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私は玲央くんにイニシャルを刺繍したキーホルダーをプレゼントした。
双子の誕生日にプレゼントしたものと色違いのキーホルダー。
キーホルダーの先端に取り付けたこの家の鍵を、玲央くんは何か不思議なものでも見るように眺めていた。
悠紀くんがプレゼントしたのは各教科の参考書一式で、玲央くんは「……これがプレゼント?」と顔を引きつらせていた。
でも、悠紀くんが「これを使って落第寸前の成績をどうにか上げて欲しい、お前と一緒に進級したい」と言ったら、何か感じるものがあったらしく「わかった」と頷いた。
最後に亜紀くんが玲央くんにプレゼントしたのは、一メートル以上あるファンシーな見た目をしたシャチの抱き枕。
私がもらったイルカの抱き枕と同じシリーズだ。
玲央くんは「おれは幼稚園児か」と文句を言いつつも、そのふわふわ触感が気に入ったらしく、無言で撫でたり抱いたりし、皆から生温かい視線で見つめられていることに気づいて「いや別に気に入ってないからな!?」と赤面していた。
「皆でプレゼントを渡したとき、あいつ妙に嬉しそうだったよな。ひょっとして、これまで親から誕生日プレゼントとか何も貰ったことないんじゃないかな……」
重い沈黙が落ちた。
まさかと言いたいけれど、悲しいことに、玲央くんの両親ならありえる。
「……玲央くんの誕生日、2月だったよね。全力でお祝いしようね!」
「ああ」
悠紀くんは真顔で頷いた。
亜紀くんに負けないくらい、玲央くんを全力で甘やかして、幸せにしなければ――恐らくこのとき、私と悠紀くんは思いを同じくしていた。
「アパートまで迎えに行ったとき、あいつに謝られたよ。いままで本当にごめんって頭を下げられた。特殊能力があっても愛されてる俺がずっと羨ましかった、嫌いだなんて嘘だって」
「……そう。玲央くん、ちゃんと謝ったんだね。実は私も。歓迎会が終わった後、玲央くんに呼びとめられたの。好きでもないのにちょっかいかけて、壁ドンとかして悪かったなって言われ――」
「ちょっと待って。壁ドンって何?」
「はっ」
しまった、藪蛇だったと両手で口を塞いでももう遅く、悠紀くんは険しい顔をしている。
「……説明しないとダメ?」
「ああ」
即答だった。これは本気だ。
「……じゃあ、悠紀くん、背中を壁にくっつけて立って。で、私がこう、腕を伸ばして、自分の身体と壁の間に相手を閉じ込める感じで……」
仕方なく、私は悠紀くんを相手に壁ドンを実演してみせた。
壁に手をつき、思い切って悠紀くんに顔を近づけたものの、心臓がバクバク鳴ってしまい、これ以上はとても無理!
これ、やっててめちゃくちゃ恥ずかしいんですけど!?
玲央くん、よくこんなのできたな!?
「つまりこんな感じです……悠紀くん?」
精神力を使い果たして身体を引くと、悠紀くんは壁に背中をつけたまま片手で額を押さえた。
「……紬」
低い声で言いながら、悠紀くんが手を下ろして顔を上げる。
「もし玲央が次に同じことをやったら全力で殴れ。俺が許す」
め、目が据わってる……!!
「いや、でも、もうしないって言ってたから。ね?」
どうにか彼の怒りを解くべく、私は手を振った。
「当たり前だろ。あいつは本当に……でも、あそこまで歪んだのは親のせいだし……反省してるみたいだからな……」
何やら苦悩した後、悠紀くんは深いため息をついて椅子に座り直した。
早急に新たな話題を振らなければまずい。
空気が最悪だ。
双子の誕生日にプレゼントしたものと色違いのキーホルダー。
キーホルダーの先端に取り付けたこの家の鍵を、玲央くんは何か不思議なものでも見るように眺めていた。
悠紀くんがプレゼントしたのは各教科の参考書一式で、玲央くんは「……これがプレゼント?」と顔を引きつらせていた。
でも、悠紀くんが「これを使って落第寸前の成績をどうにか上げて欲しい、お前と一緒に進級したい」と言ったら、何か感じるものがあったらしく「わかった」と頷いた。
最後に亜紀くんが玲央くんにプレゼントしたのは、一メートル以上あるファンシーな見た目をしたシャチの抱き枕。
私がもらったイルカの抱き枕と同じシリーズだ。
玲央くんは「おれは幼稚園児か」と文句を言いつつも、そのふわふわ触感が気に入ったらしく、無言で撫でたり抱いたりし、皆から生温かい視線で見つめられていることに気づいて「いや別に気に入ってないからな!?」と赤面していた。
「皆でプレゼントを渡したとき、あいつ妙に嬉しそうだったよな。ひょっとして、これまで親から誕生日プレゼントとか何も貰ったことないんじゃないかな……」
重い沈黙が落ちた。
まさかと言いたいけれど、悲しいことに、玲央くんの両親ならありえる。
「……玲央くんの誕生日、2月だったよね。全力でお祝いしようね!」
「ああ」
悠紀くんは真顔で頷いた。
亜紀くんに負けないくらい、玲央くんを全力で甘やかして、幸せにしなければ――恐らくこのとき、私と悠紀くんは思いを同じくしていた。
「アパートまで迎えに行ったとき、あいつに謝られたよ。いままで本当にごめんって頭を下げられた。特殊能力があっても愛されてる俺がずっと羨ましかった、嫌いだなんて嘘だって」
「……そう。玲央くん、ちゃんと謝ったんだね。実は私も。歓迎会が終わった後、玲央くんに呼びとめられたの。好きでもないのにちょっかいかけて、壁ドンとかして悪かったなって言われ――」
「ちょっと待って。壁ドンって何?」
「はっ」
しまった、藪蛇だったと両手で口を塞いでももう遅く、悠紀くんは険しい顔をしている。
「……説明しないとダメ?」
「ああ」
即答だった。これは本気だ。
「……じゃあ、悠紀くん、背中を壁にくっつけて立って。で、私がこう、腕を伸ばして、自分の身体と壁の間に相手を閉じ込める感じで……」
仕方なく、私は悠紀くんを相手に壁ドンを実演してみせた。
壁に手をつき、思い切って悠紀くんに顔を近づけたものの、心臓がバクバク鳴ってしまい、これ以上はとても無理!
これ、やっててめちゃくちゃ恥ずかしいんですけど!?
玲央くん、よくこんなのできたな!?
「つまりこんな感じです……悠紀くん?」
精神力を使い果たして身体を引くと、悠紀くんは壁に背中をつけたまま片手で額を押さえた。
「……紬」
低い声で言いながら、悠紀くんが手を下ろして顔を上げる。
「もし玲央が次に同じことをやったら全力で殴れ。俺が許す」
め、目が据わってる……!!
「いや、でも、もうしないって言ってたから。ね?」
どうにか彼の怒りを解くべく、私は手を振った。
「当たり前だろ。あいつは本当に……でも、あそこまで歪んだのは親のせいだし……反省してるみたいだからな……」
何やら苦悩した後、悠紀くんは深いため息をついて椅子に座り直した。
早急に新たな話題を振らなければまずい。
空気が最悪だ。
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