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16 十二歳の王子と「傍観する」守護精霊
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奥深い山の中とはいえ、峠と呼ぶほどきびしい道ではない。遠く王都に続く街道にしては、すこし細いけれども、きっちりと整備されている。
山から吹き下ろされる風が、穏やかな緑の稜線から流れ込み、ルイのローブの裾をはためかせた。
ヒュランデル子爵領との領境に、キアラやルイたちが到着したのは、ほんのちょっと前だ。もちろん、王子様をお出迎えするのだから、こちらの方が早く着いている。
キアラを隊長とする王子様お出向かえ部隊は、街道の脇によって、しばらく休憩をとることになった。すこし早いけど、昼食をとっておこうかなどと、のんびりした雰囲気が漂う。
予定どおりだね。わたしは、ほくそ笑んだ。近くに潜んでいる魔獣を倒してくると、ルイにウソをついて、子爵領の空を翔けた。
こちらに向かっているはずの王子様一行を、脅して王都に追い返すのだ。ルイに災いをもたらす王子様など、王都で王妃に殺されてしまえばいい。
まちがっても見落とすことがないようにと、上空からキョロキョロとあたりを見回しながら、わたしはゆっくりと街道沿いを翔けた。
王子様らしき男の子は、思ったよりも早く見つかった。金ピカの馬車にでも揺られて、ガタゴトと街道を進んでいると思っていた王子様は、なぜか全力疾走の馬に乗っていた。
おそらく、あれだろう。金髪の男の子なんて、めずらしくもないけど、辺境伯領では見たこともない、きらびやかな衣装に身を包んでいる。わたしは魔獣を見つけた火の精霊のように、一直線に翔けた。
ただ、街道ではなく、森の中を縫うように馬を駆っている意味がわからない。しかも、ひとりではなく、青いローブを着た男の前に抱かれるようにして、馬に乗っているのだ。
なんていうか、思ってたのと全然ちがうんだよねと、不思議に思いながら近づいていくと、ふたりの後方に、馬に乗って追いすがる騎士団と魔術師たちが見えてきた。
さらに、その遠く向こうの方に、立派な甲冑や青や黒のローブが、赤く染められたままに、散乱しているのが見えた。
ああ、なんだ。来なくてもよかったんだ。いや、来るんじゃなかったな。わたしは、ぽふっと息を吐き出して、ふっと高度を下げた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
青いローブを着た男が、息も絶え絶えの馬を駆って、小川へ突っ込んだとたん、状況は一変した。水が意思を持ったかのように、周囲に立ち昇り、霧のような壁を作った。
金髪の男の子を左手に抱えて、馬から飛び下りた男は、右手を高く掲げたまま、次の呪文を唱えた。二重魔法だ。
右手から放出する魔力で、水の壁を保ちつつ、左手で向かってきた敵に水流を放った。
聞いたことはあるけど、見るのは初めてだ。辺境伯領の魔術師で、そんな高度な魔法を使える者はいない。追っ手の騎士たちが馬から転がり落ち、倒れ込んだ。
あとから来た騎士たちが、慌てて散開する。青い魔術師と金髪の男の子を取り囲もうと、左右にわかれた。すかさず、青い魔術師が、水の破断を打ちこんだ。たいした威力だ。
右手から回り込もうとした騎士たちが、進路を水で阻まれて、とまれずに激突する。もんどり打って倒れた騎士の叫び声と、馬のいななきが森に響き渡った。
くるぶしよりちょっと深い程度の小川だけど、水の魔術師にとっては、自分の力を何倍にもしてくれる、まさしく命の水だ。仲間の命を犠牲にして、ここまで逃げてきた甲斐があったというものだろう。
とはいえ――わたしは、ぽふっと息を吐き出した。残り百人近い騎士と、魔術師が二十人ほど。
男の子の守護精霊かのように、果敢に敵に立ち向かう青い魔術師を見下ろして、わたしは黒い笑みを浮かべた。
――どれだけ強くったって、たったひとりで、はたして勝てるのかな? ねえ、ヒョロ男。
まさかとは思ったけど、やっぱりそうだ。ルイとわたしを殺そうとした男だ。うんうん、第一王子がお気に入りなんだね、こいつは。ルイじゃなくてね。いいよいいよ。
さっきは、来ないほうがよかっただなんて思ったけど、来てよかった。たとえ、追っ手から逃れられても、わたしがいるからね。王都に追い返そうと思ってたけど、そんな必要もなさそうだ。
遠い昔の嫌な記憶が、渦を巻いて、力となってあふれそうになる。なんだったら、血なまぐさい争いなんて、一気に終わらせてやろうかと、ふと思った。
ううん。なにも、わたしが手を出さなくてもいい。見ているだけで、すべてがわたしの思いどおりに運ぶかもしれない。わたしは傍観者に徹することにした。
『人の使う魔法なんて、たいしたもんじゃないよ』
ボーデ湖の水の精霊さんは、よく、そう言っていた。ルイや他の魔術師たちと一緒に、数え切れないほどの魔獣を倒してきたわたしも、そう思う。
土木や建築に使われる土や闇の魔法はともかく、人の使う攻撃や防御の魔法は、小さな動物程度の理解力しか持たない、下位の精霊の力と同じくらいだ。
でも、その考えを改めないといけないかもしれない。たいしたものだ。ヒョロ男の魔法は、犬や猫よりもはるかに頭のいい、中位の精霊ほどの力に匹敵するだろう。
水の壁で王子様と自分の身を守りつつ、ヒョロ男はまわりに向けて、水の刃をぐるっと解き放った。またも、うめき声とともに、大勢の騎士が倒れ込んだ。残った騎士が、大きな盾を前に押し立てて、距離をとる。
水の刃で盾を切り裂こうというのか、ヒョロ男が新たな呪文の詠唱に入った。そのとき、騎士のうしろから、じわっと黒いもやが広がってきた。闇の魔術師だ。黒いもやは魔法の力を押さえる効果がある。
よく見ると、二十人ばかりいる魔術師のうちの半数以上が、闇の魔術師だ。魔獣に対しては防御にしか使えない闇の魔法だけど、魔術師と戦うのであれば、効果は絶大だ。この連中の狙いは、はなから魔獣ではなかったということだろう。
発動した水の刃が、黒いもやに絡め取られるように、その力を失っていく。それでも、騎士たちへの衝撃は凄まじく、盾ごと体が吹き飛ばされた。もやがなければ、追っ手の被害は甚大だったはずだ。
歯がみしながらも、ヒョロ男はさらに、呪文の詠唱を始めた。王子様もハッとして、呪文を唱えた。そうだ。双子の片割れは光属性だ。王子様の魔法が発動し、まばゆい光があたりを照らした。
光属性には攻撃の魔法が存在しない。治癒魔法と呼んでも差し支えないほどに、光の魔法は戦いには向かない。ただ、光というだけあって、明かりを照らすことはできる。そのひとつがこれだ。闇の魔法を消し去る聖なる光。
王子様が生み出した光は、黒いもやを瞬時に消し去った。そこに、一気にヒョロ男の水の刃が襲いかかった。形勢逆転だ。騎士たちがなだれをうって倒れ込み、魔術師たちが右往左往する。
ふーん、ホント強いんだね、ヒョロ男って、と白い目で見ていると、水の壁がふっと揺らいだ。見ると、上流で川がせき止められていた。なるほど、追っ手は王子様一行のことを、よくわかっているようだ。
水がなければ壁が作れないということはないけど、呪文はちがうものを唱えなければならない。防御力も格段に落ちる。やっぱり、人の魔法はたいしたことない。
顔をしかめたヒョロ男が、再び詠唱を始めた。だけど、その呪文は最後まで唱えられなかった。隠れていた火の魔術師が、ここぞとばかり火の球を打ちこみ、矢が放たれた。
ああ、ここまでだね。これでいい。これで、ルイを殺そうとしたヒョロ男はいなくなる。ルイが王子様と双子だとばれずにすむ。
さようなら、王子様。恨むのなら、ヒョロ男を恨んでね。
そう思った時だった。
ふっと、王子様がこちらを見た。目が合ったような気がした。
いや、たまたまだ。片割れとわたしには何の関係もない。この子がどうなろうと――
だけど、その瞳はルイの瞳だった。その顔はルイの顔だった。わたしの命で、わたしの宝物。わたしの大切なルイと瓜二つの顔と瞳が、そこにあった。
ああ、ダメだ。やっぱり、わたしは風の精霊で、ルイの守護精霊で――
その瞬間、すべてが吹き飛んだ。
山から吹き下ろされる風が、穏やかな緑の稜線から流れ込み、ルイのローブの裾をはためかせた。
ヒュランデル子爵領との領境に、キアラやルイたちが到着したのは、ほんのちょっと前だ。もちろん、王子様をお出迎えするのだから、こちらの方が早く着いている。
キアラを隊長とする王子様お出向かえ部隊は、街道の脇によって、しばらく休憩をとることになった。すこし早いけど、昼食をとっておこうかなどと、のんびりした雰囲気が漂う。
予定どおりだね。わたしは、ほくそ笑んだ。近くに潜んでいる魔獣を倒してくると、ルイにウソをついて、子爵領の空を翔けた。
こちらに向かっているはずの王子様一行を、脅して王都に追い返すのだ。ルイに災いをもたらす王子様など、王都で王妃に殺されてしまえばいい。
まちがっても見落とすことがないようにと、上空からキョロキョロとあたりを見回しながら、わたしはゆっくりと街道沿いを翔けた。
王子様らしき男の子は、思ったよりも早く見つかった。金ピカの馬車にでも揺られて、ガタゴトと街道を進んでいると思っていた王子様は、なぜか全力疾走の馬に乗っていた。
おそらく、あれだろう。金髪の男の子なんて、めずらしくもないけど、辺境伯領では見たこともない、きらびやかな衣装に身を包んでいる。わたしは魔獣を見つけた火の精霊のように、一直線に翔けた。
ただ、街道ではなく、森の中を縫うように馬を駆っている意味がわからない。しかも、ひとりではなく、青いローブを着た男の前に抱かれるようにして、馬に乗っているのだ。
なんていうか、思ってたのと全然ちがうんだよねと、不思議に思いながら近づいていくと、ふたりの後方に、馬に乗って追いすがる騎士団と魔術師たちが見えてきた。
さらに、その遠く向こうの方に、立派な甲冑や青や黒のローブが、赤く染められたままに、散乱しているのが見えた。
ああ、なんだ。来なくてもよかったんだ。いや、来るんじゃなかったな。わたしは、ぽふっと息を吐き出して、ふっと高度を下げた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
青いローブを着た男が、息も絶え絶えの馬を駆って、小川へ突っ込んだとたん、状況は一変した。水が意思を持ったかのように、周囲に立ち昇り、霧のような壁を作った。
金髪の男の子を左手に抱えて、馬から飛び下りた男は、右手を高く掲げたまま、次の呪文を唱えた。二重魔法だ。
右手から放出する魔力で、水の壁を保ちつつ、左手で向かってきた敵に水流を放った。
聞いたことはあるけど、見るのは初めてだ。辺境伯領の魔術師で、そんな高度な魔法を使える者はいない。追っ手の騎士たちが馬から転がり落ち、倒れ込んだ。
あとから来た騎士たちが、慌てて散開する。青い魔術師と金髪の男の子を取り囲もうと、左右にわかれた。すかさず、青い魔術師が、水の破断を打ちこんだ。たいした威力だ。
右手から回り込もうとした騎士たちが、進路を水で阻まれて、とまれずに激突する。もんどり打って倒れた騎士の叫び声と、馬のいななきが森に響き渡った。
くるぶしよりちょっと深い程度の小川だけど、水の魔術師にとっては、自分の力を何倍にもしてくれる、まさしく命の水だ。仲間の命を犠牲にして、ここまで逃げてきた甲斐があったというものだろう。
とはいえ――わたしは、ぽふっと息を吐き出した。残り百人近い騎士と、魔術師が二十人ほど。
男の子の守護精霊かのように、果敢に敵に立ち向かう青い魔術師を見下ろして、わたしは黒い笑みを浮かべた。
――どれだけ強くったって、たったひとりで、はたして勝てるのかな? ねえ、ヒョロ男。
まさかとは思ったけど、やっぱりそうだ。ルイとわたしを殺そうとした男だ。うんうん、第一王子がお気に入りなんだね、こいつは。ルイじゃなくてね。いいよいいよ。
さっきは、来ないほうがよかっただなんて思ったけど、来てよかった。たとえ、追っ手から逃れられても、わたしがいるからね。王都に追い返そうと思ってたけど、そんな必要もなさそうだ。
遠い昔の嫌な記憶が、渦を巻いて、力となってあふれそうになる。なんだったら、血なまぐさい争いなんて、一気に終わらせてやろうかと、ふと思った。
ううん。なにも、わたしが手を出さなくてもいい。見ているだけで、すべてがわたしの思いどおりに運ぶかもしれない。わたしは傍観者に徹することにした。
『人の使う魔法なんて、たいしたもんじゃないよ』
ボーデ湖の水の精霊さんは、よく、そう言っていた。ルイや他の魔術師たちと一緒に、数え切れないほどの魔獣を倒してきたわたしも、そう思う。
土木や建築に使われる土や闇の魔法はともかく、人の使う攻撃や防御の魔法は、小さな動物程度の理解力しか持たない、下位の精霊の力と同じくらいだ。
でも、その考えを改めないといけないかもしれない。たいしたものだ。ヒョロ男の魔法は、犬や猫よりもはるかに頭のいい、中位の精霊ほどの力に匹敵するだろう。
水の壁で王子様と自分の身を守りつつ、ヒョロ男はまわりに向けて、水の刃をぐるっと解き放った。またも、うめき声とともに、大勢の騎士が倒れ込んだ。残った騎士が、大きな盾を前に押し立てて、距離をとる。
水の刃で盾を切り裂こうというのか、ヒョロ男が新たな呪文の詠唱に入った。そのとき、騎士のうしろから、じわっと黒いもやが広がってきた。闇の魔術師だ。黒いもやは魔法の力を押さえる効果がある。
よく見ると、二十人ばかりいる魔術師のうちの半数以上が、闇の魔術師だ。魔獣に対しては防御にしか使えない闇の魔法だけど、魔術師と戦うのであれば、効果は絶大だ。この連中の狙いは、はなから魔獣ではなかったということだろう。
発動した水の刃が、黒いもやに絡め取られるように、その力を失っていく。それでも、騎士たちへの衝撃は凄まじく、盾ごと体が吹き飛ばされた。もやがなければ、追っ手の被害は甚大だったはずだ。
歯がみしながらも、ヒョロ男はさらに、呪文の詠唱を始めた。王子様もハッとして、呪文を唱えた。そうだ。双子の片割れは光属性だ。王子様の魔法が発動し、まばゆい光があたりを照らした。
光属性には攻撃の魔法が存在しない。治癒魔法と呼んでも差し支えないほどに、光の魔法は戦いには向かない。ただ、光というだけあって、明かりを照らすことはできる。そのひとつがこれだ。闇の魔法を消し去る聖なる光。
王子様が生み出した光は、黒いもやを瞬時に消し去った。そこに、一気にヒョロ男の水の刃が襲いかかった。形勢逆転だ。騎士たちがなだれをうって倒れ込み、魔術師たちが右往左往する。
ふーん、ホント強いんだね、ヒョロ男って、と白い目で見ていると、水の壁がふっと揺らいだ。見ると、上流で川がせき止められていた。なるほど、追っ手は王子様一行のことを、よくわかっているようだ。
水がなければ壁が作れないということはないけど、呪文はちがうものを唱えなければならない。防御力も格段に落ちる。やっぱり、人の魔法はたいしたことない。
顔をしかめたヒョロ男が、再び詠唱を始めた。だけど、その呪文は最後まで唱えられなかった。隠れていた火の魔術師が、ここぞとばかり火の球を打ちこみ、矢が放たれた。
ああ、ここまでだね。これでいい。これで、ルイを殺そうとしたヒョロ男はいなくなる。ルイが王子様と双子だとばれずにすむ。
さようなら、王子様。恨むのなら、ヒョロ男を恨んでね。
そう思った時だった。
ふっと、王子様がこちらを見た。目が合ったような気がした。
いや、たまたまだ。片割れとわたしには何の関係もない。この子がどうなろうと――
だけど、その瞳はルイの瞳だった。その顔はルイの顔だった。わたしの命で、わたしの宝物。わたしの大切なルイと瓜二つの顔と瞳が、そこにあった。
ああ、ダメだ。やっぱり、わたしは風の精霊で、ルイの守護精霊で――
その瞬間、すべてが吹き飛んだ。
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