の将来も安泰だ」
自分の立場しか考えてなくて
いつだってそこに愛はないんだと
覚悟して臨んだ結婚生活
「お前の頭にあいつがいるのが、ムカつく」
「あいつと仲良くするのはやめろ」
「違わねぇんだよ。俺のことだけ見てろよ」
好きじゃないって言うくせに
いつだって、強引で、惑わせてくる。
「かわいい、ちとせ」
溺れる日はすぐそこかもしれない
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
俺様なイケメン副社長と
そんな彼がずっとすきなウブな女の子
愛が本物になる日は……
わたしにしか懐かない龍神の子供(?)を拾いました~可愛いんで育てたいと思います
あきた
ファンタジー
明治大正風味のファンタジー恋愛もの。
化物みたいな能力を持ったせいでいじめられていたキイロは、強引に知らない家へ嫁入りすることに。
所が嫁入り先は火事だし、なんか子供を拾ってしまうしで、友人宅へ一旦避難。
親もいなさそうだし子供は私が育てようかな、どうせすぐに離縁されるだろうし。
そう呑気に考えていたキイロ、ところが嫁ぎ先の夫はキイロが行方不明で発狂寸前。
実は夫になる『薄氷の君』と呼ばれる銀髪の軍人、やんごとなき御家柄のしかも軍でも出世頭。
おまけに超美形。その彼はキイロに夢中。どうやら過去になにかあったようなのだが。
そしてその彼は、怒ったらとんでもない存在になってしまって。
苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」
母に紹介され、なにかの間違いだと思った。
だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。
それだけでもかなりな不安案件なのに。
私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。
「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」
なーんて義父になる人が言い出して。
結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。
前途多難な同居生活。
相変わらず専務はなに考えているかわからない。
……かと思えば。
「兄妹ならするだろ、これくらい」
当たり前のように落とされる、額へのキス。
いったい、どうなってんのー!?
三ツ森涼夏
24歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務
背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。
小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。
たまにその頑張りが空回りすることも?
恋愛、苦手というより、嫌い。
淋しい、をちゃんと言えずにきた人。
×
八雲仁
30歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』専務
背が高く、眼鏡のイケメン。
ただし、いつも無表情。
集中すると周りが見えなくなる。
そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。
小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。
ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!?
*****
千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』
*****
表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101
10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
専業プウタ
恋愛
25歳の桜田未来は中学生から10年以上引きこもりだったが、2人暮らしの母親の死により外に出なくてはならなくなる。城ヶ崎冬馬は女遊びの激しい大手アパレルブランドの副社長。彼をストーカーから身を張って助けた事で未来は一時的に記憶喪失に陥る。冬馬はちょっとした興味から、未来は自分の恋人だったと偽る。冬馬は未来の純粋さと直向きさに惹かれていき、嘘が明らかになる日を恐れながらも未来の為に自分を変えていく。そして、未来は恐れもなくし、愛する人の胸に飛び込み夢を叶える扉を自ら開くのだった。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる