359 / 709
ぞうに
ぞうに
しおりを挟む
雑煮を食べる。
正月だから。
男は餅を買った覚えはない。
だが、餅がある。
まるでつきたてような餅があるのだ。
まだ柔らかく焼く必要もない。
適当に雑煮の汁を作り、その餅の上からかけてやるだけでいい。
男は出汁を作り、大根を小さくきり、青菜も入れてやる。
そして、それらを一煮立ち。
それをお椀に入れた餅の上にかけてやる。
まずはスープの味を確認する。
良い出汁が取れている。
大根とよく合っている。
青菜も良いアクセントになっている。
では、とばかりに男は餅を箸で持つ。
その餅ははまるで生きているかのようにプルプルと震え、伸びる。
餅を口へ運ぶ。
食感がない。
それどろこか、熱い汁をかけているにもかかわらず、その餅はえらく冷たい。
男はなんだこれは、と、その餅をよく見る。
それは餅ではない。
ではなんなのか。
白くふわふわとしたそれは男にはよくわからない。
だが、何となく男にはその正体がわかる。
あれは、これは、この間、死んだ親戚のおじさんだ。
正月だから、わざわざ会いに来てくれたのに、雑煮にしてしまった。
男は反省した。
正月だから。
男は餅を買った覚えはない。
だが、餅がある。
まるでつきたてような餅があるのだ。
まだ柔らかく焼く必要もない。
適当に雑煮の汁を作り、その餅の上からかけてやるだけでいい。
男は出汁を作り、大根を小さくきり、青菜も入れてやる。
そして、それらを一煮立ち。
それをお椀に入れた餅の上にかけてやる。
まずはスープの味を確認する。
良い出汁が取れている。
大根とよく合っている。
青菜も良いアクセントになっている。
では、とばかりに男は餅を箸で持つ。
その餅ははまるで生きているかのようにプルプルと震え、伸びる。
餅を口へ運ぶ。
食感がない。
それどろこか、熱い汁をかけているにもかかわらず、その餅はえらく冷たい。
男はなんだこれは、と、その餅をよく見る。
それは餅ではない。
ではなんなのか。
白くふわふわとしたそれは男にはよくわからない。
だが、何となく男にはその正体がわかる。
あれは、これは、この間、死んだ親戚のおじさんだ。
正月だから、わざわざ会いに来てくれたのに、雑煮にしてしまった。
男は反省した。
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
(ほぼ)1分で読める怖い話
涼宮さん
ホラー
ほぼ1分で読める怖い話!
【ホラー・ミステリーでTOP10入りありがとうございます!】
1分で読めないのもあるけどね
主人公はそれぞれ別という設定です
フィクションの話やノンフィクションの話も…。
サクサク読めて楽しい!(矛盾してる)
⚠︎この物語で出てくる場所は実在する場所とは全く関係御座いません
⚠︎他の人の作品と酷似している場合はお知らせください
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百物語 厄災
嵐山ノキ
ホラー
怪談の百物語です。一話一話は長くありませんのでお好きなときにお読みください。渾身の仕掛けも盛り込んでおり、最後まで読むと驚くべき何かが提示されます。
小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。
短い怖い話 (怖い話、ホラー、短編集)
本野汐梨 Honno Siori
ホラー
あなたの身近にも訪れるかもしれない恐怖を集めました。
全て一話完結ですのでどこから読んでもらっても構いません。
短くて詳しい概要がよくわからないと思われるかもしれません。しかし、その分、なぜ本文の様な恐怖の事象が起こったのか、あなた自身で考えてみてください。
たくさんの短いお話の中から、是非お気に入りの恐怖を見つけてください。
百の話を語り終えたなら
コテット
ホラー
「百の怪談を語り終えると、なにが起こるか——ご存じですか?」
これは、ある町に住む“記録係”が集め続けた百の怪談をめぐる物語。
誰もが語りたがらない話。語った者が姿を消した話。語られていないはずの話。
日常の隙間に、確かに存在した恐怖が静かに記録されていく。
そして百話目の夜、最後の“語り手”の正体が暴かれるとき——
あなたは、もう後戻りできない。
■1話完結の百物語形式
■じわじわ滲む怪異と、ラストで背筋が凍るオチ
■後半から“語られていない怪談”が増えはじめる違和感
最後の一話を読んだとき、
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる