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第2章 救国のハムスターは新たな人生を歩む
52 ハトが豆鉄砲をくらうって、こういうことかしら?
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王太子様の口から飛び出した、ハムちゃんという言葉を聞いた瞬間、私の心臓はトクンと跳ねるように動いた。
吸い寄せられるように、王太子様の横顔に視線が向かう。
そうだった――
――そうだったね、と私は、ほおっておけば王太子様をずっと見続けようとする瞳と心を、無理やり閉じた。
ハムスターだった頃は、王太子様が私のことを、ねえ、ハムちゃんと呼ぶたびに、心を躍らせて、なーに? と王太子様の空色の瞳をのぞきこんだものだった。
王太子様の声を聞くだけで幸せになれたし、頭をなでてもらえれば満ち足りた気分になれた。
毎日がバラ色で、王太子様と一緒にいられれば、他には何もいらなかった。
王太子様さえいれば、他の何も――
――でも……忘れていた?
ううん、決して、忘れていたわけじゃない。
あきらめていた? いや、あきらめようとしていた?
いや、ちがう、あきらめるべき……なんだ。
王太子様の発した、ハムちゃんという懐かしい呼び名に、すがりつきそうになる自分を、私は必死で押さえ込んだ。
アンジェリカ王女とニルス王子はどうするの?
まわりの国だって、ティトラン王国を虎視眈々と狙っている。
プルッキア帝国が王国に攻めこもうとしたのは、つい先日だ。
王国の平和は、絶妙なバランスの上に成り立っている。
私のわがままで、波風を起こすべきじゃない。
もう、充分だ。
命の心配も、お金の心配もなく、この世界で生きていける。
これ以上、何かを望むのはぜいたくというものだ。
そう、噛みしめるように、心に決めて、私はとめていた息を吐き出すのと同時に、まぶたを開いた。
と、そこには、なぜか、豆鉄砲を食らった一羽のハトがいた。
いや、ハトなわけがない。
トールだった。
沈着冷静で知られるトール・レンホルム伯爵が、豆鉄砲を食らったハトのような表情で、王太子様を見上げていた。
一切の動きをとめている。
ああ、と私は心の中で、うなずいた。
おそらくは、私が召喚獣契約陣から現われたことを報告していなかったことを、王様や宰相閣下に怒られたように、王太子様にも責められるのではと、トールは思っていたのだろう。
予想していたのとはちがって、王太子様に、ありがとうと言われたのだ。
びっくりしたにちがいない。
王太子様と私がじーっと見つめている中、しばらく動きをとめていたトールだったが、ようやく我に返ったのか、のろのろと立ち上がった。
そして、またしてもミスをおかしたのだ。
「……ご存じだったのですか?」
召喚獣省長官の執務室に大きな鏡でも置いてあれば、豆鉄砲を食らったハトがもう一羽、そこに映し出されていたにちがいない。
えっ、知らなかったの?
王太子様が私のことに気が付いていないと思ってたの?
クレアに聞いてるんじゃないの?
知らずに、私と王太子様を引き合わせてたの?
いやいや、そんなことより、ダメだよ。
もっと考えてしゃべろうよ。
今のセリフは、私が元ハムスターだと認めたことになるし、トールもそのことを知っていて、かつ黙っていたことになるんじゃないの?
知らないよ。
王太子様はやさしいから怒ったりしないだろうけど、王様と宰相閣下にまた怒られるんじゃないの?
ボーッと突っ立っているトールを視界の隅で捉えながら、私は頭を抱えそうになるのを必死でこらえた。
いや、トールが認めようが認めまいが、同じことか。
そもそも、王太子様に隠していたというわけでもない。
言えなかっただけだ。
トールにも、私が元ハムスターであることを黙っているように言っただけで、何の打ち合わせもしていない。
もともと、ウソをつく気もなかったし、ウソをつき通すための計画も、算段も、何もしていないのだ。
いずれは、王太子様と向き合わなければならないのかもしれない。
豆鉄砲を食らった二羽のハトに交互に視線を送った王太子様は、トールにうなずきかけた。
「トールが知ったのは、ごく最近だよね? 以前のふたりは、ずいぶんよそよそしい関係に見えたんだけど、ここのところ、昔みたいに親しげだしね?」
問われるがままに、そうですな、と返事をしたトールは、不意に、あっ! と叫んで、口を半開きにした。
恐る恐るといった感じで、私のほうを視線を送る。
誰だ?
トールが秘密をもらすようなことはないと言ったのは?
と思ったけど、トールを責めたところでしょうがない。
もちろん、クレアのせいでもない。
私はしぶしぶ口を開いた。
「よかったね、トール。怒られなくて」
王太子様の意識がトールに向かったことに半ば胸をなでおろしながら、半ば嫌みでそう言ったのだけど、トールは嫌みとはとらなかったらしく、顔をほころばせた。
「おお、そうだな。肝を冷やしたな。いや、まったく」
ホッと安堵の息をもらしたトールを見て、すこしは怒られれば良かったのにと、ジトッと目を細めたところで、王太子様が不思議そうに首を傾げた。
「怒る? なぜ、怒られるだなんて思ったんだい?」
「あ、いえ、その……ハーモニーが召喚獣契約陣から出てきたことを黙っていたことについて、国王陛下と宰相閣下からずいぶんとお叱りを受けましたからな。それで、まあ、今回も、というか、今回はさらに、というか……」
なにやら、しどろもどろになりながら、弁明らしきものを始めたトールに向かって、王太子様は、ああ、とうなずいた。
「トールは国王陛下とアグレル宰相が本気で怒っていると思っていたんだね?」
「えっ? ちがうのですか?」
「あれは演技だよ、トール。モランデル子爵が召喚獣契約陣から出てきた神の使いだというのは、シーラが描いた絵だと、ふたりは思っているからね。信憑性を与えるためには、今までなぜ黙っていたのかと、トールを責めた方がいいと判断したんだろうね。まあ、神の使いに頼まれていたのではなく、トールの独断だというのなら、ひょっとしたら怒られるかもしれないけど、すくなくとも私はよかったと思うよ。トールが守ってくれたおかげで、ハムちゃんが無事だったわけだしね」
トールが衝撃のあまり目をぱちくりと瞬くのを見て、王太子様は苦笑を浮かべながら、なおも話を続けた。
「ただ、演技とはいえ、トールを責めたのは、どうなんだろうね? 本当に神の使いに頼まれたのなら、約束を守ったトールを責めるのはおかしいんだ。とくに、ハムちゃんに頼まれたのならね。およそティトラン王国の者で、ハムちゃんの頼みを断るような恩知らずな者がいるはずがない。たとえ、国王であろうともね。つまり、父上も宰相もモランデル子爵が神の使いだとは信じていないんだ」
今度は、私が目をぱちくりと瞬くのを見て、王太子様は私に向き直った。
「精霊祭の前にもね、私は父上に言ったんだ。ハムちゃんが帰ってきてるってね。シーラの養女のハーモニー嬢がハムちゃんだったんだってね」
だけどね、と言って、王太子様は釈然としない表情を浮かべて、頭を二度ばかり左右に振った。
「なんて言ったらいいんだろうね。ものすごく、やさしく言われたんだ。それは、よかったな、とね」
いや、信じていない、というわけじゃないんだろうね、たぶん、と言いにくそうに言って、王太子様は、ふむ、とうなずいた。
「私が頼んだとおり、パレードではニルスと一緒の馬車に乗れるようにしてくれたし、今も、モランデル子爵を神の使いとして遇してくれている。おそらく、父上は、信じたいんだけど、信じ切れないんだろうね。いや、信じてしまえば、頼り切ってしまうことを恐れているのかもしれない」
そう言って、王太子様は昔を思い出すかのように、一瞬だけ瞳をさまよわせた。
「王国を守るためには、どうしたらいいのかって、父上は、ずっと考え続けているんだ。ハムちゃんが王国を守ってくれている間だって、父上は、ずっと先のことまで考えていた。ハムちゃんがいなくなってしまったら、どうすればいいかって。今も、考えているんだと思う。王国を守るためには何が最善かを」
王太子様がハムちゃんと言うたびに、胸がむずがゆくなるのをこらえながら、私は、ああ、そうか、とこれまでの王様の私への接し方を思い返していた。
たしかに、王様は私のことを完全に神の使いとして見ているわけではない。
そのことはわかっていた。
それでも、たんなる子爵として扱われることもない。
上にも置かず、下にも置かずといったところだろうか?
ハムスター時代は、その容姿のせいもあってか、あきらかに王様の上に置かれていた。
だけど、人の姿をした神の使いという存在が、そもそも前例がないし、子爵という立場では王様の上というわけにもいかない。
名前を呼ばれる時だって、モランデル子爵だし、様付けということはない。
そもそもが、微妙な立ち位置なのだ。
そういえば、王様がハムスター時代に関係するような話題を振ってきた時に、知らないふりをしたことがある。
王太子様に元ハムスターであることを気づかれている、とクレアに教えられた私は、それ以降、発言に気を使うようになったからだ。
ひょっとして、王様は、私が元ハムスターかどうか、確認していた?
となると、王様は私のことを、シーラが仕立て上げた、ニセモノの神の使いだと、すでに結論づけているかもしれない。
それでも、王国を守るためには、私が神の使いであるとしたほうがいいと判断したのだろう。
うーん、ホント、人の世って複雑だね。
ハムスターの頃は、もっと簡単だったんけどな。
そう思いながら、私はしみじみと深いため息をついた。
王太子様とトールにも、いろいろと思うところがあったのだろう。
召喚獣省長官の執務室に、三人のため息が同時に響き渡った。
吸い寄せられるように、王太子様の横顔に視線が向かう。
そうだった――
――そうだったね、と私は、ほおっておけば王太子様をずっと見続けようとする瞳と心を、無理やり閉じた。
ハムスターだった頃は、王太子様が私のことを、ねえ、ハムちゃんと呼ぶたびに、心を躍らせて、なーに? と王太子様の空色の瞳をのぞきこんだものだった。
王太子様の声を聞くだけで幸せになれたし、頭をなでてもらえれば満ち足りた気分になれた。
毎日がバラ色で、王太子様と一緒にいられれば、他には何もいらなかった。
王太子様さえいれば、他の何も――
――でも……忘れていた?
ううん、決して、忘れていたわけじゃない。
あきらめていた? いや、あきらめようとしていた?
いや、ちがう、あきらめるべき……なんだ。
王太子様の発した、ハムちゃんという懐かしい呼び名に、すがりつきそうになる自分を、私は必死で押さえ込んだ。
アンジェリカ王女とニルス王子はどうするの?
まわりの国だって、ティトラン王国を虎視眈々と狙っている。
プルッキア帝国が王国に攻めこもうとしたのは、つい先日だ。
王国の平和は、絶妙なバランスの上に成り立っている。
私のわがままで、波風を起こすべきじゃない。
もう、充分だ。
命の心配も、お金の心配もなく、この世界で生きていける。
これ以上、何かを望むのはぜいたくというものだ。
そう、噛みしめるように、心に決めて、私はとめていた息を吐き出すのと同時に、まぶたを開いた。
と、そこには、なぜか、豆鉄砲を食らった一羽のハトがいた。
いや、ハトなわけがない。
トールだった。
沈着冷静で知られるトール・レンホルム伯爵が、豆鉄砲を食らったハトのような表情で、王太子様を見上げていた。
一切の動きをとめている。
ああ、と私は心の中で、うなずいた。
おそらくは、私が召喚獣契約陣から現われたことを報告していなかったことを、王様や宰相閣下に怒られたように、王太子様にも責められるのではと、トールは思っていたのだろう。
予想していたのとはちがって、王太子様に、ありがとうと言われたのだ。
びっくりしたにちがいない。
王太子様と私がじーっと見つめている中、しばらく動きをとめていたトールだったが、ようやく我に返ったのか、のろのろと立ち上がった。
そして、またしてもミスをおかしたのだ。
「……ご存じだったのですか?」
召喚獣省長官の執務室に大きな鏡でも置いてあれば、豆鉄砲を食らったハトがもう一羽、そこに映し出されていたにちがいない。
えっ、知らなかったの?
王太子様が私のことに気が付いていないと思ってたの?
クレアに聞いてるんじゃないの?
知らずに、私と王太子様を引き合わせてたの?
いやいや、そんなことより、ダメだよ。
もっと考えてしゃべろうよ。
今のセリフは、私が元ハムスターだと認めたことになるし、トールもそのことを知っていて、かつ黙っていたことになるんじゃないの?
知らないよ。
王太子様はやさしいから怒ったりしないだろうけど、王様と宰相閣下にまた怒られるんじゃないの?
ボーッと突っ立っているトールを視界の隅で捉えながら、私は頭を抱えそうになるのを必死でこらえた。
いや、トールが認めようが認めまいが、同じことか。
そもそも、王太子様に隠していたというわけでもない。
言えなかっただけだ。
トールにも、私が元ハムスターであることを黙っているように言っただけで、何の打ち合わせもしていない。
もともと、ウソをつく気もなかったし、ウソをつき通すための計画も、算段も、何もしていないのだ。
いずれは、王太子様と向き合わなければならないのかもしれない。
豆鉄砲を食らった二羽のハトに交互に視線を送った王太子様は、トールにうなずきかけた。
「トールが知ったのは、ごく最近だよね? 以前のふたりは、ずいぶんよそよそしい関係に見えたんだけど、ここのところ、昔みたいに親しげだしね?」
問われるがままに、そうですな、と返事をしたトールは、不意に、あっ! と叫んで、口を半開きにした。
恐る恐るといった感じで、私のほうを視線を送る。
誰だ?
トールが秘密をもらすようなことはないと言ったのは?
と思ったけど、トールを責めたところでしょうがない。
もちろん、クレアのせいでもない。
私はしぶしぶ口を開いた。
「よかったね、トール。怒られなくて」
王太子様の意識がトールに向かったことに半ば胸をなでおろしながら、半ば嫌みでそう言ったのだけど、トールは嫌みとはとらなかったらしく、顔をほころばせた。
「おお、そうだな。肝を冷やしたな。いや、まったく」
ホッと安堵の息をもらしたトールを見て、すこしは怒られれば良かったのにと、ジトッと目を細めたところで、王太子様が不思議そうに首を傾げた。
「怒る? なぜ、怒られるだなんて思ったんだい?」
「あ、いえ、その……ハーモニーが召喚獣契約陣から出てきたことを黙っていたことについて、国王陛下と宰相閣下からずいぶんとお叱りを受けましたからな。それで、まあ、今回も、というか、今回はさらに、というか……」
なにやら、しどろもどろになりながら、弁明らしきものを始めたトールに向かって、王太子様は、ああ、とうなずいた。
「トールは国王陛下とアグレル宰相が本気で怒っていると思っていたんだね?」
「えっ? ちがうのですか?」
「あれは演技だよ、トール。モランデル子爵が召喚獣契約陣から出てきた神の使いだというのは、シーラが描いた絵だと、ふたりは思っているからね。信憑性を与えるためには、今までなぜ黙っていたのかと、トールを責めた方がいいと判断したんだろうね。まあ、神の使いに頼まれていたのではなく、トールの独断だというのなら、ひょっとしたら怒られるかもしれないけど、すくなくとも私はよかったと思うよ。トールが守ってくれたおかげで、ハムちゃんが無事だったわけだしね」
トールが衝撃のあまり目をぱちくりと瞬くのを見て、王太子様は苦笑を浮かべながら、なおも話を続けた。
「ただ、演技とはいえ、トールを責めたのは、どうなんだろうね? 本当に神の使いに頼まれたのなら、約束を守ったトールを責めるのはおかしいんだ。とくに、ハムちゃんに頼まれたのならね。およそティトラン王国の者で、ハムちゃんの頼みを断るような恩知らずな者がいるはずがない。たとえ、国王であろうともね。つまり、父上も宰相もモランデル子爵が神の使いだとは信じていないんだ」
今度は、私が目をぱちくりと瞬くのを見て、王太子様は私に向き直った。
「精霊祭の前にもね、私は父上に言ったんだ。ハムちゃんが帰ってきてるってね。シーラの養女のハーモニー嬢がハムちゃんだったんだってね」
だけどね、と言って、王太子様は釈然としない表情を浮かべて、頭を二度ばかり左右に振った。
「なんて言ったらいいんだろうね。ものすごく、やさしく言われたんだ。それは、よかったな、とね」
いや、信じていない、というわけじゃないんだろうね、たぶん、と言いにくそうに言って、王太子様は、ふむ、とうなずいた。
「私が頼んだとおり、パレードではニルスと一緒の馬車に乗れるようにしてくれたし、今も、モランデル子爵を神の使いとして遇してくれている。おそらく、父上は、信じたいんだけど、信じ切れないんだろうね。いや、信じてしまえば、頼り切ってしまうことを恐れているのかもしれない」
そう言って、王太子様は昔を思い出すかのように、一瞬だけ瞳をさまよわせた。
「王国を守るためには、どうしたらいいのかって、父上は、ずっと考え続けているんだ。ハムちゃんが王国を守ってくれている間だって、父上は、ずっと先のことまで考えていた。ハムちゃんがいなくなってしまったら、どうすればいいかって。今も、考えているんだと思う。王国を守るためには何が最善かを」
王太子様がハムちゃんと言うたびに、胸がむずがゆくなるのをこらえながら、私は、ああ、そうか、とこれまでの王様の私への接し方を思い返していた。
たしかに、王様は私のことを完全に神の使いとして見ているわけではない。
そのことはわかっていた。
それでも、たんなる子爵として扱われることもない。
上にも置かず、下にも置かずといったところだろうか?
ハムスター時代は、その容姿のせいもあってか、あきらかに王様の上に置かれていた。
だけど、人の姿をした神の使いという存在が、そもそも前例がないし、子爵という立場では王様の上というわけにもいかない。
名前を呼ばれる時だって、モランデル子爵だし、様付けということはない。
そもそもが、微妙な立ち位置なのだ。
そういえば、王様がハムスター時代に関係するような話題を振ってきた時に、知らないふりをしたことがある。
王太子様に元ハムスターであることを気づかれている、とクレアに教えられた私は、それ以降、発言に気を使うようになったからだ。
ひょっとして、王様は、私が元ハムスターかどうか、確認していた?
となると、王様は私のことを、シーラが仕立て上げた、ニセモノの神の使いだと、すでに結論づけているかもしれない。
それでも、王国を守るためには、私が神の使いであるとしたほうがいいと判断したのだろう。
うーん、ホント、人の世って複雑だね。
ハムスターの頃は、もっと簡単だったんけどな。
そう思いながら、私はしみじみと深いため息をついた。
王太子様とトールにも、いろいろと思うところがあったのだろう。
召喚獣省長官の執務室に、三人のため息が同時に響き渡った。
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