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魔法学
魔力制御
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次の日の朝。サインはカヤに対し、疑問を問いかけた。
「魔力、魔力って僕たちは言っているけど、魔力って結局なんなんだろう。その書物には体内に宿る魔力が火や水といった物質に変化するわけだけど、魔力は体力そのものを指しているのか…。」
「あ、それなんだけど昔お父様から聞いたことがあるんだ。魔力を生み出すには多少の血液が必要だと。普通の魔導士は血液を魔力に変換させてそれを一か所に集中させる。そしてその部分から魔法を放つって感じ。でも私の場合私の周りを囲む自然が勝手に魔力に変換されるんだと思う。昨日の実験で魔力の流れを察知した時体の外から自然に力が沸いてきたから。空気でも水でも火でもなんでもいい。多分私自身を依り代にして魔力が勝手に創られるんだと思う。」
カヤの特殊な体質はただの人間ではない事を示唆していた。サインたちはその言葉を聞き、自身でも魔力が生み出せないかやってみようとしたが結局力が沸くことはなかった。 するとフィアーが前に出る。
「カヤさん凄いよ!僕たちはそんな難しい動作をすることが出来ない。血液に魔力を循環させる事はこれから先、研究しても身につかないと思う。ただの人間だから。しかしカヤさんはまだ調整は出来ないけど感覚的に分かっている。それだけでも十分な収穫が得られるよ。…ところでこの文字はなに?魔法を放つ時の術式って言っていたけど、科学的に証明出来ない事が多い。詠唱を行うだけで物質を作れるとは思えないな。」
書物を読むフィアー。彼は頭を悩ましていた。一体なにが原動力となり物質を生み出しているのか。そこでもう一つの質問をカヤに問いかけた。
「カヤさん。簡単な魔法は使えるかい?」と。
自然が魔力を生み出してくれるのであれば空間魔法だけでなく、様々な魔法を生み出す事が出来るはずと考えたフィアー。フィアーは火の魔法の術式が書かれたページを開き、カヤに読んでくれないかと言った。
「分かった。真紅の炎を司る神よ、孤高の焔の力を我に授け大地を燃やせ!!」
カヤが火の魔法の詠唱をした瞬間右手に小さな火が纏った。それに驚くサインたち。手が燃えているというのにカヤ自身は熱くないと言ったからだ。
「カヤさん。その状態キープしていて。このろうそくに火が灯るか確認したい。」
フィアーがろうそくを持って燃えているカヤの手に近づける。するとろうそくに火が移った。フィアーがその火に触るととても熱くやけどを負うほどの火力を持っていた。
「あっつ!!」
「フィアーさん!!無茶しすぎ!!」
サインが急いで水を持ってきて、思いきりかぶせその場をなんとかおさめる。しかしカヤの様子がおかしい。燃えている右手をおさえ鎮火をしようとしても燃え続けるばかりか更に火の勢いが増したのだ。
「皆さん逃げて!!これから天高くに膨大な魔法を放出します!!」
カヤはサインたちが施設内へ入ったのを視認すると同時に天高くに火柱をあげた。
『魔力よ!!おさまって!!』
カヤはただ暴走が止まるよう祈り続けた。しかし止め方が分からない。するとなんとフィアーが高熱の空気の中歩いてくるではないか。それも生身の状態で。
「カヤ!冷静になれ!!魔法は怖いものではないんだろ!!ゆっくり深呼吸して。」
「わ、分かった!」
カヤは呼吸を整え、意識を燃え上がっている手に集中させた。するとカヤの気持ちが届いたのかだんだん火は弱まっていき、数秒後には火柱が消えていた。
・・・
「サインさん。フィアーさんは大丈夫…?」
カヤは病室で寝ているフィアーを見て心が痛んだ。自身の魔法でまた傷つけてしまったからだ。するとフィアーは目を覚まし、カヤを見るとグッドサインを出した。
「カヤ。フィアーさんは防護服なしで科学を体で体感させる事をやっているから大丈夫。今回もフィアーさんの手助けのお陰で魔法を止める事が出来たし。そして一つ分かった事がある。それは魔法の暴走を止めるには冷静になる事が大切だと。」
「冷静になる…。」
カヤは考えこみ、また明日魔法の放出をしたいとサインに声をかける。その言葉にサインは頷き、カノンに相談するよう言った。
・・・
「冷静になる事は大切だと身をもって経験したし、溢れ出る魔法がフィアーさんを傷つけてしまった事は事実。でもそれでも私は魔法で皆を救いたい!どうしたらいいのかなカノンさん。」
「魔法を放出した時、”怖い”と思ったでしょ。確かに空間魔法以外の魔法を初めて扱うのは怖かったと思う。でも魔法も体の一部。君が創りだした作品なんだよ。だから今言えるのは、作品を創りだす事を楽しむ事。それだけで意識が変わるから。」
「魔法は作品…。なんとなく分かった気がする!ありがとう、カノンさん!」
そしてカヤは眠りに入り、その様子を見ていたカノンは微笑んだ。
「やっぱりカヤは強い子だよね。今日魔法の恐怖を身をもって知ったのに、次に活かそうとする。向上心があって僕も見習いたいよ。」
「なんだサインか。…カヤちゃんは凄いよね。流石王族の娘なだけあって心が強いと話していて思うよ。昨日さ、カヤちゃんが「サウンドラ王国国民が自分自身をどう思っているか」って聞かれてびっくりした。普通5歳の子供がそんな重大な責任を一人で負う事が出来ないから。驚きの連続だよね。こんな短い期間で色んな事があった。突然島が消えて、気づいたら本人がこの国に来ていて。」
サインとカノンはただ寝ているカヤを遠目に見ていた。
・・・
次の日の朝。施設の外でカヤはそわそわしながら皆の事を待っていた。
「おはようカヤ。どうしたの、そわそわして。」
サインたちは心配しながらカヤの元へとつく。するとカヤは魔法の掛け合わせをしたいと言ってきた。
「私、気づいたの。魔法は人を救う美しいものなんだって。昨日は魔法に対して恐怖の情を抱いていた。でも今は魔法を扱うのが楽しみだと感じているの。だから、無明剣と火の魔法を同時に発動させたくて。」
「なるほど…。実験を段階的にやっていこうと思っていたけど、カヤがそうしたいならそうしよう。あと1年もない期間で魔法をマスターしなければならないし。」
サインたちは頷き、カヤにやってみるよう言った。
「ではまず無明剣から。」
カヤは右手に意識を集中させ、剣を生み出す。そして、その次に昨日やった火の魔法の詠唱をした。
『無明剣は体の一部。ただ剣に魔力を送ればいい。』
無明剣に光が集まる。サインたちはそれをただ見ていた。そして次の瞬間辺り一面が真っ白になった。
・・・
「な、なにが起きたんだ…!?」
サインたちはカヤの方向を見る。すると青白い炎を纏った剣を持ったカヤが立っていた。
「青白い炎…!昨日の炎よりさらに熱く燃え上がっている!!」
フィアーは火傷した箇所を押さえながらも興奮していた。カヤの成長速度がはやく、驚く一同。するとカヤはこちらを向き、微笑んだ。
「新魔法、無明剣・裂焔。」
実験開始から3日目。カヤは完全ではないが、魔力のコントロールの仕方を理解しつつあった。
「魔力、魔力って僕たちは言っているけど、魔力って結局なんなんだろう。その書物には体内に宿る魔力が火や水といった物質に変化するわけだけど、魔力は体力そのものを指しているのか…。」
「あ、それなんだけど昔お父様から聞いたことがあるんだ。魔力を生み出すには多少の血液が必要だと。普通の魔導士は血液を魔力に変換させてそれを一か所に集中させる。そしてその部分から魔法を放つって感じ。でも私の場合私の周りを囲む自然が勝手に魔力に変換されるんだと思う。昨日の実験で魔力の流れを察知した時体の外から自然に力が沸いてきたから。空気でも水でも火でもなんでもいい。多分私自身を依り代にして魔力が勝手に創られるんだと思う。」
カヤの特殊な体質はただの人間ではない事を示唆していた。サインたちはその言葉を聞き、自身でも魔力が生み出せないかやってみようとしたが結局力が沸くことはなかった。 するとフィアーが前に出る。
「カヤさん凄いよ!僕たちはそんな難しい動作をすることが出来ない。血液に魔力を循環させる事はこれから先、研究しても身につかないと思う。ただの人間だから。しかしカヤさんはまだ調整は出来ないけど感覚的に分かっている。それだけでも十分な収穫が得られるよ。…ところでこの文字はなに?魔法を放つ時の術式って言っていたけど、科学的に証明出来ない事が多い。詠唱を行うだけで物質を作れるとは思えないな。」
書物を読むフィアー。彼は頭を悩ましていた。一体なにが原動力となり物質を生み出しているのか。そこでもう一つの質問をカヤに問いかけた。
「カヤさん。簡単な魔法は使えるかい?」と。
自然が魔力を生み出してくれるのであれば空間魔法だけでなく、様々な魔法を生み出す事が出来るはずと考えたフィアー。フィアーは火の魔法の術式が書かれたページを開き、カヤに読んでくれないかと言った。
「分かった。真紅の炎を司る神よ、孤高の焔の力を我に授け大地を燃やせ!!」
カヤが火の魔法の詠唱をした瞬間右手に小さな火が纏った。それに驚くサインたち。手が燃えているというのにカヤ自身は熱くないと言ったからだ。
「カヤさん。その状態キープしていて。このろうそくに火が灯るか確認したい。」
フィアーがろうそくを持って燃えているカヤの手に近づける。するとろうそくに火が移った。フィアーがその火に触るととても熱くやけどを負うほどの火力を持っていた。
「あっつ!!」
「フィアーさん!!無茶しすぎ!!」
サインが急いで水を持ってきて、思いきりかぶせその場をなんとかおさめる。しかしカヤの様子がおかしい。燃えている右手をおさえ鎮火をしようとしても燃え続けるばかりか更に火の勢いが増したのだ。
「皆さん逃げて!!これから天高くに膨大な魔法を放出します!!」
カヤはサインたちが施設内へ入ったのを視認すると同時に天高くに火柱をあげた。
『魔力よ!!おさまって!!』
カヤはただ暴走が止まるよう祈り続けた。しかし止め方が分からない。するとなんとフィアーが高熱の空気の中歩いてくるではないか。それも生身の状態で。
「カヤ!冷静になれ!!魔法は怖いものではないんだろ!!ゆっくり深呼吸して。」
「わ、分かった!」
カヤは呼吸を整え、意識を燃え上がっている手に集中させた。するとカヤの気持ちが届いたのかだんだん火は弱まっていき、数秒後には火柱が消えていた。
・・・
「サインさん。フィアーさんは大丈夫…?」
カヤは病室で寝ているフィアーを見て心が痛んだ。自身の魔法でまた傷つけてしまったからだ。するとフィアーは目を覚まし、カヤを見るとグッドサインを出した。
「カヤ。フィアーさんは防護服なしで科学を体で体感させる事をやっているから大丈夫。今回もフィアーさんの手助けのお陰で魔法を止める事が出来たし。そして一つ分かった事がある。それは魔法の暴走を止めるには冷静になる事が大切だと。」
「冷静になる…。」
カヤは考えこみ、また明日魔法の放出をしたいとサインに声をかける。その言葉にサインは頷き、カノンに相談するよう言った。
・・・
「冷静になる事は大切だと身をもって経験したし、溢れ出る魔法がフィアーさんを傷つけてしまった事は事実。でもそれでも私は魔法で皆を救いたい!どうしたらいいのかなカノンさん。」
「魔法を放出した時、”怖い”と思ったでしょ。確かに空間魔法以外の魔法を初めて扱うのは怖かったと思う。でも魔法も体の一部。君が創りだした作品なんだよ。だから今言えるのは、作品を創りだす事を楽しむ事。それだけで意識が変わるから。」
「魔法は作品…。なんとなく分かった気がする!ありがとう、カノンさん!」
そしてカヤは眠りに入り、その様子を見ていたカノンは微笑んだ。
「やっぱりカヤは強い子だよね。今日魔法の恐怖を身をもって知ったのに、次に活かそうとする。向上心があって僕も見習いたいよ。」
「なんだサインか。…カヤちゃんは凄いよね。流石王族の娘なだけあって心が強いと話していて思うよ。昨日さ、カヤちゃんが「サウンドラ王国国民が自分自身をどう思っているか」って聞かれてびっくりした。普通5歳の子供がそんな重大な責任を一人で負う事が出来ないから。驚きの連続だよね。こんな短い期間で色んな事があった。突然島が消えて、気づいたら本人がこの国に来ていて。」
サインとカノンはただ寝ているカヤを遠目に見ていた。
・・・
次の日の朝。施設の外でカヤはそわそわしながら皆の事を待っていた。
「おはようカヤ。どうしたの、そわそわして。」
サインたちは心配しながらカヤの元へとつく。するとカヤは魔法の掛け合わせをしたいと言ってきた。
「私、気づいたの。魔法は人を救う美しいものなんだって。昨日は魔法に対して恐怖の情を抱いていた。でも今は魔法を扱うのが楽しみだと感じているの。だから、無明剣と火の魔法を同時に発動させたくて。」
「なるほど…。実験を段階的にやっていこうと思っていたけど、カヤがそうしたいならそうしよう。あと1年もない期間で魔法をマスターしなければならないし。」
サインたちは頷き、カヤにやってみるよう言った。
「ではまず無明剣から。」
カヤは右手に意識を集中させ、剣を生み出す。そして、その次に昨日やった火の魔法の詠唱をした。
『無明剣は体の一部。ただ剣に魔力を送ればいい。』
無明剣に光が集まる。サインたちはそれをただ見ていた。そして次の瞬間辺り一面が真っ白になった。
・・・
「な、なにが起きたんだ…!?」
サインたちはカヤの方向を見る。すると青白い炎を纏った剣を持ったカヤが立っていた。
「青白い炎…!昨日の炎よりさらに熱く燃え上がっている!!」
フィアーは火傷した箇所を押さえながらも興奮していた。カヤの成長速度がはやく、驚く一同。するとカヤはこちらを向き、微笑んだ。
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