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歯車は動き出す
意気消沈
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カヤが意識不明になってから一夜明け、サインたちは緊急会議をしていた。
「まず一旦整理しよう。僕もまだ驚いているけど、カヤが意識不明になった原因が過去の記憶にあるという事。そして無明剣には零が存在すると。」
「零…か。自らを犠牲にし、生物や植物などのあらゆるものを再生する。そんな事はカヤにとっては辛い事だ。俺もそう思う。そんな簡単に命を投げだす事など出来ない。」
「僕も同意見だね。無明剣零。これは発動したら絶対に止められない…。科学の力でなんとかしたいところだけど、その時間もないとなると、止めようがないな…。」
サイン、ゴズ、フィアーは頭を悩ませる。しかし佐助も廃人のようになってしまった。あんな姿を見た事なかった3人は心が痛んでいた。
「ところでカノンは…?」
「カヤと一緒にいるよ。ずっと祈りを捧げているらしい。」
カノンも今は話せる状態ではなかった。最早研究どころの話ではない。鬱病棟に入院していてもおかしくない状況で、皆は意気消沈していた。それに加えカヤの症状。あれは未知の病気だった。皮膚が石のようにかたまり、半身が白く変化している。堕天状態から抜けたのは不幸中の幸いだったが、それでも心配だった。
「とりあえず、世界中の医師を呼ぼう。完全に治せなくても、病気の原因を掴めるかもしれない。」
「そうだな。俺たちは二人を支える為にいる。佐助には俺がつこう。歴史に関しては俺が一番合っているからな。」
そういい、ゴズは佐助の部屋へと向かった。サインたちはシンと連絡を取り、世界中の医師の診察を受けてもらうよう手続きを取っていた。
・・・
それから1週間。世界中の医師は一人ずつ、診察をしたが、結局誰一人として解決出来ず、原因不明だと言った。体には異常が見られなかったからだ。どんどん医師がこの地から去っていくのをただ見る事しか出来なかったサインたちは自身も精神的に疲労を感じてきていた。
「どうすればいいんだ…。」
落ち込んでいるサインを見て、ゴズとフィアーも辛くなってきた。佐助もあれ以降口をきかない。やはり全て聞いていたカノンに聞くしかないのか?と思っていた矢先。なんとカノンが自らサインたちの元に来たのだ。
「どうし…。」
「なんで。なんでそんな冷静でいられるの…?カヤちゃんが倒れてもう1週間なのになんで冷静でいられるの!!!」
カノンは切れる。するとサインも切れてしまった。
「冷静な訳ないだろ!!僕だってカヤの為に最善を尽くした。でもどの国の医師も原因不明だと言って帰って行った!!カノンなんて、ほぼなにもしてないだろ!!」
「なんですって…?君があの夜一緒に聞いていればカヤちゃんはああならなかったはずだ!!この施設の責任者なのに二人をあのまま放置して…。本当に責任者なの?」
ゴズは二人に対し「落ち着け!」というが二人は「ゴズは黙ってろ!」と口を合わせた。
「大体おかしいと思った。サインはいつも後ろでみていただけ。なんもしていない!!なんかメモ取っているだけだし、カヤちゃんにも佐助にも距離を置いているように見えた。どうせ二人の事、信じてないんでしょ。」
「は?ふざけるな!!僕はいつもカヤも佐助も対等にみていたし、二人を安心させるような環境を作ってきたつもりだ!!カノンの方こそなんだ?大統領の娘だからみたいな肩書きで勝手に調査団に入って、好き勝手やってただろ!!!」
収まらない二人。これはもう愚痴に近いものだった。切れる事で鬱憤を晴らそうと。しかし次の瞬間、佐助が入ってきたのだ。
「……二人とも。止めてください。これは私とカヤ様の問題。サウンドラ王国と大和の歴史の問題なんです。セキトの国には分からない問題なんです。」
「なんだと…!!」
二人は佐助に詰め寄る。そして三人で口論が始まってしまった。最早誰にも止められない。そう思った時、なぜかシンがやってきて止めたのだ。
「やめろ!!カヤは意識不明でもこの口論は耳に届いているはずだ。今喧嘩したところで解決するわけがない。これは国際問題。サイン、カノン。二人はこれからイズの大統領との会談に参加してもらう。さっさと来い。」
シンもピリピリしていた。しかしシンがいなければ関係はもっと悪化していただろうと思ったゴズとフィアーは内心安心していた。
・・・
大統領の屋敷。シンはイズへの通信を飛ばし、今まであった事を話す。
『なるほど。カヤ様が…。それに佐助様まで心が壊れてしまったと。8か月後のイズへの赴きもきついですね。』
「申し訳ありません。これは私たちセキトも想定していなかった事。サウンドラ王国と大和にあんな歴史が残っていたとは思いもしませんでした。しかしこのままでは終われません。早急に調査団をあの島へ送らせ、病気の手掛かりを探します。」
『よろしくお願い致します。と言いたいのですが、今この国では内乱が起きていまして、国が割れる瞬間なのです。そんな危険な場所に回復された二人を来させるのは酷な話かと。』
今イズでは奴隷制度を廃止する運動が起きている。しかしその運動は度が過ぎるものであり、廃止する為にはどんな手段も選ばないとの事だった。そしてこのイズの大統領は勇気が足りない。大統領の素質がなかったのだ。その為シンは頭を悩ませていた。カヤと佐助を送っても、結局元に戻ってしまうのではないかと。そこでこんな提案を思いつく。それはセキトと正式に協定を結ぶというものだった。
『しかしそれではセキトの国衛隊を危険に晒してしまいます。セキトも今は国として危うい状況。先の騒動は世界に影響を与えた。協定を結んでも、私たちイズの国民は納得いかないはずです。』
「イズの大統領。そんな事を言っている場合ではない。奴隷制度は闇そのもの。国際的な連合に入っていても、それは形なだけ。頼れる国もない。だから私たちセキトと手を組み、国の内乱を止めるしかない。その覚悟はありますか?」
シンは少し苛立ちながらも、言葉は冷静だった。こんな情けない大統領では国が成り立たない。しかし、奴隷制度を阻止したい気持ちはシンも持っている。だから危険を承知に軍隊を動かすしかなかった。
『覚悟は出来ています。私の国の軍も機能していない今、貴方方セキトに頼る事しか出来ません。全てが片づいた後、深甚なる謝意をお送りします。』
「そのようなものはいりません。助けを呼ぶ声に私はなにも要求しませんから。」
そしてイズとの会談が終わった。
・・・
「サイン、そしてカノン。今はカヤと佐助に休息を与えてやってくれ。」
「はい……。お父さん。ごめんね、サイン。」
「いや、僕も悪かったよ。こちらこそごめん。」
するとサインの持っていた携帯電話が鳴る。何事かと思い、通信を繋げると、ゴズが言った。「佐助が消えた。」と。
「まず一旦整理しよう。僕もまだ驚いているけど、カヤが意識不明になった原因が過去の記憶にあるという事。そして無明剣には零が存在すると。」
「零…か。自らを犠牲にし、生物や植物などのあらゆるものを再生する。そんな事はカヤにとっては辛い事だ。俺もそう思う。そんな簡単に命を投げだす事など出来ない。」
「僕も同意見だね。無明剣零。これは発動したら絶対に止められない…。科学の力でなんとかしたいところだけど、その時間もないとなると、止めようがないな…。」
サイン、ゴズ、フィアーは頭を悩ませる。しかし佐助も廃人のようになってしまった。あんな姿を見た事なかった3人は心が痛んでいた。
「ところでカノンは…?」
「カヤと一緒にいるよ。ずっと祈りを捧げているらしい。」
カノンも今は話せる状態ではなかった。最早研究どころの話ではない。鬱病棟に入院していてもおかしくない状況で、皆は意気消沈していた。それに加えカヤの症状。あれは未知の病気だった。皮膚が石のようにかたまり、半身が白く変化している。堕天状態から抜けたのは不幸中の幸いだったが、それでも心配だった。
「とりあえず、世界中の医師を呼ぼう。完全に治せなくても、病気の原因を掴めるかもしれない。」
「そうだな。俺たちは二人を支える為にいる。佐助には俺がつこう。歴史に関しては俺が一番合っているからな。」
そういい、ゴズは佐助の部屋へと向かった。サインたちはシンと連絡を取り、世界中の医師の診察を受けてもらうよう手続きを取っていた。
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それから1週間。世界中の医師は一人ずつ、診察をしたが、結局誰一人として解決出来ず、原因不明だと言った。体には異常が見られなかったからだ。どんどん医師がこの地から去っていくのをただ見る事しか出来なかったサインたちは自身も精神的に疲労を感じてきていた。
「どうすればいいんだ…。」
落ち込んでいるサインを見て、ゴズとフィアーも辛くなってきた。佐助もあれ以降口をきかない。やはり全て聞いていたカノンに聞くしかないのか?と思っていた矢先。なんとカノンが自らサインたちの元に来たのだ。
「どうし…。」
「なんで。なんでそんな冷静でいられるの…?カヤちゃんが倒れてもう1週間なのになんで冷静でいられるの!!!」
カノンは切れる。するとサインも切れてしまった。
「冷静な訳ないだろ!!僕だってカヤの為に最善を尽くした。でもどの国の医師も原因不明だと言って帰って行った!!カノンなんて、ほぼなにもしてないだろ!!」
「なんですって…?君があの夜一緒に聞いていればカヤちゃんはああならなかったはずだ!!この施設の責任者なのに二人をあのまま放置して…。本当に責任者なの?」
ゴズは二人に対し「落ち着け!」というが二人は「ゴズは黙ってろ!」と口を合わせた。
「大体おかしいと思った。サインはいつも後ろでみていただけ。なんもしていない!!なんかメモ取っているだけだし、カヤちゃんにも佐助にも距離を置いているように見えた。どうせ二人の事、信じてないんでしょ。」
「は?ふざけるな!!僕はいつもカヤも佐助も対等にみていたし、二人を安心させるような環境を作ってきたつもりだ!!カノンの方こそなんだ?大統領の娘だからみたいな肩書きで勝手に調査団に入って、好き勝手やってただろ!!!」
収まらない二人。これはもう愚痴に近いものだった。切れる事で鬱憤を晴らそうと。しかし次の瞬間、佐助が入ってきたのだ。
「……二人とも。止めてください。これは私とカヤ様の問題。サウンドラ王国と大和の歴史の問題なんです。セキトの国には分からない問題なんです。」
「なんだと…!!」
二人は佐助に詰め寄る。そして三人で口論が始まってしまった。最早誰にも止められない。そう思った時、なぜかシンがやってきて止めたのだ。
「やめろ!!カヤは意識不明でもこの口論は耳に届いているはずだ。今喧嘩したところで解決するわけがない。これは国際問題。サイン、カノン。二人はこれからイズの大統領との会談に参加してもらう。さっさと来い。」
シンもピリピリしていた。しかしシンがいなければ関係はもっと悪化していただろうと思ったゴズとフィアーは内心安心していた。
・・・
大統領の屋敷。シンはイズへの通信を飛ばし、今まであった事を話す。
『なるほど。カヤ様が…。それに佐助様まで心が壊れてしまったと。8か月後のイズへの赴きもきついですね。』
「申し訳ありません。これは私たちセキトも想定していなかった事。サウンドラ王国と大和にあんな歴史が残っていたとは思いもしませんでした。しかしこのままでは終われません。早急に調査団をあの島へ送らせ、病気の手掛かりを探します。」
『よろしくお願い致します。と言いたいのですが、今この国では内乱が起きていまして、国が割れる瞬間なのです。そんな危険な場所に回復された二人を来させるのは酷な話かと。』
今イズでは奴隷制度を廃止する運動が起きている。しかしその運動は度が過ぎるものであり、廃止する為にはどんな手段も選ばないとの事だった。そしてこのイズの大統領は勇気が足りない。大統領の素質がなかったのだ。その為シンは頭を悩ませていた。カヤと佐助を送っても、結局元に戻ってしまうのではないかと。そこでこんな提案を思いつく。それはセキトと正式に協定を結ぶというものだった。
『しかしそれではセキトの国衛隊を危険に晒してしまいます。セキトも今は国として危うい状況。先の騒動は世界に影響を与えた。協定を結んでも、私たちイズの国民は納得いかないはずです。』
「イズの大統領。そんな事を言っている場合ではない。奴隷制度は闇そのもの。国際的な連合に入っていても、それは形なだけ。頼れる国もない。だから私たちセキトと手を組み、国の内乱を止めるしかない。その覚悟はありますか?」
シンは少し苛立ちながらも、言葉は冷静だった。こんな情けない大統領では国が成り立たない。しかし、奴隷制度を阻止したい気持ちはシンも持っている。だから危険を承知に軍隊を動かすしかなかった。
『覚悟は出来ています。私の国の軍も機能していない今、貴方方セキトに頼る事しか出来ません。全てが片づいた後、深甚なる謝意をお送りします。』
「そのようなものはいりません。助けを呼ぶ声に私はなにも要求しませんから。」
そしてイズとの会談が終わった。
・・・
「サイン、そしてカノン。今はカヤと佐助に休息を与えてやってくれ。」
「はい……。お父さん。ごめんね、サイン。」
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