無明剣零

青鳥翔

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魔法学

大和の国

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───陸上戦術に長けた国、大和───

 「大我様。今回の兵器はあまりにも非情です。放射能は人を狂わすという事を知ったではないですか。それを敵国に落としたら文明も、人も、なにもかも詰んでしまいます。どうかもう一度お考えなおし下さい。」

 「なんだ、佐助。貴様は一番隊隊長だろう?その上に立つ余に歯向かうというのか。」

 「…いえ、口が過ぎました。」

 5千年以上サウンドラ王国と貿易をしていた大和。この国は昔から自然あるままに生きていた。しかし今回核兵器を使うと言った大我に対し、佐助は恐怖を抱いていた。そんな事をしたら大和が滅ぶと。しかし、大我は戦闘好きの将軍であり、少しでも情報を漏らしたら、即打首だった。

 「それでいい。佐助よ、サウンドラ王国の魔道具をブルに渡せば、ブルとの協定が結べる。世界を支配出来るのだ。実にいい考えだと思わないか?」

 佐助はなにも言えなかった。言ってはいけない状態だったのだ。サウンドラ王国の魔道具は他国に売ってはいけないとサウンドラ王国にかたく口封じされていたというのに、大我はそれを破ろうとしていた。そしてブルとの会談が始まってしまう。

・・・
 
 「ようこそ、我が国大和へ。」

 「あぁよろしく頼むよ、大我殿。」

 ザイヤは大我との対談で、魔道具の存在を知った。その様子を横で見ていた佐助は息をのむ。

 「さて、本題だが隣の国、サウンドラ王国と貿易をしているらしいな。その火の出る魔道具。それは無限に出続けるのか?」

 「そうだ。この魔道具には種類があり、火、水、風、土の四つの属性から成る。よかったら手にとってみてくれ。」

 魔道具を受け取るザイヤ。一つ一つ手にとってみたが、どれも新鮮なものであり兵器に取り込みたいとザイヤは言ってきた。それに対し大我はすぐ頷き、貿易の調印をする。しかしそれがまずかった。ブルとの貿易で必要なものが大きすぎたのだ。それは米俵を毎月100俵を魔道具と一緒に送れというもの。これは死活問題であった。小国であるが、大和の人口は1000万人と多い。もし貿易を開始してしまったらその土地の民は餓死する。それでも大我は貿易を開始してしまったのだ。

 貿易を始めてから1か月。佐助の予想通り大和は極限状態に陥った。国の食べ物がなくなり国民は都に食糧を分けてほしいと抗議する。その呼びかけに対し大我は武力でねじ伏せた。一人残らず鉄砲で撃ち殺してしまったのだ。

 「大我様。国民を撃つなんて…。」

 「だまれ!これは我が国繁栄の礎となる出来事だ。我が国はブルの傘下に入るがいつか裏切ってブルを我が傘下に置く。いいな?そうでなければ剣の達人であるお前にも矛が飛ぶぞ。」

 この時佐助は心を決めた。この国から亡命しようと。すると、ブルから渡された携帯電話という通信機器のブザーが鳴った。
 
 『私だ。次の貿易では1000俵を頼む。』

 その言葉にぎょっとする大我。もう米はないというのに量を増やしさらにきつい要求を受ける事となった。

 「ちょっと待て。我が国にはもう米はない。その条件は飲めない。」

 『それなら魔道具を全て頂こう。既にお前らの国は我が軍隊に囲まれている。終わりだな。』

 その瞬間赤い光が城の近くを横切り、近くの山に当たったと思うとその山は一瞬で削り取られた。

 「騙されていたのか…。余は…。」

 大我は絶望し、佐助に助けを求める。しかし佐助は冷たい目で大我を見ていた。

 「さようなら。我が頭首よ。私はもう貴方の意見を聞かない。」

 その瞬間佐助は刀を取りだし、焦っている大我の首を斬り落とした。そして誰にもばれない小さな船に乗り、その地を去った。

・・・

 「それからはとても厳しい道のりでした。私が頭首を討った後、深夜に船に乗りブルに気づかれずに済んだのですが、そこから5日間飲まず食わず。そして死にかけていたところをセキトの住人が助けてくれたのです。そしてその時持っていたのは昔からの相棒のこの刀だけ。」

 その瞬間涙が溢れるカヤ。大和を平和国家だと信じたかったのに、サウンドラ王国に牙をむくどころか敵国を増やしてしまったのかと心にダメージを負ってしまったからだ。するとゴズが口を開く。自身の頭首を討った事に対してなにか情が沸いたかと。

 「いえ、その時なにも感じませんでした。この人間はもう存在してはならないと感じたためです。しかしこの話はした方がいいだろうと思い、今まであった全ての出来事を赤裸々に語る事にしたのです。カヤ様。我が国、大和は貴方方サウンドラ王国と手を結んでいたというのに頭首が勝手な行動を起こしてしまい申し訳ありませんでした。もし私が憎いのならその剣で斬られても構いません。覚悟は出来ています。」

 カヤに向けて土下座する佐助。サインたちは泣いているカヤを見ていたが、カヤは涙を拭きとる。

 「私は佐助さんに対して怒りの感情は沸きませんでした。そのままブルと手を組んでいたら、世界が滅ぼされていたかもしれないから。」

 サインは涙目のカヤに寄り添う。サウンドラ王国を裏切った大和の国の人間である佐助はただ下を向く。するとカヤは「前を向いてほしい。」と言った。

 「佐助さん。今思い返すと貴方の行動は正しかった。私が実際に大和の人間に狙われた時、大和側は私達サウンドラ王国のせいにしてきた。それは必然だと思う。魔道具を渡していたから。でもこれからはお互い持っている罪をこの地で償いましょう。人を助けるために力を使うのです。」

 「…はい。これからは貴方のために刀をふるいます。」

 サインたちは二人に対しなにも言う事が出来なかったが、お互いの気持ちが整理出来て良かったと感じていた。

・・・

 夜。カノンは佐助を呼び止め、二人で話し合っていた。

 「佐助。君の事は私のお父さんから聞いているよ。カヤに真実を教える事が出来て良かった。確かに君はカヤの心に深い傷を与えたと思うし私もその部分は許せない。でも、これからはカヤに剣術を教えてあげて。」

 「はい。私は決して裏切りません。この魂。命をカヤ様に預けます。」

 その言葉にため息をつくカノン。佐助はただどうしたといった顔をしていたが、カノンが部屋の外に向かい「はやく入ってきな!」というとサインたちがばれたかといった顔をしながら入ってきた。

 「佐助。君は空間把握能力に長けているってシン大統領から聞いた。もしかしたらカヤの空間魔法の上達に繋がるかもしれない。予定では明日からの稽古となるけど、いけそう?」

 「はい。いけます!…シン大統領から聞いていたのですね。私は飛んでくる弾丸でさえ斬り落とす事が出来ます。動体視力が優れているからです。それはサウンドラ王国も同じ事。私たちはあの自然に囲まれた世界で暮らしていた。そのためカヤ様にもその能力が宿っていると私は考えています。」

 佐助がいうには大和の国も昔魔法が使えた者がいたという。魔法を必要としなくなったため魔法が使えなくなっただけの事。その為サウンドラ王国と大和の人間は遺伝子的にほぼ変わらなく、身体能力も受け継いでいた。その話を聞いていたサインはある事を思いつく。それは空間魔法を使って空気を操作すれば刃すら入らない鉄壁が出来るのではないかと。そのため佐助に「空間魔法の手助けをしてあげてくれ」と言った。

 ───その時カヤは部屋の外で話を聞いていた───

 「魔法を兵器に使うなんて絶対に嫌だ。でもブルを止めるまではこの無明剣で戦わないといけない。明日から頑張るぞ!」

 そう決意したカヤはその場を立ち去った。
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