転生ハムスターは王妃を夢見る?

ハイエルフスキー

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第一章 転生ハムスターは王太子様がお気に入り

2 決戦! VS魔王城?

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 木々が吹き飛ばされる。

 地面がえぐれる。

 土ぼこりがもうもうと舞う。

 シャレにならーん!

 私が前世で日本人だった頃、ロールプレイングゲームをしながら不思議に思っていたことがある。

 何故、魔王は魔王城にこもってて、外に攻めてこないんだろうか、と。

 自分がいちばん強いんだから、自分で攻めてこいよ、と。

 ごめんなさい。

 あやまります。

 私がまちがっていました。

 まさか、魔王自身が魔王城だったとは……。

 ちょっとした足が生えてるけど、これじゃあ、遅すぎて四天王まかせにもなるよね。

「おっりゃー、死ねや、魔王ー! 喰らえー、魔王封陣斬ふうじんざん!」

 何度目だろう。

 勇者ラルフの聖剣エクスカリバーが光の斬撃ざんげきを飛ばす。

「ちぃっ! ウィンディーネ、下がって! サラマンダー、代わりに防御を担当して! ノーム、なんとか地下から魔王を揺さぶって!」

 魔王のところにたどり着くまでに、仲間が何人か戦闘不能となって、勇者一行は四人となったらしい。

 精霊術師のシーラが、なんで私が防御を担当しなきゃならないのよ、と昨夜ブツブツと文句を言っていた。

 召喚獣術師しょうかんじゅうじゅつしのトールは真っ赤な目をして、ワイバーンとグリフォンとケルベロスに指示を飛ばしている。

 どうやら、思念みたいなもので召喚獣と繋がっているらしく、疲れがありありと顔に出ている。

 王太子様は治癒ちゆ魔術が専門ということで、誰かがケガをしない限り出番はないらしい。

 とはいえ、魔王ビームの威力を考えれば、かすっただけで死ねるよねー。

 魔王城(魔王)から放たれるビームみたいな攻撃は、今のところ精霊たちが防いでくれている。

 でも、どう見ても防戦一方だ。

 攻撃がまったく魔王城に通じていない。

 勇者の攻撃はすべて弾き返されている。

 魔王城に近づいた召喚獣はビームを至近距離からくらって、ボロボロになって逃げてくる。

 精霊たちも次第に弱ってきている。

 最初のうちはすべて防いでいた魔王城のビーム攻撃も、今ではすぐそばに着弾することがある。

 手詰まりだ。

 胸ポケットの中からふと見上げると、王太子様が今にも泣き出しそうだ。

 そうだよね。

 治癒専門の王太子様には、今のところできることは何もない。

 とはいえ、自分もみんなの役に立ちたい、ということだよね。

 うんうん、さすがは私の理想の弟くんだね。

 お姉さん、ちょっと萌えてるよ。

 不謹慎だけど。

 涙目になった王太子様もかわいくてかわいくて……おっと、いかんいかん、命が風前のともしびだというのに。

 とはいえ、ハムスターごときに何ができるだろうか? 

 いや、できることなど何もない。

 えーっと、たしか反語だよね、これ。

 昔ならったな。

 なんだろう、ハムスターに生まれ変わったせいか、緊迫感ないよね、私。

 でも、私にできることなど、死の直前まで王太子様のご尊顔そんがんはいたてまつことぐらいだ。

 そう心に決めた私は、胸ポケットから顔をのぞかせ、キラキラと目を輝かせて王太子様を見つめていた。

「あっ! ラルフ危ない!」

 王太子様の甲高い声で、ふと勇者のいたほうを見る。

 げっ!

 勇者、こけてる!

 まずいね、と思った時には、すでに王太子様は走り出していた。

 えっ? 

 王太子様、防御魔術とか使えるの?

 使えたとして、魔王ビームを防げるの?

 そう思った時には、王太子様はもう勇者の前に立っていた。

 そして、次の瞬間、目もくらむほどの魔王ビームが、私たちの目の前に迫っていた。
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