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つくえのしたのて
つくえのしたのて
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少女は夜遅くまで勉強していた。
受験生だからだ。
少女が勉強していると、ふと違和感を感じる。
机と椅子の間。
机の自分の脚の間。
その空間にだ。
机で影になっているその空間に違和感、なにかがいるような気配を感じたのだ。
少女は勉強をする手を止めて、机の下を覗き込む。
何もない。
引き出しの裏側が見えるだけだ。
少女は勉強を再開する。
そうするとまた違和感を感じ始める。
今度は、机と自分の脚の間を覗き込むことはせずに、ただしばらくじっと見ていた。
そうすると、真っ白な指が机の引き出しをゆっくりとつかんだのだ。
その指には爪がなかった。
いや、爪が全部剥された跡があったのだ。
その手が真っ白じゃなければ、それだけで少女が気を失うような、そんな手だったのだ。
少女はとっさのことで動けなくなる。
その手のことがまるで理解できない。
その白い手の指は、机の引き出しの淵をしっかりとつかむ。
そして、それを起点として、力を籠めようとしているように、少女には思えた。
白い手でだけでなく、体を引き寄せようとしているのだと、少女には思えたのだ。
どこから?
少女はその答えを出す前に悲鳴を上げる。
すぐに少女の親が駆けつけてくる。
少女の父親が少女の話を聞いて、机の下を調べる。
もちろん何もない。
ただ、机の引き出しに、残っているのだ。
冷たくも湿った手の後が。
父親が見た時、それはまだしっかりと残っていたのだ。
父親がその後をたどると、それは壁まで続いていて、壁は触らずともわかるほど濡れていた。
父親も息を飲む。
そして、その濡れている壁をじっと見ていると、目があった。
なにと?
わからない。
なにかいたわけではない。
だが、父親は確かに何者かと目が合ったのだ。
そう感じたのだ。
慌てて父親が尻もちをつく。
母親も近寄ってきて机の下を覗くが何もない。
父親は娘に、この部屋は使うな、そう言って、その日は親子三人で眠りについた。
今、その場所には仏壇が置かれている。
それで今のところ、何も起きていない。
起きてはいないが、仏壇の線香がよくしけるのだ。
風通しは良い場所なのに。
火のつきが悪いほどに。
受験生だからだ。
少女が勉強していると、ふと違和感を感じる。
机と椅子の間。
机の自分の脚の間。
その空間にだ。
机で影になっているその空間に違和感、なにかがいるような気配を感じたのだ。
少女は勉強をする手を止めて、机の下を覗き込む。
何もない。
引き出しの裏側が見えるだけだ。
少女は勉強を再開する。
そうするとまた違和感を感じ始める。
今度は、机と自分の脚の間を覗き込むことはせずに、ただしばらくじっと見ていた。
そうすると、真っ白な指が机の引き出しをゆっくりとつかんだのだ。
その指には爪がなかった。
いや、爪が全部剥された跡があったのだ。
その手が真っ白じゃなければ、それだけで少女が気を失うような、そんな手だったのだ。
少女はとっさのことで動けなくなる。
その手のことがまるで理解できない。
その白い手の指は、机の引き出しの淵をしっかりとつかむ。
そして、それを起点として、力を籠めようとしているように、少女には思えた。
白い手でだけでなく、体を引き寄せようとしているのだと、少女には思えたのだ。
どこから?
少女はその答えを出す前に悲鳴を上げる。
すぐに少女の親が駆けつけてくる。
少女の父親が少女の話を聞いて、机の下を調べる。
もちろん何もない。
ただ、机の引き出しに、残っているのだ。
冷たくも湿った手の後が。
父親が見た時、それはまだしっかりと残っていたのだ。
父親がその後をたどると、それは壁まで続いていて、壁は触らずともわかるほど濡れていた。
父親も息を飲む。
そして、その濡れている壁をじっと見ていると、目があった。
なにと?
わからない。
なにかいたわけではない。
だが、父親は確かに何者かと目が合ったのだ。
そう感じたのだ。
慌てて父親が尻もちをつく。
母親も近寄ってきて机の下を覗くが何もない。
父親は娘に、この部屋は使うな、そう言って、その日は親子三人で眠りについた。
今、その場所には仏壇が置かれている。
それで今のところ、何も起きていない。
起きてはいないが、仏壇の線香がよくしけるのだ。
風通しは良い場所なのに。
火のつきが悪いほどに。
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