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たずねびと
たずねびと
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深夜だ。
男の家のチャイムが鳴る。
男がインターフォンのカメラで確認すると、門の前に女性がいる。
髪の長い女性で俯いていて顔は見えない。
他に人はいない。
そんな様子がインターフォンのカメラに映し出されている。
男は何か不気味なものを感じつつもインターフォンで応対する。
何か御用でしょうか、男がそう聞くと、女は俯いたまま答える。
夜分遅く申し訳ございません、尋ね人をしていまして、と、女ははっきりとした声でそう言った。
男は子供でもいなくなり、それを探しているのか、そう考えた。
なので男は、それは夜遅くに大変ですね、どんな方を探しているんですか? と聞き返す。
そうすると女は、〇〇さんの三男坊を、と答える。
○○は確かに男の苗字だ。
だが、男は一人っ子であり、兄弟も姉妹もいない。
なので、男は素直に答える、うちは確かに○○ですが三男坊は聞いたことがないです、と答える。
それを聞いた女は、そうですか、それはすみません、では、また来ます、と、確かにそう言って、インターフォンのカメラの前から消えた。
男は、また来ます、と言われて、少し不気味なものを感じた。
訪ねて来た女が余りにも不気味だったので印象に残り、家族にもそのことを知らせる。
そうすると男の父親からすぐに連絡が返ってくる。
それは〇〇の家に憑く化け物だから、絶対に家に入れてはいけない、と。
家に入れてしまったら命はない、と。
男は、父が冗談を言う様な人物ではないことを知っている。
どういうことかと男が父親に尋ねると詳しくは知らないが、曾祖父ぐらいの昔、当時の三男坊が一人の女と駆け落ちしたのだが、その三男坊だけすぐに家に逃げ帰って来て駆け落ちした女は実家に戻れずに身を投げたらしい、と話した。
それ以来、稀に深夜、〇〇家を夜に尋ねて来る女が現れるようになったそうだ。
その女を家に入れると、必ず家の者に死人が出るらしい、と。
男の父親も信じてはいなかったのだが、男が体験した話を聞いて思い出したのだという。
だから、絶対にその女を家にあげてはいけないと、男の父親はそう言った。
男はその話を聞いて怖くなる。
女はまた来ると言っていたのだ。
それから、数カ月後のことだ。
もう男もそんなことがあったこと忘れていたころだ。
また深夜にインターフォンがなる。
インターフォンのカメラを確認すると、あの女がやはり俯いて立っている。
男は出るかどうか迷う。
このまま居留守でいいのではないか、そう思う。
だが、門の前の女は何度も何度もチャイムを鳴らす。
もう十分以上も鳴らし続ける。
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、と。
男がその音に耐えきれなくなって、インターフォン上で出てしまう。
女は男が何か言う前に、夜分遅く申し訳ございません、尋ね人をしていまして〇〇さんの三男坊はいませんか? と、男にはインターフォン上で話しかけて来た。
男は震えながらも、もうその方はいません、とっくの昔に死んだそうです、と答える。
そうすると女は、そうなのですか、お墓はどこにありますか? と聞いてくる。
恐怖で少し錯乱していた男は正直に答える。
△△寺に、と。
そうすると、女は無言でうつむいたまま去って行った。
男はこれで良かったんだと、安堵の息を吐く。
だが、それからだ。
男の家、その家系で次々に相次いで不幸が起きたのは。
男は自分の家の墓に招き入れてしまったのだ。
そのことに、男は気づかない。
自分がその墓に入るまで。
男の家のチャイムが鳴る。
男がインターフォンのカメラで確認すると、門の前に女性がいる。
髪の長い女性で俯いていて顔は見えない。
他に人はいない。
そんな様子がインターフォンのカメラに映し出されている。
男は何か不気味なものを感じつつもインターフォンで応対する。
何か御用でしょうか、男がそう聞くと、女は俯いたまま答える。
夜分遅く申し訳ございません、尋ね人をしていまして、と、女ははっきりとした声でそう言った。
男は子供でもいなくなり、それを探しているのか、そう考えた。
なので男は、それは夜遅くに大変ですね、どんな方を探しているんですか? と聞き返す。
そうすると女は、〇〇さんの三男坊を、と答える。
○○は確かに男の苗字だ。
だが、男は一人っ子であり、兄弟も姉妹もいない。
なので、男は素直に答える、うちは確かに○○ですが三男坊は聞いたことがないです、と答える。
それを聞いた女は、そうですか、それはすみません、では、また来ます、と、確かにそう言って、インターフォンのカメラの前から消えた。
男は、また来ます、と言われて、少し不気味なものを感じた。
訪ねて来た女が余りにも不気味だったので印象に残り、家族にもそのことを知らせる。
そうすると男の父親からすぐに連絡が返ってくる。
それは〇〇の家に憑く化け物だから、絶対に家に入れてはいけない、と。
家に入れてしまったら命はない、と。
男は、父が冗談を言う様な人物ではないことを知っている。
どういうことかと男が父親に尋ねると詳しくは知らないが、曾祖父ぐらいの昔、当時の三男坊が一人の女と駆け落ちしたのだが、その三男坊だけすぐに家に逃げ帰って来て駆け落ちした女は実家に戻れずに身を投げたらしい、と話した。
それ以来、稀に深夜、〇〇家を夜に尋ねて来る女が現れるようになったそうだ。
その女を家に入れると、必ず家の者に死人が出るらしい、と。
男の父親も信じてはいなかったのだが、男が体験した話を聞いて思い出したのだという。
だから、絶対にその女を家にあげてはいけないと、男の父親はそう言った。
男はその話を聞いて怖くなる。
女はまた来ると言っていたのだ。
それから、数カ月後のことだ。
もう男もそんなことがあったこと忘れていたころだ。
また深夜にインターフォンがなる。
インターフォンのカメラを確認すると、あの女がやはり俯いて立っている。
男は出るかどうか迷う。
このまま居留守でいいのではないか、そう思う。
だが、門の前の女は何度も何度もチャイムを鳴らす。
もう十分以上も鳴らし続ける。
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、と。
男がその音に耐えきれなくなって、インターフォン上で出てしまう。
女は男が何か言う前に、夜分遅く申し訳ございません、尋ね人をしていまして〇〇さんの三男坊はいませんか? と、男にはインターフォン上で話しかけて来た。
男は震えながらも、もうその方はいません、とっくの昔に死んだそうです、と答える。
そうすると女は、そうなのですか、お墓はどこにありますか? と聞いてくる。
恐怖で少し錯乱していた男は正直に答える。
△△寺に、と。
そうすると、女は無言でうつむいたまま去って行った。
男はこれで良かったんだと、安堵の息を吐く。
だが、それからだ。
男の家、その家系で次々に相次いで不幸が起きたのは。
男は自分の家の墓に招き入れてしまったのだ。
そのことに、男は気づかない。
自分がその墓に入るまで。
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