勇者から魔王に転生しました

カニ

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羊のようにふかふかで、陽光のように暖かな布団から起きるとそこは、異世界でした。

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「うぅん?」
 けだるげさは抜けないまま、寝返りをうった。
 しかし、なんだか周囲が静かすぎることに違和感を感じて、俺は目を開けた。
「やべぇ、寝過ぎた?」
 慌ててばっと体を起こしたが、しかし視界に入ったものは、あまりにも突拍子もないものだった。
 壁に飾られる見たことのない景色を描いた風景画。その脇には、銀色に輝く鎧がおかれている。
 右を向けば、俺の体よりもでかい窓があって、その向こうには、初めて見る広大な土地が広がっていた。

「は?」

 訳がわからず下を向けば、俺はベッドの上に寝ていた。
 しかも、やけにふかふかで肌触りのいい布団だ。
 いや、そんなことより。

「ここ、どこ・・・・・・?」

 あれ俺、さっきまで学校にいなかったっけ?
 なのに、なんでこんなところにいんの?
 見渡せば、明らかに一般人の俺には合わない貴族のような内装。
 というか、このベッドも天蓋つきだし。それに、めっちゃふかふかだし!
 もう、この気持ちいいベッドでもう一眠りつきたい。
 いやもう、寝よう。
 わけわかんねぇし。よし、逃げよう。
 わけわかんない世界よ、おやす
「やっと起きましたか」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(-_-)」

「・・・・・・やっと起きましたか」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(-_-)」

「やっと起きましたかッ!」

「布団がぁああ!」
 なんだか大きな声とともに、ばっとめくられるふかふか布団。
 いやもう、夢にしてくんないかな。わけわからないことは考えたくないんだけど。
「で、どちらさん?」
 俺は仕方なく、俺の愛しい布団をはいだ者へと目を向ける。
「やっと起きましたか・・・・・・」
 そう、四度目にもなる言葉を呟いたのは、目を見張るような美少女だった。
 金髪を後ろでまとめる少女の服装は、どこか、王子を感じさせるものだった。
 青を下地にして、いくつもの刺繍を縫い、スラッとした体型を強調させている。
 ・・・・・・胸、小さめだな。
 そう、ジト目で観察していると、目の前の美少女が口を開いた。
「勇者様、事情を説明するので、父のもとに来ていただけませんか?」
「は?勇者様って?父って?わかんないことだらけなんだけど!」
「ついてきてください」
 疑問符を浮かべまくっている俺に、美少女は俺の腕を強引に引っ張った。
 どうやら彼女は、俺にたいしては強引にするべきだと言うのを、さっきの間で覚えてしまったらしい。
「あ、寝癖ひどい!」
「どうでもいいでしょう!?早く来てください!」
 あ、こいつなにげ力強い。
 俺の体は、金髪で貧乳でバカ力の美少女に引きずられていった。
 ・・・・・・うん、引きずられてた。
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