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世界の異変
真っ平な土地
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「私が指揮をとるのですか?」
サインは驚いていた。シンはサインに調査団の指揮をとるよう命じたのだ。
「あぁ、君に任せるよ。君のうわさは聞いている。地質学の知識が豊富で、かつこの世界に蔓延している酸性ガス除去を各国調査団と協力して解決したことを。そのお陰でその土地に戻る事が出来た人間が多いと聞いた。全て君のお陰さ。」
「しかし、私はアマチュアで地質学研究員の資格を持っていません。ただ地質学に興味があり、科学物質の研究をしていただけで。」
サインは恐れ多いとシンに弱音を吐く。しかしシンはサインの震える手を取る。
「この緊急事態だ。無理もない。しかし君は誰よりも早く私の元へと来て、現状報告を嘘偽りなく述べた。それはとても勇気のいる事。君だからこそ出来たのだ。だからこそ君に調査団の指揮をとってほしい。このトランシーバーがあれば私とも通信出来る。やってくれないか?」
「…承知しました。セキトの未来の為に尽力致します!」
その言葉を待っていたシンはなにも言わず頷き、部屋を出て行った。
「僕が調査の指揮を…!」
サインは覚悟を決め、調査団の会議室へと向かった。
・・・
「皆さん。私、サインが今回指揮をとる事になりました。よろしくお願い致します!」
「サイン!君の事は国民全員が知っているよ。君は英雄だ。危険な場所に自ら赴きいくつもの難題を解決してきた。子供だからって蔑んだりしない。だからなんなりと俺たちに意見を言って欲しい!」
「は、はい!!」
罵倒されると思っていたサインだったが、仲間として信頼されている事が嬉しかった。そこでまず自身の考えについて述べる事にした。
「まず私の意見を聞いてください。私は科学も勉強していますが、今回は科学は関係ないのではないかと考えています。この地図を見てください。爆発などの化学的要因があれば地面がぼこぼこになっているはず。しかし、その傷跡が全くないのです。そこで地質学者の皆さんに頼みたい事があります。それはこの土地がどうやって生成されたのかについてです。硬い岩石で覆われているのであれば真っ平に削れると思われます。しかし、色の違う地層が全く同じになっている。これは柔らかい岩石も完全に削り取られたという事です。おかしくないですか?柔らかい岩石であれば多少は凸凹になるはずなのに、それが一切ないのです。これは魔法によるものではないでしょうか。」
「確かにサインの言う通りだ。しかしそんな魔法が存在するのか?地面を抉り取る術など。」
学者たちは頭を悩ませる。その時歴史学者の一人が手をあげた。
「これは昔国が保有する図書館で読んだ書物の内容なのですが、サウンドラ王国には禁術魔法というものが存在したらしいです。しかしその魔法を持つ人間は今の時代いないと王国側が宣言していた。不思議ではないですか?その禁術魔法を持つ者が起こしたからあの土地が生まれたと考えています。」
それを聞いたサインはサウンドラ王国の歴史書物の調査を歴史学者たちに頼み、なにか分かったら自身宛てに連絡するよう命じた。
「調査についてですが、ブルの調査の前に行きましょう。軍隊は必要ありません。もしかしたら助けを求めている人がいるかもしれない。その人達を怖がらせる行為をする事はいけません。わがままですがよろしくお願い致します。」
「はっ!」
一同が胸に手をあて、敬礼する。
そして数日後。サインの調査団は飛行機に乗り、サウンドラ王国に到着した。
・・・
「本当に平らだ…。定規も…全くくるいのない直線。皆さん、気を引き締めていきましょう!」
そして調査が始まった。沢山の学者がその土地を調べた。しかし何日経っても手掛かりが見つからない。建物の残骸すらなかったからだ。するとサインが口を開いた。
「毒性のある物質もなかった。建物も人もいなかった。これはもう不毛の土地としかいいようがありません。明日、調査を止め、セキトに戻りましょう。私は海岸の調査を一人でしてきます。ではお休みなさい。」
一人でふらふらになりながら団から遠ざかるサイン。学者たちは疲れ果てたサインを心配したが任務を全うする彼の背中を止める事が出来なかった。
───
「寒い、寒いよ。誰か炎魔法で私を温めて…。」
カヤは孤独な世界で生の魚にかぶりつき、なんとか命を繋いでいた。
サインは驚いていた。シンはサインに調査団の指揮をとるよう命じたのだ。
「あぁ、君に任せるよ。君のうわさは聞いている。地質学の知識が豊富で、かつこの世界に蔓延している酸性ガス除去を各国調査団と協力して解決したことを。そのお陰でその土地に戻る事が出来た人間が多いと聞いた。全て君のお陰さ。」
「しかし、私はアマチュアで地質学研究員の資格を持っていません。ただ地質学に興味があり、科学物質の研究をしていただけで。」
サインは恐れ多いとシンに弱音を吐く。しかしシンはサインの震える手を取る。
「この緊急事態だ。無理もない。しかし君は誰よりも早く私の元へと来て、現状報告を嘘偽りなく述べた。それはとても勇気のいる事。君だからこそ出来たのだ。だからこそ君に調査団の指揮をとってほしい。このトランシーバーがあれば私とも通信出来る。やってくれないか?」
「…承知しました。セキトの未来の為に尽力致します!」
その言葉を待っていたシンはなにも言わず頷き、部屋を出て行った。
「僕が調査の指揮を…!」
サインは覚悟を決め、調査団の会議室へと向かった。
・・・
「皆さん。私、サインが今回指揮をとる事になりました。よろしくお願い致します!」
「サイン!君の事は国民全員が知っているよ。君は英雄だ。危険な場所に自ら赴きいくつもの難題を解決してきた。子供だからって蔑んだりしない。だからなんなりと俺たちに意見を言って欲しい!」
「は、はい!!」
罵倒されると思っていたサインだったが、仲間として信頼されている事が嬉しかった。そこでまず自身の考えについて述べる事にした。
「まず私の意見を聞いてください。私は科学も勉強していますが、今回は科学は関係ないのではないかと考えています。この地図を見てください。爆発などの化学的要因があれば地面がぼこぼこになっているはず。しかし、その傷跡が全くないのです。そこで地質学者の皆さんに頼みたい事があります。それはこの土地がどうやって生成されたのかについてです。硬い岩石で覆われているのであれば真っ平に削れると思われます。しかし、色の違う地層が全く同じになっている。これは柔らかい岩石も完全に削り取られたという事です。おかしくないですか?柔らかい岩石であれば多少は凸凹になるはずなのに、それが一切ないのです。これは魔法によるものではないでしょうか。」
「確かにサインの言う通りだ。しかしそんな魔法が存在するのか?地面を抉り取る術など。」
学者たちは頭を悩ませる。その時歴史学者の一人が手をあげた。
「これは昔国が保有する図書館で読んだ書物の内容なのですが、サウンドラ王国には禁術魔法というものが存在したらしいです。しかしその魔法を持つ人間は今の時代いないと王国側が宣言していた。不思議ではないですか?その禁術魔法を持つ者が起こしたからあの土地が生まれたと考えています。」
それを聞いたサインはサウンドラ王国の歴史書物の調査を歴史学者たちに頼み、なにか分かったら自身宛てに連絡するよう命じた。
「調査についてですが、ブルの調査の前に行きましょう。軍隊は必要ありません。もしかしたら助けを求めている人がいるかもしれない。その人達を怖がらせる行為をする事はいけません。わがままですがよろしくお願い致します。」
「はっ!」
一同が胸に手をあて、敬礼する。
そして数日後。サインの調査団は飛行機に乗り、サウンドラ王国に到着した。
・・・
「本当に平らだ…。定規も…全くくるいのない直線。皆さん、気を引き締めていきましょう!」
そして調査が始まった。沢山の学者がその土地を調べた。しかし何日経っても手掛かりが見つからない。建物の残骸すらなかったからだ。するとサインが口を開いた。
「毒性のある物質もなかった。建物も人もいなかった。これはもう不毛の土地としかいいようがありません。明日、調査を止め、セキトに戻りましょう。私は海岸の調査を一人でしてきます。ではお休みなさい。」
一人でふらふらになりながら団から遠ざかるサイン。学者たちは疲れ果てたサインを心配したが任務を全うする彼の背中を止める事が出来なかった。
───
「寒い、寒いよ。誰か炎魔法で私を温めて…。」
カヤは孤独な世界で生の魚にかぶりつき、なんとか命を繋いでいた。
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