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渾沌渦巻くセキト
刀は魔法すら打ち砕く
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「これが大統領の屋敷であった事です。私個人で処理したかったのですが、フィストはカノンさんと仲が良かった。いえ、仲が良さそうに見せていたというべきでしょうか。その過去がありシン大統領はカノンをフィストに合わせ今回のような騒動が起きてしまったのです。本当に申し訳ありませんでした。」
土砂降りの雨の中、カヤを肩に担ぎ、頭を下げる佐助。サイン、ゴズ、フィアーは事件を事前に聞かされていたが、カノンのあの姿を見て心を痛めていた。そしてサインが口を開く。
「佐助。カヤをとめてくれてありがとう。もしあの時カヤが暴走し無明剣を出していたらまた世界中がパニックになっていたと思う。カヤは僕たちに任せて君はゆっくり休んでくれ。」
「はい。よろしくお願い致します。」
佐助のあんな悲しそうな顔を見た事がなかったサインたちは、事の重大さを再認識した。そしてしばらくの間カヤを誰にも会わせないように隔離したのだ。
・・・
サインは一人でカヤの寝ている部屋の椅子に座り、何日もなにも食べず、カヤが起きるのを待っていた。結局佐助にはなにも罰を与えなかったサイン。佐助もカヤも今回の騒動の被害者だったからだ。するとカヤは起きたのかサインを見てボソッと呟く。
「さ、サインさん…。カノンさんは…。」
「カヤ、大丈夫か!!」
サインはベッドに駆け寄る。しかしカヤにはカノンしか見えていなかった。
「はっ!カノンさんを助けに行かなくては!!」
立ち上がりすぐに出て行こうとするカヤ。サインは無理矢理その足を止めるが、それでも歩みを止めないカヤ。すると部屋の扉が開き、佐助が入ってきた。
「カヤ様。カノンさんは私のせいで刑務所行きが確定となりました。申し訳ありませんでした。」
佐助の声を聞いた瞬間カヤの体に邪悪なオーラが纏わりつく。これは恨みの念というべきか。カヤは佐助に牙をむいていたのだ。そしてあろうことかカヤは佐助の前へと出現し、本気でぶん殴る。佐助はその威力に耐えきれず、壁に打ちつけられた。
「カヤ!佐助は悪くない!!落ち着くんだ!!」
「うるさい!!あの時あいつが国衛隊に行くなんて言わなければこんな事にはならなかった!!」
自暴自棄になるカヤ。もはや誰にも止められない。そんな時、佐助が暗い顔をしながらカヤの前へ歩いてくる。カヤは「来るな!!」と連呼するが、カヤの目の前に立ちある事を言った。
「カヤ様。そんなに私が憎いなら私を倒してからカノンさんの元へ行きなさい。今すぐに施設の外へと来い。決闘だ。」
決闘。これはサインにとって衝撃を与えるものだった。しかし「カヤの殺意がこもっている内はなにも解決しない」と佐助は言い、カヤと共に施設の外へと出る。
・・・
この時期は台風が押し寄せる。外は大荒れで、雷が鳴り響き、暴風雨が大地を削っていた。そんな中二人は決闘を始める。
「さぁ、本気でかかってこい。カヤ。」
佐助はカヤに対し、真剣を向ける。
「ふざけるな…。ふざけるな!!」
カヤは一瞬にして空間を把握し、強烈な波動を無明剣に纏わりつかせる。それは今までの比ではないほどに。その姿を見た佐助も本気を出し、剣を時計回りにゆっくりと回す。その瞬間カヤは佐助の前に現れ、斜めに斬ろうとした。
「やはり、甘いな。」
佐助はその一瞬の一撃を簡単に躱し、無明剣に一撃を喰らわせる。その瞬間衝撃波により国中が揺れ、国民たちは何事か!とパニックを起こす。それほど二人の影響力は半端なかったのだ。しかし佐助は力を緩める事をせず、刀で押しカヤの頭めがけて頭突きする。
「それが本気か!!」
サインたちは地面が揺れ、ふらつきながら止めようとする。しかし衝撃波の影響で二人の耳に声が届く事がなかった。
カヤは頭突きされた事で一瞬ふらつくが、すぐに立て直し数百にも及ぶ剣撃を繰り出した。それを簡単に受け流す佐助。それに気づいたカヤは佐助の視線から消え、佐助の脳天へ現れ無明剣で突き刺そうとした。
「そんなの甘い!!」
佐助は体勢を低くしながら刀を本気で振り、無明剣を斬り裂く。鋼のように硬かった無明剣は佐助の刀によりガラスのように砕かれ、その斬撃波は空へと響き、台風を打ち消してしまった。
「終わりです。」
無明剣を破壊され下を向いているカヤに刀を突きつける佐助。カヤは負けたと思い、その場で号泣する。
・・・
「カヤ様。カノンさんの件ですが…。もう取り返しのつかない事をしてしまった彼女は一生貴方の前に現れないでしょう。」
「ちょっと佐助!!それは言い…」
サインは怒り佐助を止めようとしたが、佐助は口を閉じるよう手でジェスチャーする。
「別れは辛いものです。カノンさんはカヤ様に一番寄り添ってくれた存在だから。ですが、その辛さの刃を他人に向けてはいけません。別れは始まりなのです。」
「…始まり?」
カヤは涙目で佐助の目を見る。すると佐助は微笑んだ。
「別れはとても辛い事。ですが、精神を統一し前を向くのです。これを大和の国では”心頭滅却すれば火もまた涼し”と呼んでいました。別れが来ても、心は冷静に。それだけで想う人は生き続けられるのです。」
その言葉を聞いたカヤはハッとする。今までカノンが言ってきた事。それらは全てカヤの心を優しく押してくれる言葉だったと思いだした。
「いい顔になりましたね。カヤ様。決闘をしてすっきりしたはずです。また辛くなったら刀を交えましょう。」
「はい…!」
太陽の光がカヤの顔を照らし、前を向いたカヤはいい表情をしていた。
・・・
「サインさん。身勝手な行動をしてしまい申し訳ご…」
「いや佐助は謝らなくていい。暴走しつつあったカヤを止め、前を向かせる事が出来たのは佐助のお陰。僕たちにはカヤの行動を国に報告する義務がある。でも今回あった事は書かない。」
サインは立ち上がり、佐助の前に右手を出した。佐助はなんだろうと思ったが、右手を差しだす。するとサインは佐助の腕を引っ張り抱きしめた。
「ありがとう。本当にありがとう…。佐助も、カヤもよく頑張ったね。これから先もカヤの事を頼む。」
「サインさん…。泣いてますよ?」
「うるさい!これは安心の涙だ!!」
決闘してからカヤは前を向く事が出来るようになった。そしてシンからある一報が届く。それは「今回の騒動が招いた事は私が処理する。処理が終わるまでカヤ並びに佐助の身をサインたちに預ける。」というものだった。
土砂降りの雨の中、カヤを肩に担ぎ、頭を下げる佐助。サイン、ゴズ、フィアーは事件を事前に聞かされていたが、カノンのあの姿を見て心を痛めていた。そしてサインが口を開く。
「佐助。カヤをとめてくれてありがとう。もしあの時カヤが暴走し無明剣を出していたらまた世界中がパニックになっていたと思う。カヤは僕たちに任せて君はゆっくり休んでくれ。」
「はい。よろしくお願い致します。」
佐助のあんな悲しそうな顔を見た事がなかったサインたちは、事の重大さを再認識した。そしてしばらくの間カヤを誰にも会わせないように隔離したのだ。
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サインは一人でカヤの寝ている部屋の椅子に座り、何日もなにも食べず、カヤが起きるのを待っていた。結局佐助にはなにも罰を与えなかったサイン。佐助もカヤも今回の騒動の被害者だったからだ。するとカヤは起きたのかサインを見てボソッと呟く。
「さ、サインさん…。カノンさんは…。」
「カヤ、大丈夫か!!」
サインはベッドに駆け寄る。しかしカヤにはカノンしか見えていなかった。
「はっ!カノンさんを助けに行かなくては!!」
立ち上がりすぐに出て行こうとするカヤ。サインは無理矢理その足を止めるが、それでも歩みを止めないカヤ。すると部屋の扉が開き、佐助が入ってきた。
「カヤ様。カノンさんは私のせいで刑務所行きが確定となりました。申し訳ありませんでした。」
佐助の声を聞いた瞬間カヤの体に邪悪なオーラが纏わりつく。これは恨みの念というべきか。カヤは佐助に牙をむいていたのだ。そしてあろうことかカヤは佐助の前へと出現し、本気でぶん殴る。佐助はその威力に耐えきれず、壁に打ちつけられた。
「カヤ!佐助は悪くない!!落ち着くんだ!!」
「うるさい!!あの時あいつが国衛隊に行くなんて言わなければこんな事にはならなかった!!」
自暴自棄になるカヤ。もはや誰にも止められない。そんな時、佐助が暗い顔をしながらカヤの前へ歩いてくる。カヤは「来るな!!」と連呼するが、カヤの目の前に立ちある事を言った。
「カヤ様。そんなに私が憎いなら私を倒してからカノンさんの元へ行きなさい。今すぐに施設の外へと来い。決闘だ。」
決闘。これはサインにとって衝撃を与えるものだった。しかし「カヤの殺意がこもっている内はなにも解決しない」と佐助は言い、カヤと共に施設の外へと出る。
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この時期は台風が押し寄せる。外は大荒れで、雷が鳴り響き、暴風雨が大地を削っていた。そんな中二人は決闘を始める。
「さぁ、本気でかかってこい。カヤ。」
佐助はカヤに対し、真剣を向ける。
「ふざけるな…。ふざけるな!!」
カヤは一瞬にして空間を把握し、強烈な波動を無明剣に纏わりつかせる。それは今までの比ではないほどに。その姿を見た佐助も本気を出し、剣を時計回りにゆっくりと回す。その瞬間カヤは佐助の前に現れ、斜めに斬ろうとした。
「やはり、甘いな。」
佐助はその一瞬の一撃を簡単に躱し、無明剣に一撃を喰らわせる。その瞬間衝撃波により国中が揺れ、国民たちは何事か!とパニックを起こす。それほど二人の影響力は半端なかったのだ。しかし佐助は力を緩める事をせず、刀で押しカヤの頭めがけて頭突きする。
「それが本気か!!」
サインたちは地面が揺れ、ふらつきながら止めようとする。しかし衝撃波の影響で二人の耳に声が届く事がなかった。
カヤは頭突きされた事で一瞬ふらつくが、すぐに立て直し数百にも及ぶ剣撃を繰り出した。それを簡単に受け流す佐助。それに気づいたカヤは佐助の視線から消え、佐助の脳天へ現れ無明剣で突き刺そうとした。
「そんなの甘い!!」
佐助は体勢を低くしながら刀を本気で振り、無明剣を斬り裂く。鋼のように硬かった無明剣は佐助の刀によりガラスのように砕かれ、その斬撃波は空へと響き、台風を打ち消してしまった。
「終わりです。」
無明剣を破壊され下を向いているカヤに刀を突きつける佐助。カヤは負けたと思い、その場で号泣する。
・・・
「カヤ様。カノンさんの件ですが…。もう取り返しのつかない事をしてしまった彼女は一生貴方の前に現れないでしょう。」
「ちょっと佐助!!それは言い…」
サインは怒り佐助を止めようとしたが、佐助は口を閉じるよう手でジェスチャーする。
「別れは辛いものです。カノンさんはカヤ様に一番寄り添ってくれた存在だから。ですが、その辛さの刃を他人に向けてはいけません。別れは始まりなのです。」
「…始まり?」
カヤは涙目で佐助の目を見る。すると佐助は微笑んだ。
「別れはとても辛い事。ですが、精神を統一し前を向くのです。これを大和の国では”心頭滅却すれば火もまた涼し”と呼んでいました。別れが来ても、心は冷静に。それだけで想う人は生き続けられるのです。」
その言葉を聞いたカヤはハッとする。今までカノンが言ってきた事。それらは全てカヤの心を優しく押してくれる言葉だったと思いだした。
「いい顔になりましたね。カヤ様。決闘をしてすっきりしたはずです。また辛くなったら刀を交えましょう。」
「はい…!」
太陽の光がカヤの顔を照らし、前を向いたカヤはいい表情をしていた。
・・・
「サインさん。身勝手な行動をしてしまい申し訳ご…」
「いや佐助は謝らなくていい。暴走しつつあったカヤを止め、前を向かせる事が出来たのは佐助のお陰。僕たちにはカヤの行動を国に報告する義務がある。でも今回あった事は書かない。」
サインは立ち上がり、佐助の前に右手を出した。佐助はなんだろうと思ったが、右手を差しだす。するとサインは佐助の腕を引っ張り抱きしめた。
「ありがとう。本当にありがとう…。佐助も、カヤもよく頑張ったね。これから先もカヤの事を頼む。」
「サインさん…。泣いてますよ?」
「うるさい!これは安心の涙だ!!」
決闘してからカヤは前を向く事が出来るようになった。そしてシンからある一報が届く。それは「今回の騒動が招いた事は私が処理する。処理が終わるまでカヤ並びに佐助の身をサインたちに預ける。」というものだった。
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