無明剣零

青鳥翔

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魔法学

魔法の性質

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 ある日の夕方。国からの支援で早急に魔法研究所が建てられ、カヤたち一向はその入り口で自己紹介をすることとなった。今回はカヤの暴走が起こるかもしれないという万が一の事態を考え研究員は各学者から一人ずつ選ばれ、広けた静かな土地での調査を行う。

 「まずは自己紹介からだね。この国の調査団から魔法を詳しく調査したいと立候補した人たちがここに集まっているから、一人ずつカヤに挨拶を。ではまずは僕、サイン。地質学研究家をやっていてこれまでに世界中に広がった酸性物質の除去を各国の調査団とともに協力し、解決した実績を持つ。今回の魔法研究のリーダーであり、責任がつきまとうけど、頑張ります!」

 「では次は俺だな。俺は歴史学者のゴズ。趣味は古代都市の文明を調べることと筋トレ。カヤの祖国、サウンドラ王国の歴史を知りたいと思い、歴史学者の代表として今回の任を引き受けた。よろしく頼む。」

 「はいはーい次は私!この前大統領室で会ったと思うけど、私の名前はカノン。大統領の娘だけど、気楽に接してね。今回未知の力を研究すると聞いて来ちゃった。いやーこれからカヤちゃんの不思議な力を見れるのが楽しみ!この前突然出現した扉にも興味があるし…。とりあえずカヤちゃんのカウンセリング担当という肩書で来ました!よろしくね!」

 「…最後に僕だね。僕は環境学者兼科学者のフィアー。もし魔法が環境に影響を及ぼすなら止めなければならないと思い志願しました。カヤさん。君の事は中継で見ていた。とても興味深かったよ。透明な剣。古い書物に書かれていた空間魔法。面白い…。フフフッッッ。」

 やはり魔法という未知のものに研究したいと志願する人は少なく、カヤを除いて4人しか集まらなかった。しかしその4人は情熱的であり、カヤの魔法に興味を持つ人間だった。

 「サインさん。ゴズさん。カノンさん。フィアーさん。よろしくお願いします。私はカヤ・サウンドラ。一つ聞きたいのですが、皆さんには”苗字”が存在しないのですか?」

 「苗字って概念はないな。基本どの国にも戸籍は存在しない。サウンドラ王国にしかないのかもな。サウンドラ王国にはどのような苗字があったのか?」

 歴史学者ゴズは様々な国を渡り歩き、自身の筋肉を見せつけていた。言わばボディビルダーみたいなものだ。そんな歴史とは無縁みたいな体格をしているゴズだったが歴史を知り尽くしていたため苗字はないと断言した。

 「そうなんですね。私たちサウンドラ王国は4つの系統、火、水、風、土にちなんだ苗字がありました。火だとファイヤーから名をとって、ファイ…。みたいな。私の苗字であるサウンドラは初代国王が音楽好きだったという伝承が残っていて、何代にも渡り音楽に関係する魔法が王族に与えられたのです。」

 カヤの発言に新しい情報だ!とリアクションしたゴズはすぐにメモをとる。サインはゴズは本当に熱心だなと微笑み、カヤに対し言葉をかけた。

 「僕たち、魔法研究調査団は本当に勉強熱心な人だけしか集まっていない。カヤ。君は僕たち調査団に魔法を提供してもらう事になるけど、気楽にいこう。タメで大丈夫だからさ。」

 その言葉を聞いた一同はカヤに対し頷き、カヤも緊張が解けたのか「うん!」と言い、5人は施設内へと足を踏み入れた。

・・・

 最新鋭の施設。それは本気で研究するにはうってつけの場所だった。するとゴズがさっきの話の続きが気になり、カヤに問いかけた。

 「カヤ、さっき魔法の系統は四つあると言ったな。火と水と…なんだっけ?」

 「ゴズさん。風と土だよ!」

 「あぁ!そうだった。そこで一つ気になったのだが、応用の術はあるのか?例えば雷で一瞬で移動するみたいな。カヤは俺たちを助けてくれた時、一瞬で空高く飛んでいったよな。あれは魔法の応用をしているとしか思えないのだが。」

 確かにカヤは一瞬で消え、戦闘機の前に突然出現した。それはどんな科学力を持っても無理な事。そのためゴズは聞いたのだ。

 「…あれは空間魔法の応用術なの。私は一度見た場所に一瞬で移動できる。その場所にワープしているといえばいいのかな?あの時は無意識に体が動いていたから今は再現出来ないけど…。」

 「なるほど。極限状態に陥った人間はあり得ない才能を発揮するというしな…。いやこんなに小さな子なのに凄いよカヤは。俺も見習いたい。」

 カヤの頭を撫でるゴズ。すると突然カヤの前にフィアーが現れた。

 「わっ!フィアーさん、びっくりした!!」

 「ワープ…!?そんなの現代科学じゃ再現不可能だ。ワープって光よりも速いんだろ?そんな事が可能なのか魔法は…!」

 フィアーはワープに必要な科学式を書きだす。しかしそんなフィアーを置いて4人は施設の奥へと行った。

・・・

 「ここが僕たちの寝る場所か。仕方ないよね。カヤがこの国の機密事項を盗んで逃亡する可能性があると施設の設計者は考えたんだろう。まぁ、僕たちはそんな事しないと信じているけどね。」

 「あぁ、それにしてもこんな厳重な檻みたいなところに閉じ込める意味あるのか?カヤの無明剣は硬い大地を削り取る力を持っているというのに。」

 「…確かに。」

 4人は鋼鉄の扉で閉ざされたコンクリートの部屋へと入る。そこでは生活出来る全てのものが揃っていた。カヤはちょっと恐怖を感じていたがそれに気づいたカノンはすぐにカヤに近づいた。

 「大丈夫カヤちゃん。私たちが面倒を見るから。確かに王族にとって庶民の暮らしには抵抗があるかも。でもここには最新鋭の科学の成果が集まっているから危険じゃないよ。核兵器爆破されても無傷だからさ。」

 「ありがとう、カノンさん。ところでフィアーさんはまだ科学式?を書いているのかな?」

 「カヤちゃん。あの人は優秀だけどある意味危険だから、注意した方がいい。この前も彼の熱心すぎる精神力に参って後輩研究員が逃げ出す事件があったから…笑」

 「そ、そうなんだ…。」
 
 カノンの言う通りフィアーはその場で膨大な科学式を寝る間も惜しまず書き続けていた。

・・・

 次の日の朝。カヤが目を覚ますと、真っ黒のクマをつけたフィアーが膨大な科学式を持って立っていた。その瞬間カヤは叫び声をあげ、寝ていた一同はその声に飛び起きる。

 「…カヤさん。やっと書けたよ。そのまま行っちゃうなんて酷いじゃないか…。これが超高速粒子の科学式。光はどの物質よりも速いだろ?でもこの前発見したんだ。光よりも速い物質があるという事に。どうだい?僕とワープについてお話ししようよ!」

 「こら、フィアーさん!!カヤに恐怖植えつけたら無差別に魔法飛ばしちゃうって!!報告書に書いたんだからちゃんと目を通したでしょう!」

 「…えっ、僕、怖い?」

 「こ、怖いです!!」

 カヤが叫ぶ。その声を聞き取ったフィアーは悪かったと一言いい、自身のベッドに入り寝た。

 「ごめんよ、カヤ。フィアーさんは根は優しい人なんだ。でも研究になると今みたいになっちゃうからしばらくは別室で寝かせるようにするよ…。あ、そうだ今日から魔法の質を上げる訓練をするから朝食すませたら施設の入り口まできて!」

 サインはそういうと朝食をすませ、先に部屋を出て行った。

 「カヤちゃん。彼とても頑張り屋でしょう?初めて会った時も状況報告を誰よりも的確に発言していた。本当に凄いと思う。さぁ、今日の訓練は魔法の放出限界を調べる実験の予定だからしっかり朝食を食べてね!」

 カノンはカヤに語りかけた後、カヤの分の朝食を持ってきて一緒に食べた。


 
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