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日常編
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五時間後。
アストと陽波は思わずガッツポーズをしていた。
「いやあ! 熱い展開だったね! まさか仲間になるとは!」
「本当に良かった! この子もやっと報われるよ!」
敵ポジションにいた少女が四人目のフリキュアになったのである。ひとしきりはしゃいだ後、陽波はぽつりと呟いた。
「いいなあ、仲間……私も欲しい」
その一言で、急に現実を思い出して二人とも項垂れた。
「ごめん、俺がもっとちゃんとしていれば……」
「気にしないで……」
フリキュアは四人もいるのに陽波は一人きりだ。つい現実と比較して、陽波は辛くなってしまった。アストも同じことを思ったのか、遠い目をして言う。
「でも現実はここまで上手くいかないよね。俺がどんなに声をかけても誰も気付いてくれなかったのに……。フリキュアの子たちはすぐにやる気になってくれて、すごく良い子たちばっかりだ。俺はキュピ太が羨ましいよ」
アストはマスコットキャラのキュピ太に感情移入し始めている。
陽波は思った。アストは悪くない。それもこれも、マスコットキャラに見向きもしない地球の人間たちが悪いのである、と。アストの探し方も悪いのかもしれないが。どっちにしても陽波にはどうしようもない。
陽波はアストを不憫に思いつつ、空気を換える為にも気合を入れて立ち上がった。
「よし! じゃあそろそろ夕飯作ろっか。今日は何にする? 野菜何があったっけ?」
冷蔵庫の中を物色する。キャベツに白菜にじゃがいも……。平日の夕食係をしているアストが色々と作ってくれるので、食材は豊富に買い揃えてあった。
「キャベツがそろそろ怪しいからー、野菜炒め?」
「陽波いつもそればっかり」
アストのツッコミに陽波は図星を突かれた。陽波の料理は、全部まとめて焼くか煮るかの二択しかない。手間のかかるメニューは面倒なので作らない主義だ。
「だって炒めるだけなんだから楽じゃん。じゃあ肉を足して肉&野菜炒めで」
「折角二人で作るなら餃子とかにしようよ」
「えーめんどくさーい。皮とか無いし、生地から作るわけ?」
「皮、買ってあるよ」
「いつの間に……」
アストはドヤ顔で餃子の皮を取り出した。買い物はいつも一緒に(兎の姿で)行っているというのに全く気付かなかった。ここまで用意してあればやらないわけにはいかない。陽波は仕方なく腕まくりをした。
「しょーがない。やるかぁ~」
「まずは中身を作るところからね」
「既に面倒臭い!」
陽波はぶつぶつ言いながらも手を動かした。
中身のタネが出来上がり、二人で皮に包んでいく。黙々と作業をする合間、アストが呟いた。
「俺、陽波と会えて良かったと思う」
「餃子作れるから?」
「違う!」
陽波がついとぼけるも、アストはすぐに否定した。包み中の餃子を手にしんみり言う。
「さっきはフリキュアの子たちが羨ましかったけど……こうしてると、俺は陽波で良かったなあって思うんだよ」
「ふーん」
陽波は照れ臭くなって、興味の無い振りを装った。話は終わりかと思いきや、アストは続ける。
「陽波はどう? あの日、俺を拾って、最悪だった? 後悔した?」
アストは餃子を手にしたままで、陽波の目を見ながら問う。陽波は悩んだ。そして思った。こういう時にする話題なのかこれは、と。包んだ餃子を皿に並べた。
「私は、まあ、もっと若い時だったらよかったなって思ったよ。魔法少女になるの、小さい時の憧れだったんだから。今魔法少女やってても、とにかく辛いし、仕事と両立は辛いし、体も段々しんどくなってきて辛いし」
「ごめん……」
「でも」
陽波はアストが来てからの日常のことを思い返す。いきなり魔法少女になったり、二人暮らしになったり、困ったことも多かった。でも。
「魔法少女云々はともかく、アストには会えて良かったよ。じゃなきゃ今もこうやって餃子作らないで野菜炒め作ってただろうしね。うん。まあ、そういうこと。あー! お腹空いたなー!」
陽波は照れてしまった。現実でアニメのような綺麗な言葉を堂々と言えるわけがない。新たな餃子の皮を手にまた作業を続ける。
「ひ、陽波ぃ……!」
隣ではアストが何か感極まっていた。陽波はむず痒さに耐えられなくなり、「トイレ!」と必要以上に大声で叫んで部屋を出た。
「陽波、俺頑張るから、ちゃんと仲間の魔法少女も探すからね! 待ってて!!」
アストの大声を背に、陽波はトイレにしばらく引き籠った。照れすぎて、顔を見るのも辛かった。
アストと陽波は思わずガッツポーズをしていた。
「いやあ! 熱い展開だったね! まさか仲間になるとは!」
「本当に良かった! この子もやっと報われるよ!」
敵ポジションにいた少女が四人目のフリキュアになったのである。ひとしきりはしゃいだ後、陽波はぽつりと呟いた。
「いいなあ、仲間……私も欲しい」
その一言で、急に現実を思い出して二人とも項垂れた。
「ごめん、俺がもっとちゃんとしていれば……」
「気にしないで……」
フリキュアは四人もいるのに陽波は一人きりだ。つい現実と比較して、陽波は辛くなってしまった。アストも同じことを思ったのか、遠い目をして言う。
「でも現実はここまで上手くいかないよね。俺がどんなに声をかけても誰も気付いてくれなかったのに……。フリキュアの子たちはすぐにやる気になってくれて、すごく良い子たちばっかりだ。俺はキュピ太が羨ましいよ」
アストはマスコットキャラのキュピ太に感情移入し始めている。
陽波は思った。アストは悪くない。それもこれも、マスコットキャラに見向きもしない地球の人間たちが悪いのである、と。アストの探し方も悪いのかもしれないが。どっちにしても陽波にはどうしようもない。
陽波はアストを不憫に思いつつ、空気を換える為にも気合を入れて立ち上がった。
「よし! じゃあそろそろ夕飯作ろっか。今日は何にする? 野菜何があったっけ?」
冷蔵庫の中を物色する。キャベツに白菜にじゃがいも……。平日の夕食係をしているアストが色々と作ってくれるので、食材は豊富に買い揃えてあった。
「キャベツがそろそろ怪しいからー、野菜炒め?」
「陽波いつもそればっかり」
アストのツッコミに陽波は図星を突かれた。陽波の料理は、全部まとめて焼くか煮るかの二択しかない。手間のかかるメニューは面倒なので作らない主義だ。
「だって炒めるだけなんだから楽じゃん。じゃあ肉を足して肉&野菜炒めで」
「折角二人で作るなら餃子とかにしようよ」
「えーめんどくさーい。皮とか無いし、生地から作るわけ?」
「皮、買ってあるよ」
「いつの間に……」
アストはドヤ顔で餃子の皮を取り出した。買い物はいつも一緒に(兎の姿で)行っているというのに全く気付かなかった。ここまで用意してあればやらないわけにはいかない。陽波は仕方なく腕まくりをした。
「しょーがない。やるかぁ~」
「まずは中身を作るところからね」
「既に面倒臭い!」
陽波はぶつぶつ言いながらも手を動かした。
中身のタネが出来上がり、二人で皮に包んでいく。黙々と作業をする合間、アストが呟いた。
「俺、陽波と会えて良かったと思う」
「餃子作れるから?」
「違う!」
陽波がついとぼけるも、アストはすぐに否定した。包み中の餃子を手にしんみり言う。
「さっきはフリキュアの子たちが羨ましかったけど……こうしてると、俺は陽波で良かったなあって思うんだよ」
「ふーん」
陽波は照れ臭くなって、興味の無い振りを装った。話は終わりかと思いきや、アストは続ける。
「陽波はどう? あの日、俺を拾って、最悪だった? 後悔した?」
アストは餃子を手にしたままで、陽波の目を見ながら問う。陽波は悩んだ。そして思った。こういう時にする話題なのかこれは、と。包んだ餃子を皿に並べた。
「私は、まあ、もっと若い時だったらよかったなって思ったよ。魔法少女になるの、小さい時の憧れだったんだから。今魔法少女やってても、とにかく辛いし、仕事と両立は辛いし、体も段々しんどくなってきて辛いし」
「ごめん……」
「でも」
陽波はアストが来てからの日常のことを思い返す。いきなり魔法少女になったり、二人暮らしになったり、困ったことも多かった。でも。
「魔法少女云々はともかく、アストには会えて良かったよ。じゃなきゃ今もこうやって餃子作らないで野菜炒め作ってただろうしね。うん。まあ、そういうこと。あー! お腹空いたなー!」
陽波は照れてしまった。現実でアニメのような綺麗な言葉を堂々と言えるわけがない。新たな餃子の皮を手にまた作業を続ける。
「ひ、陽波ぃ……!」
隣ではアストが何か感極まっていた。陽波はむず痒さに耐えられなくなり、「トイレ!」と必要以上に大声で叫んで部屋を出た。
「陽波、俺頑張るから、ちゃんと仲間の魔法少女も探すからね! 待ってて!!」
アストの大声を背に、陽波はトイレにしばらく引き籠った。照れすぎて、顔を見るのも辛かった。
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