絶対ヒミツの化け男子

星名柚花

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13:それでも怖い

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「うん。たまに妹も参加してたよ。おにいちゃんファイトー! って言いながら、なんかやたら嬉しそうに次々玩具をぶつけられたこともあったな。母が慌てて『違う! そうじゃない!』って止めてたけど。妹はまだ小さかったから、『おれを驚かせるために不意打ちでやらないと意味がない』ってわからなかったみたい。でもわかった後は良い訓練相手になってくれたよ。忍び足で近づいてきて、全力で抱き着いてきたり、いきなりお兄ちゃんって叫んだり、ありとあらゆる手でおれを驚かせてくれた。幼児に遠慮はないからなあ」
 狐坂くんは苦笑しながら、コロッケを口に運んだ。

「まーでも、あの日々があったからこうして多少のことじゃ動じない鋼の精神を手に入れたわけで。家族には感謝してるんだよ。そうじゃなきゃおれも友樹と一緒で、いつ狐になるかわからず、毎日怯えて過ごさなきゃいけなくなってただろうし。でもさあ、友樹。いくら人前で狸になるのが怖いからって、人との交流を断つのはどうかと思うよ?」
 狐坂くんは豆田くんに目を向けた。
 喋り続けていた私たちと違い、食べることに集中していた彼の弁当は、もう半分がなくなっている。

「前髪も切っちゃえよ。長すぎて見てるだけでうざったいよ。眼鏡だって伊達じゃん。ダサいんだよその眼鏡。全然似合ってない」
「……わかってる。けど、怖いんだよ……」
 豆田くんは、かすれるような声で言った。
 それでも、狐坂くんは容赦しなかった。

「結局クラスで孤立しても意味なかったろ? 肩を叩かれたくらいで変身しちゃったんだし――ああ、折原さんを責めてるわけじゃない。誰にそうされたって友樹は変身してたんだよ。おれが言いたいのは、無駄な努力を止めろってこと」
 狐坂くんは手を伸ばし、豆田くんの眼鏡をひょいと奪った。

「!」
 突然の行為に、豆田くんが目を白黒させている。
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