異世界転移して獣人王子様に見初められた俺がオメガになって世界を救う、かもしれない!?

わをん

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015-② 覚醒!

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 俺の匂い、即ちフェロモンは猫の結界を内側から打ち破るほどの破壊力だったそうだ。

 この塔の下には常勤の職員もいる。

 タイミングよく出勤してきたジークに真っ先に異変が知らされた。

 俺の部屋の鍵は猫が開けるか、猫が許可した者、もしくは内側から俺が開けない限り開かない、ということになっている。それを勝手に突破してくるのは今のところウィルだけである。

 だから、俺の警備担当であっても、ジークは扉の前で立ち往生し、健気にもずっと扉を叩いて俺たちの名前を呼んでいた、らしい。

 そのうち俺の匂いに堪えきれなくなったジークは扉を壊すしかないと剣を抜いた。そこにのんびりと猫がやってきて、呆気なく開錠。

 外でそんなことになっていたとはつゆ知らずに、俺はウィルと……。

 危なかった!

 たが、気づいたところで俺は扉を開ける気にならなかっただろうと思うんだ。

 色欲に狂っていたから、なんて恥ずかしくて言えないんだけど……。

 自分が怖い!!

 俺は三人が入ってきたことを直ぐに察知した。

 だが、こちとら快楽で完全に脳味噌が溶けきっている。一度は行為を止めたものの、無視した。

「カイ! 殿下!」
「………」

 慌てたジークを筆頭とした三人をウィルの肩越しにこの目で見たときだ。現実に引き戻された俺はそこでやっと状況を理解した。

「……!? な、は、う、ええぇえ!?」

 見られた!!

 俺は声にならない声で絶叫、一方のウィルは平然と俺の体をしゃぶり続けていた。犬だから! って、え!? 俺はウィルを引き剥がそうとするが簡単に力で負けて、より強い力で引き寄せられる。

 ジークは寝室に入るのはさすがに躊躇って、離れたところから叫び続けていた。

「殿下! 式の前に何てことをしてくれたんです!」
「あらあらぁ、やっぱりお邪魔ですねぇ、私たち」
「ジークさん、ほら、だから言ったじゃありませんか、大丈夫だと。殿下だってまだ理性がおありですよぉ」
「どこが大丈夫なんだ、この猫どもが! 何で殿下を入れた!」
「だってねえ、相手が悪いですぅ」
「でなくても、アルファと男オメガの運命の番ですよ、この二人。私たちにどうしろって言うんです。二人の間を引き裂けと?」

 無理い、と愉快そうに言って、猫は甲高い声で笑う。

「くっ……、あとで一緒に始末書提出だからな」

 ジークと猫二人のテンションは明らかに違った。 

「殿下! 今日を狙いましたね!? これはフライングですよ!?」
「………」

 ウィルの動きがピタッと止まった。

 フライング?

「……うるさい、下がれ。ジーク……、猫もろとも即刻ここから出ていけ」
「!?」

 俺を抱えたまま、性欲優先のウィルがフェロモン全開の上で真っ当な上司っぽく命令だ。

 ……何の説得力もない。それでも猫は寝室から下がったが、ジークはアルファだからウィルからのプレッシャーが効かないようで、まだギャーギャー言ってる。興奮し過ぎて早口だ。俺にはもう何も聞き取れない。

 ジーク……、凄い剣幕だ。どうしちゃったんだろうか。心配になるレベルだ。

 それより問題はウィル。

「ウィル。もう、離せ。みんな来たから」
「嫌だ、離さない」

 俺はすっかり冷静になってしまった。ウィルに跨っていたのを降りようとして、引き止められる。さっきから、ずっとこの繰り返し。

「おい、こら。じゃれるのはもう終わりだってば……」

 発情したままとかないから。人前で腰を擦り寄せてくるとかないから!

「こんなところ見られてお前は恥ずかしくないのか」
「こいつらは追い出せばいい。やっとお前が落ちてきたんだぞ? 俺はもう我慢できない……」
「な、何言ってんだ! 俺はまだ落ちてない!」

 たぶん、まだ!

 俺なりに頑張ってウィルを抑えてる最中にも、ジークは狂ったように叫び続けていた。

「殿下、あれほど自制するよう申し上げたではありませんか……、ああ、まずい、これはまずい……」

 いつも冷静沈着なジークがひたすらに悲しんで絶望している。その口からはこの世界のスラングと英語が交互に飛び出てくる。

 ウィルは敢えて空気を読まない。かまわず俺を抱き寄せてくる。

「見せつけてやろう」
「え、嘘……、バカ、それはない……っ」
 
 調子に乗ったウィルからまたしても口をペロッと舐められた俺は金縛りに遭ったようになる。

「あら」

 寝室の扉から顔を覗かせていた猫。

「見ちゃいました」
「見ちゃいましたねえ」

 猫のこの反応。ほら、やっぱり! これはこの世界でも特別な行為なんだ!

 俺の顔はきっとまた真っ赤になっていたと思うんだ……。

 ペロペロ舐め続けられて、目も口も閉ざさるを得ず、ただフルフルと震える俺。

 されるのは嫌じゃないんだが、見られるのは嫌だ!

 で、急激に頭に血が上った。初めてウィルに向かって本気で手を上げた。

「あ」

 バッチーン! かなりの音がした。

「あらら。やっちゃった」
「カイ!? お前はなんてことを!!」

 叩かれたウィルは俺を見つめて、目をパチクリするだけ。ちょっとしたら、すぐにニヤッと悪い顔をした。俺が一回叩いたところでこのデカい獣人にはインパクトを与えられない。

 俺はウィルでなくて、混乱状態のジークから激怒された。


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