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一章
幕間 ヨルバ
しおりを挟むヨルバは、眠りの世界に落ちたであろう青年を見下ろしていた。
普段は凛とした輝きを宿すあの優しい青色の瞳は、今はまぶたの奥にそっと閉ざされている。
深く静かな眠りに包まれ、穏やかな呼吸だけがそっと聞こえる。
濡れていたミルクティーベージュの髪はすっかり乾き、さらさらと指に絡む。目元には、わずかな疲労の色。無理もない。あの速度の馬に揺られ、さらには環境の変化も重なったのだから。
フィリクからは客室を用意してあると聞いていた。しかし、王城内といえど完全に安全とは言い切れない。だからと、ヨルバは彼をこの部屋に連れてきた。――護衛だから。それだけの理由だと、誰に言われずとも自分に言い聞かせて。
そっと身体に腕を回す。小柄な彼には不釣り合いなほどに大きな青年の体重を、苦もなく支える。感情の読めない顔のまま、それでも乱暴にならないようにと、指先の力を少しだけ抜いた。
まるで、触れれば壊れてしまいそうなものを扱うように。
ヨルバは、慎重に青年を抱き上げ、ベッドへと運んだ。
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