幼馴染が俺以外の奴と同棲を始めていた.txt

只野誠

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【第二話】まだ私のこと好きだったのかな?:春野千春.txt

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 私は、まあ、どこにいるでもいる女子、かな。
 そこそこもてるから、顔はいいかもしれない。
 ただそれだけの、どこにでもいる女子でしかない。
 そんな私に幼馴染? いや、腐れ縁、かな? の男子がいる。
 勉強はよくできるけど要領の悪い、そんな感じの人。
 たぶん、私のことが好きなんじゃないかな、って、感じの人。
 告られたわけじゃないから、その辺はわからないけど、多分そうなんだよね。
 でも、ただそれだけの人。
 それ以外の感情は私にはない、と思う。
 正直、子供の頃から一緒だから恋愛感情がわかない、って、のはあるのかも。
 あー、でも、勉強はできると思ってたんだよね。
 なのに、私が合格した大学に落ちて、しかも、今年も受験して入学してくるだなんて、その点はちょっとがっかりした。
 もっと有名な大学とかに入学してたら、ちょっとは考えたかもしれないのに。
 まあ、そうなったらそうなったで、私の出番なんてものはないんだろうけども。
 そもそも出張る気もないけど。
 だって、つまんないのよね。一緒に居て楽しかったことなんて子供の頃から一度もなかったもの。
 でも、そう言う人こそ結婚相手には良いって聞いたことあるよ。
 妊娠して大学を辞めて、結婚したろくでもない先輩が、涙ながらにそう言ってたもの。
 その先輩を見てると、多分そうなんだ、と、私もそう思う。
 結婚相手としては良かったのかもしれないとね。
 今は結婚なんてまったく考えられないけれど。
 けど、私と同じ大学じゃね? しかも、浪人してまで入る大学なのかな、この大学。
 何て言うか、まあ、三流大学よね、うちの大学。
 あいつなら一流大学にも余裕で入れると思ったんだけどなぁ。
 あー、もしかしたら私を追っかけて?
 流石にないよね。
 そんな価値は流石に私にはないよ。
 それに、それなら、それくらい好きでいてくれるなら、もう告白くらいはされているはずだもんね。
 まあ、あいつのことだから、それもできなそうではあるんだけど。
 そんな距離感の奴に久しぶりに話しかけられたという話なのよ。
「ヒッ、ひさし…… ぶり……」
 と、少しきょどりながら話しかけられた。
 今は大事なサークルの勧誘中なんだけど。
 そして、一目でわかる。変わってない。たぶん中学の頃からまるで変わってない。
 その、なによりダサい私服が目に付く。それだけで気が滅入る。
 これは後から聞いた話だけど、一時間くらいこの辺りをうろうろしていたらしい、やっぱり私を探してたのかな?
 ま、どうでもいいか。
 せっかくの大学生生活を始めたんなら、少しくらいお洒落に気を遣えばいいのに。
 そうすれば話も少しは変わってくると言うのにね。
「久しぶり、冬至くん」
 こんな奴と知り合いと思われるのも、と、思っちゃうのは流石に失礼よね。良くない良くない。
 なにせ小学生からの知り合いだし。
 それにこの人、やっぱり私のこと好き…… なのよね?
 今も目があったら笑顔を浮かべて、まっすぐ私の所に来たし。
 でも、今は困るんだよね。相手いるし。
 あー、どうしよう、もう言っちゃうか。
 冬至君の場合、それも色々と面倒くさいんだけど、希望を持たせておくのもかわいそうだしね。
 うん、気を持たせておくのも悪いしね。
 これも私の一応のやさしさだと思って、私のことはもう諦めてね。
 ここは周りの目があるし、迷惑かけるのも嫌だし、ということで冬至君を学食に誘ってそこで私は告げた。
「私ね、今、同棲している相手がいるんだ。あとで冬至君にも紹介するね」
 と。
 まあ、紹介する気はないけど。
 これで私にはもう近寄らないでしょう。
 ついでに学食に誘ったのは、そう言った後、発狂とかはしないだろうけど、面倒くさいことになってサークルの方に迷惑が掛かると思ったから。
 でも、そんな心配すらいらなかったみたい。
 みるみる顔が青くなっていく。いや、黒く?
 人の顔ってこんなに色が変わるものなのね、って、くらい色が変わっちゃった。
 そんなにショックだったのかな?
 その後もいくら話しかけても反応しなくなっちゃって、そのうち無言で立ち上がってどっか行っちゃった。
 少し心配は心配だけど、まあ、平気でしょう。
 にしても、ここの学食、先払いで良かったよ。
 だって、もう今後一切、会わないほうがお互いの為でしょう?
 私と冬至君は最初っから関わり合いにならないほうが良かったんだよ。
 多分住む世界が違うって奴だよ。

 なんだかんだあった後、私は愛しの恋人の待つ部屋へと返る。
 そして、相方に素直にその出来事を包み隠さず告げる。
 微笑むだけで、そう、としか言ってこなかった。
 関心がまるでないみたい。
 それはそれで少し寂しい。私としては少しくらい焼いて欲しい。
「あの人、まだ私のこと好きだったのかな?」
 そう言うと、私の意図を察してか、私を引き寄せてくれた。
 こういう気づかいができるところがすごく好き、たまらなく好き。
 本当は私のことで、やきもちなんて焼かない癖に。
 性格がちょっと悪い、私の大好きな恋人……


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