俺の最強のゲームアカウントが乗っ取られた話。

ひがらく

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一章

幕間 ???

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 ――欲深くなったのではなくて?

 くすくすと、耳障りな声が聞こえる。

 ――ひとめだけでも、とおっしゃっていたのに、今はもっと貪欲に求め続けている。まるで癇癪を起した満足を知らない子供のよう。

 わかっている。

 ――繋ぎ止めたいのであれば、方法はひとつだけ。それはあなたが一番よくわかっていることでしょう?

 うるさい。
 
 ――ああ、なんて可哀想な子。嘘だらけのあの子が、そんなに大事なの?……ああ、あなたも嘘だらけだったわね。お似合いかも。

 ……。

 ――わかってるわ。あなたが「鍵」を内包すれば、世界は再び「再創」される。そして――……あら、どうでも良いって顔ね。ふふっ、そうよね、あなたの目的はただひとつ。それ以外はどうでもいいものね。

 …………。

 ――あなたの望むがままに。
 


「驚いたな。どんな心境の変化だ?」

 男が聞いてくる。無言で頷くと、満足げに笑った。

「ああ、それでいい。所詮NPCはプレイヤーに敵わねぇんだ」

 意味は分からない。
 
「餞別だ。お偉いさんから」

 投げて寄越してきたそれは、鈍く光る腕輪。

「――は、いらないんだとよ」

 男は皮肉に笑う。

「それじゃあ、またな。――皇王陛下のご威光あらんことを」

 男は影に消えた。
 
 ぽつんと、その場に残される。
 
 これで、いいのだろうか。いいに決まっている。だって、なぜなら、ずっと、これを望んでいたから。この世界に生まれ落ちる前から、どうしようもない願いと欲望を抱いて、生きていたから。

 ――そう、これでいい。


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