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歯車は動き出す
謎の食文化
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一夜明け、サインが顔を洗い歯磨きした後、食堂に向かうと異臭がした。それも強烈な。なんだこれは!?と思ったサインは急いで食堂に入る。すると発酵した豆をかき混ぜている佐助がいた。
「あ、おはようございます。サインさん。今日は私の国に伝わる納豆という食べ物を食べてほしいなと思いまして。」
「え、これ…。本当に食べ物なの…?」
サインは正直ドン引きしていた。こんなねばねばした豆を食べたら腹を壊すと思ったからだ。すると異臭に気づいたのか皆がやってきた。そしてサインと同じ反応をする。
・・・
食卓につくサインたち。正直食べたくなかった。ご飯の上にこんなものをかけたら食べられないだろうと思い、抵抗している。しかし、佐助は微笑み「どうぞ。」と言っている。その笑顔を壊したくないと思ったサイン。するとカノンが小声で語りかけてきた。
『サイン。これって本当に食べ物なの…?』
『佐助がいうには食べ物らしい。でもこんな見た目の食べ物見た事ないよ…。』
『だよね。私、この匂いの時点で食欲失せる…。でも佐助が「おいしいですよ。」っていうから食べなきゃだよね…。』
『うん…。心を決めよう!!』
二人は勇気を出して納豆にかぶりつく。すると意外においしい事に気づいた。佐助の特製ダレのお陰か。甘辛な甘味料が豆と絡んでいて悪くない。皆はただ納豆を食べる。しかし一人だけ、食が進まない者がいた。そう、ゴズだ。以前歴史学者サリーに会った時に納豆の写真を見せていた。しかしその時一口も食べられないと口にしていたのだ。
「あれ、ゴズさん。食べないのですか?」
笑顔で詰め寄る佐助。佐助は知らなかったがゴズは大の豆嫌い。それに加え柔らかい食感のものを口に入れる事を体が許さなかった。すると佐助が刀を抜きだし、ゴズの首元に刃を当てる。
「もちろん…。食べます…よね?」
「は、はいぃぃぃぃ!!!」
ゴズは苦しみながら食べきった。それはもはや拷問に近いものだと冷や汗をかくサインたちであった。
・・・
「あぁ…。死ぬかと思った…。」
「ゴズは歴史学者だから、その国の食文化にも慣れないとね…。」
サインは顔色悪くしているゴズの横に座り、話していた。ゴズいわく、大和の国ではあの料理は普通のものでほぼ毎日食べていたという。それを聞いていたサインは不思議そうな顔をしていたが、遠く離れた孤島ならではの食文化なんだなと思っていた。
「あ、そうだ。今度はカヤの料理を食べてみようよ!炒飯…。響きの時点でおいしそうじゃない?」
「そ、そうしよう!!」
ゴズは元気を取り戻し、筋トレへと向かっていった。するとそれと同時に佐助が入ってくる。
「私の国では食べ残しはだめなのです。しかしゴズさんは苦しみながらも完食してくれた。それだけで私は嬉しいです。」
「佐助はさ。カヤが15歳の体になってから少し変わったよね。なんというか、前のようなかたい表情が今は緩んでいる気がする。それって意外と自分自身では気づかない事だから。…ゴズから聞いたよ。佐助はご先祖様に言われて大和を、父親を倒したと言っていたけど、今はもう自由に動いていいと思うな。」
サインは佐助のちょっとした心情に気づいていた。佐助自身が自由を欲している事に。そんな言葉を聞いた佐助はたった今気づいた。皆といる事がこんなに幸せなんだという事に。
「…サインさんも優しいですね。私も皆さんと過ごせて嬉しいです。」
微笑む佐助。それはいつも以上に喜んでいる証拠だった。
・・・
時は夕方。カヤとカノンは炒飯の準備をしていた。
「カノンさん。なんか久しぶりに話した気がするね。セキトが落ち着きを取り戻してから数日経ったけど、こうして日常を過ごすって特別な事なんだね。」
カヤはボウルに卵を入れ、ときながらカノンに話しかけた。しかしカノンからの反応がない。どうしたのかとカノンのいる方向に目をやると、今にも泣きそうなカノンがうずくまって震えていた。
「えっどうしたの…!?」
「いや、カヤちゃんはとても勇敢だなって。あの時私を救ってくれた時も自らの命を犠牲にしてブルを壊滅させたから今こうして……幸せに…暮らして……。」
カノンはまだあの時の光景を忘れていなかった。忘れてしまったら自分自身の心が砕け散りそうだったから。フィストに手をかけそうになったのは事実。カヤを殴ってしまったのも事実。それなのにカヤはそんな自分に優しく寄り添ってくれる。それがとても嬉しくて、声を殺し泣くカノン。カヤはただ見ている事しか出来なかった。
「あ、あとは私がさ…!炒飯つくるから!!その…カノンさんは部屋でゆっくり休んでいてよ!!」
「…ありがとう。」
カノンは食堂を出て行った。
『カノンさん…。まだあの力を教えるわけにはいかないか。』
・・・
「皆さん!!炒飯作ったよ!!」
出来上がった炒飯はとても輝いていた。赤いご飯に卵。セキトでとれる海鮮などなど。とても美味しそうな見た目をしていた。
「これがサウンドラ王国の料理…!」
カノン以外、皆は目を輝かせていた。するとゴズが「調味料はなにを使っているのか?」と聞いてくる。するとカヤは含み笑いをし、とある調味料をとった。それは辛い料理で有名な国から取り寄せた唐辛子だった。
「え…。それめっちゃ辛いやつじゃん…。」
サインが指摘すると、カヤの動きが固まった。
「待って、私…。調味料間違えたかも。」
カヤは絶望する。確かにおかしいと思った。料理している最中、ずっと鼻がむずむずしていたし、なんだか目が痛かった。それに加え、この真っ赤なご飯。どうみても辛そうだった。すると、佐助が手に取りスプーンを持つ。
「こ…これは……。た…食べないと……。って辛!!!!」
魔力もないのに口から火をふく佐助。皆も一緒に食べ、その激辛具合に頭が痛くなった。そして食べ終わった後。ゴズが口にした。
「か、カヤ…。次は一緒に炒飯を作ろう…。」
「は、はい……。」
そして夕飯を食べ終えた皆はそれぞれ食堂を出て行く。しかしカヤは佐助を引き留めた。
「どうしたのですか?カヤ様。」
そこには真面目な顔をしたカヤが立っていた。そして「無明剣について話がしたい。」と言った。
「分かりました。付き合いましょう。」
そして二人はカウンセリング室へと向かった。
「あ、おはようございます。サインさん。今日は私の国に伝わる納豆という食べ物を食べてほしいなと思いまして。」
「え、これ…。本当に食べ物なの…?」
サインは正直ドン引きしていた。こんなねばねばした豆を食べたら腹を壊すと思ったからだ。すると異臭に気づいたのか皆がやってきた。そしてサインと同じ反応をする。
・・・
食卓につくサインたち。正直食べたくなかった。ご飯の上にこんなものをかけたら食べられないだろうと思い、抵抗している。しかし、佐助は微笑み「どうぞ。」と言っている。その笑顔を壊したくないと思ったサイン。するとカノンが小声で語りかけてきた。
『サイン。これって本当に食べ物なの…?』
『佐助がいうには食べ物らしい。でもこんな見た目の食べ物見た事ないよ…。』
『だよね。私、この匂いの時点で食欲失せる…。でも佐助が「おいしいですよ。」っていうから食べなきゃだよね…。』
『うん…。心を決めよう!!』
二人は勇気を出して納豆にかぶりつく。すると意外においしい事に気づいた。佐助の特製ダレのお陰か。甘辛な甘味料が豆と絡んでいて悪くない。皆はただ納豆を食べる。しかし一人だけ、食が進まない者がいた。そう、ゴズだ。以前歴史学者サリーに会った時に納豆の写真を見せていた。しかしその時一口も食べられないと口にしていたのだ。
「あれ、ゴズさん。食べないのですか?」
笑顔で詰め寄る佐助。佐助は知らなかったがゴズは大の豆嫌い。それに加え柔らかい食感のものを口に入れる事を体が許さなかった。すると佐助が刀を抜きだし、ゴズの首元に刃を当てる。
「もちろん…。食べます…よね?」
「は、はいぃぃぃぃ!!!」
ゴズは苦しみながら食べきった。それはもはや拷問に近いものだと冷や汗をかくサインたちであった。
・・・
「あぁ…。死ぬかと思った…。」
「ゴズは歴史学者だから、その国の食文化にも慣れないとね…。」
サインは顔色悪くしているゴズの横に座り、話していた。ゴズいわく、大和の国ではあの料理は普通のものでほぼ毎日食べていたという。それを聞いていたサインは不思議そうな顔をしていたが、遠く離れた孤島ならではの食文化なんだなと思っていた。
「あ、そうだ。今度はカヤの料理を食べてみようよ!炒飯…。響きの時点でおいしそうじゃない?」
「そ、そうしよう!!」
ゴズは元気を取り戻し、筋トレへと向かっていった。するとそれと同時に佐助が入ってくる。
「私の国では食べ残しはだめなのです。しかしゴズさんは苦しみながらも完食してくれた。それだけで私は嬉しいです。」
「佐助はさ。カヤが15歳の体になってから少し変わったよね。なんというか、前のようなかたい表情が今は緩んでいる気がする。それって意外と自分自身では気づかない事だから。…ゴズから聞いたよ。佐助はご先祖様に言われて大和を、父親を倒したと言っていたけど、今はもう自由に動いていいと思うな。」
サインは佐助のちょっとした心情に気づいていた。佐助自身が自由を欲している事に。そんな言葉を聞いた佐助はたった今気づいた。皆といる事がこんなに幸せなんだという事に。
「…サインさんも優しいですね。私も皆さんと過ごせて嬉しいです。」
微笑む佐助。それはいつも以上に喜んでいる証拠だった。
・・・
時は夕方。カヤとカノンは炒飯の準備をしていた。
「カノンさん。なんか久しぶりに話した気がするね。セキトが落ち着きを取り戻してから数日経ったけど、こうして日常を過ごすって特別な事なんだね。」
カヤはボウルに卵を入れ、ときながらカノンに話しかけた。しかしカノンからの反応がない。どうしたのかとカノンのいる方向に目をやると、今にも泣きそうなカノンがうずくまって震えていた。
「えっどうしたの…!?」
「いや、カヤちゃんはとても勇敢だなって。あの時私を救ってくれた時も自らの命を犠牲にしてブルを壊滅させたから今こうして……幸せに…暮らして……。」
カノンはまだあの時の光景を忘れていなかった。忘れてしまったら自分自身の心が砕け散りそうだったから。フィストに手をかけそうになったのは事実。カヤを殴ってしまったのも事実。それなのにカヤはそんな自分に優しく寄り添ってくれる。それがとても嬉しくて、声を殺し泣くカノン。カヤはただ見ている事しか出来なかった。
「あ、あとは私がさ…!炒飯つくるから!!その…カノンさんは部屋でゆっくり休んでいてよ!!」
「…ありがとう。」
カノンは食堂を出て行った。
『カノンさん…。まだあの力を教えるわけにはいかないか。』
・・・
「皆さん!!炒飯作ったよ!!」
出来上がった炒飯はとても輝いていた。赤いご飯に卵。セキトでとれる海鮮などなど。とても美味しそうな見た目をしていた。
「これがサウンドラ王国の料理…!」
カノン以外、皆は目を輝かせていた。するとゴズが「調味料はなにを使っているのか?」と聞いてくる。するとカヤは含み笑いをし、とある調味料をとった。それは辛い料理で有名な国から取り寄せた唐辛子だった。
「え…。それめっちゃ辛いやつじゃん…。」
サインが指摘すると、カヤの動きが固まった。
「待って、私…。調味料間違えたかも。」
カヤは絶望する。確かにおかしいと思った。料理している最中、ずっと鼻がむずむずしていたし、なんだか目が痛かった。それに加え、この真っ赤なご飯。どうみても辛そうだった。すると、佐助が手に取りスプーンを持つ。
「こ…これは……。た…食べないと……。って辛!!!!」
魔力もないのに口から火をふく佐助。皆も一緒に食べ、その激辛具合に頭が痛くなった。そして食べ終わった後。ゴズが口にした。
「か、カヤ…。次は一緒に炒飯を作ろう…。」
「は、はい……。」
そして夕飯を食べ終えた皆はそれぞれ食堂を出て行く。しかしカヤは佐助を引き留めた。
「どうしたのですか?カヤ様。」
そこには真面目な顔をしたカヤが立っていた。そして「無明剣について話がしたい。」と言った。
「分かりました。付き合いましょう。」
そして二人はカウンセリング室へと向かった。
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