こじらせ悪役ループ中、異国の皇子に甘く口説かれる

ひがらく

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ヒート 6*

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 シャツを軽くめくられるだけで、布と肌が擦れる感触にぴりっと痺れてしまう。服を脱がされる、ただそれだけなのに。どこもかしこも性感帯になったように反応してしまう。
 抗おうとしても、優しく覆いかぶさるようにベッドに押し付けられ、逃げられない。クロヴィスの甘い匂いに包まれて、おかしくなりそうだった。
 これから何をされるかなんて頭ではわかっていても、簡単に受け入れられるものではなかった。

「クロヴィス、……や、だ、いやだ……」
「そんなに怖がらないで。理性が飛ぶほど、気持ちよくしてあげる」

 掠れた声で拒んでも、身体はもう逆えていなかった。大丈夫だと頬を撫でる手に、無意識に擦り寄ってしまう。クロヴィスはそんな俺に優しく笑いかけた。

「っ……」
「ティラン、僕に集中して、ただ僕を受け入れて」
 
 火照った肌に、指先が這っていく。頬から首筋に、鎖骨に、胸元に。突起をするりと指の腹で撫でられ、ふにっと軽く押し潰されると、小さな甘い刺激に「ぁっ」と身体が跳ねてしまう。
 引っ張るようにしてこねくり回され、ぷっくらと赤く腫れ上がった突起を、たっぷりと唾液の絡まった舌の上で転がせられる。それだけで気持ちよくて、喘ぎが漏れてしまう。それが嫌で口を噤んでいると、優しいキスがこじ開けてくる。

「ふぁっ……んんっ、んっ……」
「……ん、素直でいてくれたら、ちゃんとゆっくり、優しくするから、力抜いて?」

 クロヴィスは長い指を、自身の唇の奥で湿らせるように舐めた。くちゅりと艶めいた音がわずかに響き、唾液で濡れた指先は迷いなく俺の足の間へと潜り込む。

「ぁっ、いやだ、やめっ……んうっ……っ!」

 ぬちゅんと後ろに難なく入り込んだ指は、柔らかな奥を探るように、くちくちと掻き混ぜてくる。

「ああ、ほら。身体は正直だ。ここイジられるの、好きでしょ」
「あっ、そんっ、な、……っ! んうっ、ぁっ」
 
 やめてほしいのに気持ちよくて、もっとしてほしいと思ってしまった。さっきから理性と本能が矛盾していて、ずっと頭が混乱している。
 ぬぷっと入ってくる指が増えていき、ぬちゅ、ぬちゅと、腹側の弾力のある弱いしこりを執拗に擦りつけられる。そのたびに腰が震えて、クロヴィスの指を締め付けるようにナカがひくついてしまう。

「……もっと、欲しそうだね」
 
 くすりと笑った声に顔を上げると、クロヴィスは舌先で俺の唇をなぞりながら、何度もキスをしてくる。余裕のない表情で、どうしようもなく俺を見下ろしていた。

「ん、ふぁっ、ちがっ、あっ、……ぁ、んぅっ」
「違うの? でも先生のここは、気持ちいいっていってるよ。ほら、気持ちいいね」

 ぐちっ、と弱いところを強く押し潰され、また「あっ」と喉から震えるような声が出てしまう。
 違う。本当に違うんだ。勝手に身体が反応してしまうだけなんだ。気持ちいいって、思ってしまう。
 頭が痺れるほどの刺激に耐えきれず、思わず身をよじって逃げようとする。だがすぐに腰を掴まれ、ずるりと引き戻された。
 
「だーめ、逃げないで」
「ひっ……! ぅ……ぁあっ、あっ……!」

 三本の指が、ぐぷんっと奥まで入り込んだ。
 ナカをばらつきながら、内側を探るようにぐちゅ、ぐちゅと抜き差しを繰り返される。

「前も触ってあげるね」
「えっ、……あぁっ、まてっ……ッ」
「……あは、さっき口の中でたくさん可愛がってあげたのに、もうこんなになってる」

 クロヴィスの長い指が、痛いくらい膨張した熱に触れた。やわく揉んだあと、先っぽからとろりと溢れ出した先走りを絡めとり、くびれをわざと指で引っかけながら、少し強い圧で、ぬち、ぬちと上下に扱いてくる。
 前も後ろも同時に弄られるなんて、刺激が強すぎる。痺れるほどの気持ちよさから逃げ出したくても逃げ出させてくれなくて、だらしなく口の端から涎をこぼしながら、両脚はがくがくと震え続けていた。

「んうぅ、……あっ、あぁ、やっ……どっち、もやめ、っんぁ」
「……腰が揺れてるね。そんなに早く僕が欲しいんだ? おねだりが上手だね、先生」
「あっ、な、に……っひぅ」

 後ろから指を引き抜いたクロヴィスが、少しだけ体勢を変える。腰を引き寄せられて、柔らかくなったそこに熱いものがぴたりと触れた。それは脈を打っている、限界までに張り詰めた大きくて硬い、クロヴィスの勃ちきった熱。先の方から透明な液が垂れ、ぬるく滑りながら俺のナカに入り込もうと、奥を探るように擦りつけてくる。
 その熱さと質量に思わず身体が強張って、それはダメだと、涙目で首を横に振りながらクロヴィスの腕にしがみつくけれど、返ってきたのは額への柔らかなキスだけで、止まってはくれなかった。

「……ク、ロヴィス、む、むりっ、そんな、はいらなっ」
「大丈夫だよ。ほら、わかる? 欲しがってる先生のここに、今からいれてあげる。奥で揺さぶったら、すごく気持ちいいよ。だから、ね、僕を受け入れて?」

 その熱が、ゆっくりと、ナカに挿入ってくる。

「くろ、やめて……っぁはっ……うぁっ」
 
 喉の奥がひきつって、上手く呼吸ができない。
 ゆっくりと身を沈めてくる、優しい挿入だった。けれどそれは、肉壁を掻き分けながら少し強引にナカに埋まっていく。

 熱い、すごく熱い。

 大きな質量で内側を圧迫される感覚に、体がおかしくなりそうで、それが怖くて、嬉しくて、嫌で、気持ちよくて。唇をぎゅうっと噛みながら、奥を暴かれる感覚に耐えていた。
 ぐちゅん、と根本まですっぽり咥えこむと、耳元に――はっ、と熱い息がかかって、背筋がぞわりとした。

「……っ、ティラン、ナカすごく熱い……辛くない?」
「あっ……ぁっ、はっ……」
 
 辛くないわけがない。
 口を何度も開け閉じしながら、うまく呼吸ができない俺に、クロヴィスはあやすようにして額や頬や鼻先にキスを落とす。唇に触れると、小さく息を吹き込んできた。呼吸の仕方を忘れた俺に教えるみたいに、時間をかけながら唇を重ねる。

 じんわりと、クロヴィスの熱い体温と形がわかるほどに、そのままにされている。呼吸ができるようになると、どうしてもそれを意識してしまう。異物であるはずなのに、そこにあるのが当然かのように嵌っていて、むず痒く、じわじわと快感が浮かび上がってくる。
 キスをされながら、思わずナカにきゅうっと力が入った。クロヴィスの顔がぴくりと動き、ほんの少し離れた唇の端が、愉快そうにゆるんだ。
 
「……締め付けるなんて、煽ってるの? 僕も我慢してるんだけどな……それとも、早く動いて欲しい?」
「ぁっ、そんな、わけ……っ」
「……ん、大丈夫そうだね。お望み通り、動いてあげる」
「だ、だめ、ぬい、て、……っぁ、あっ!」

 最初はとんとんと、小さく優しい律動で揺さぶられ、次第に欲を満たすかのような激しい動きに変わってくる。それは俺の思考も鈍くしていく。

「いやだ、ぁっ、ぬい、てぇ、……おかしく、なるっ」
「おかしくなっていいよ。先生の可愛い姿、もっと見せて」
 
 ぱちゅ、ぱちゅと肌と肌がぶつかり合って、濡れた音が耳奥で響く。
 ぎゅっとシーツを掴んで、与えられる刺激にただただ耐えるしかない。けれどその手さえも開かれて、指を絡ませてくる。ベッドに押し付けられた手は、快感を逃がすことさえも許されなかった。

「ね、先生。こうやって、ゆっくり小刻みに動くのと」
「あっ、……あぁ、ぁっ、んっ……ッ」
 腹側の敏感なしこりを何度も擦りながら、がくがくと腰を揺さぶられる。
 
「奥まで強く突かれるの、どっちが好き?」
「……っぁ、ひぅ……っ!」
 ずるりと抜いて、最奥の方まで抉るように勢いよく突かれると、頭が真っ白になった。

「そんな、わかっ、んっ……なっ」
「……どっちも好きそうだね。よかった」
 
 どっちも気持ちよすぎて、どっちがいいかなんて、もう考えられない。
 ナカがクロヴィスのものと擦れる度に気持ちよくて、腰を激しく打ち付けられるたびに、自分のものではないような蕩けた声が出てしまう。
 気持ちよすぎて、つらい、苦しい。助けて欲しい。

「あっ、あぁっ、む、りっ、きもち、の、……んぅ、もっ、や、だぁ……っ」
「上手。そのまま、いい子だね」

 耳を甘噛みされながら、くちゅりと耳の中に舌が入り込んでくる。熱い息を吹き込まれながら、ずっと甘く語りかけてくる。背筋がぞわぞわと震えて止まらない。
 
 角度を変えて、弱いところを擦りながらぐりっと奥を突かれると、喉から嗚咽に似た喘ぎが漏れた。

「あぁっ……! そこ、だめっ、んっ、……ひ、ぁっ」
「ここ、気持ちいい?」
「ちがっ、……あぅっ、あっ、あぁっ……!」
「気持ちいいんだ? わかった。いっぱい突いてあげるね」

 ひくつくそこを何度も抉りながら突いてくる。ぐちゅ、ぐちゅんと濡れた音が大きくなり、強引な刺激に耐えられず、ぎゅっと目を瞑った。
 
 どうして気持ちいいと思ってしまう? どうして簡単に受け入れてしまう? おかしい。身体がおかしい。クロヴィスに無理やり暴かれているはずの身体が、まるで喜んでいるかのようで、おかしい。
 なんでこんなに、気持ちがいいんだ。
 
「ティラン、かわいい。顔見せて」

 唇に触れるだけの優しい口づけ。
 見上げたクロヴィスの顔は、欲に溺れながらも理性的で、嬉しそうに、とろけるような表情をしていた。
 そんな顔を見せられたら、全てがどうにでもよくなってしまいそうになる。俺は、この笑顔に弱いんだ。
 
 クロヴィスは首筋に擦り寄ってくる。そこを甘噛みをして、ちゅっと音を立て、そして血が滲むほどの強さで噛み付いてきた。

「いっ、」

 肌を貫くほどの衝撃に、思わず体が震える。痛いのに、その痛みさえも気持ちよく感じてしまう。濡れた舌が血の滲んだ噛み痕を丁寧に何度もなぞって、熱い吐息をそこに零した。
 
「……僕の国で〈ツガイ〉は、体を重ねて互いの首筋を噛むと、成立するんだ」
「そんなの、っ……ぁあ、っしらな、……んっぁ」
「ねぇ、僕のも噛んで?」

 クロヴィスは解けかけている髪を掻き分けて、白い項を覗かせながら身を屈めてくる。それを差し出されても、俺はぎゅっと口を閉じて顔を背ける。
 揺さぶられ続けながらも、雀の涙ほどになってしまった理性は手放さないように必死に耐えていた。
 そんな俺の様子を見て、クロヴィスは困ったように眉を下げた。

「先生は、頑なに僕を受け入れてくれないんだね。本当に、どうしたらいいんだろう。身体はこんなにも素直なのに」
「あきら、っぁ、んぁっ、……めっ、ろ……ッ」
「……嫌だよ。先生こそ、諦めて、認めて」

 機嫌の悪そうな声が降ってくる。それはまるで、拗ねているような声だった。

「僕のこと――好きだって、ちゃんと自覚して」

 その言葉に、思わずはっと大きく目を見開くと、クロヴィスはくすりと笑った。肌に浮かんでいる汗さえきらきらと光るほど、眩しい笑顔で。

「あれ、自分でも気付いてなかった?」

 そんなわけ、ない。そんなはずがない。
 自分でも知らない感情を、他人がわかるなんてありえない。ありえないのに。
 以前カナトに無邪気にいわれた言葉を思い出してしまう。「クロヴィスのことが好きなんだよね」と。あのときは、そんなはずはないと思っていた。いや、今だって思っている。だって、クロヴィスが俺みたいな存在を好きになるなんて、いまだに信じられなくて――……それなら、俺の気持ちは?

 考えたことがなかった。
 俺自身の気持ちなんて、今まで考えたことがなかった。

 いや、考えようともしなかったのかもしれない。
 だって、ありえないだろう。俺にはカナトしかいなくて、他の誰かに心を寄せるなんてことは無駄な感情と時間の浪費でしかないと思っていた。だから。

 だから、何だっていうんだ?
 
 気づいたらいつも傍にいる。
 話しかけてくれるときの優しい声も、欲しい言葉をくれる安心感も、彼が笑顔でないと調子が狂うのも、高い体温で抱きしめられると心が安らぐのも、名前を呼ばれたら心臓が高鳴るのも、ただまっすぐと俺だけを見つめてくる瞳から目が離せないのも、彼から与えられるもの全てが、ぜんぶ、全部。俺にとって、心地のいいもので。

 それって――……
 
「あっ……う、そ」
 
 俺は、俺が気づいてないだけで。
 俺は、クロヴィスのことが。

「やっと、気づいた? 本当に、先生はかわいいね」

 まるで愛しいものを見るかのような優しい微笑みに、きゅうっと腹の奥が震える。

「よくできました。ご褒美をあげる」
 
 自覚してしまえば、あとはもうなし崩しだった。心臓が壊れそうなほど鳴り響いて、大きな快楽の波が訪れる予感に、息が止まりそうになる。
 一定の動きで弱い所を的確に突いてくるその強い刺激に、じわじわと快楽の高みへと追い立てられる。
 
「あっ、っぁ、ふっ……くろ、まっ、……あぁっ」
「……イきそ?」

 違う。そんなはずない、と首を横に振る。けれどもう、隠せないほどに、気づいてしまった自分の気持ちにも、与えられる快楽にも溺れてしまっていた。
 
「我慢しないで、イっていいよ」
「あ、ぁっ、……ぁあっ、んッ、――っ!」

 腰を掴み、一気に奥へと突きつけられる。
 びくりと身体が大きく跳ね、押し寄せる快楽の波に耐えきれず、背中がしなった。ひくひくと痙攣するように小刻みに全身に震えが走り、足先から頭のてっぺんまで突き抜けたそれは、視界をチカチカと、真っ白に染め上げていった。
 気持ち良すぎて、どうにかなってしまいそうだった。
 
 そのあとも、イったあとの余韻すら許してくれなくて、敏感になっている奥をずっと突かれ続け、揺さぶられ、頭も身体もぐちゃぐちゃだった。最初の夜の時のように、何度達しても、身体の熱はおさまらなかった。

「っ……はぁ、あ、やだぁ、も、うごかな……で、ッ」
「ん、ティラン、かわいい……あ、僕もイきそ、……ナカ、出すね」
「――っ! だめっ、なか、はだめっ……んっぁ」

 クロヴィスの瞳が伏せられ、長い睫毛がふるりと震える。
 どくんと、ナカに白濁した欲が溢れ出す。脈打つそれを胎内で感じながら、奥の方へ注ぎ込まれているのだとわかってしまった。それが気持ちよくて。もっと、もっと奥までたくさん欲しいと思ってしまった。

「ティラン、好きだよ。だからお願い……僕に愛させて」
 
 堕ちてきて、と。
 溶けてく理性と意識のなかで、耳元に落ちた甘い声。

 ああ、もうだめだ、これ。
 理性なんかで、どうにかなるものじゃない。

 気付いたらクロヴィスの首に腕を回していた。勝手に身体が開き、全部を受け入れてしまっていた。気持ちよさと快楽に包まれる心地良さに、抗えなかった。

 快楽という本能に敗北してしまった俺は、このループから今すぐにでも逃げるべきだと、警報を鳴らした。

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