513 / 708
くろいろうば
くろいろうば
しおりを挟む
男が休みの日に買い物へ行く途中の坂で老婆を見た。
黒い服を着た葬式へ行くか、帰るところか、そんないでたちの老婆だ。
老婆は、男がいる道の反対側の歩道をゆっくりと坂を上ってきていた。
その日は日差しも強かったので、こんな時に黒い服を着ていて大丈夫かと、男はしばし遠目ではあるがその老婆を観察してた。
男はその間、坂の途中にある木陰にあるベンチに腰を掛けて、助けるべきかどうか、声を掛けようかどうかと、でも反対側の歩道だしな、そう葛藤しながらも見ていた。
だが、老婆はしっかりとした足取りで坂を上り切り、男の視界から消えていった。
男は良かった、とそう思って自分もベンチから立ち上がり、坂の下にあるスーパーへ行くことを再開しようとした。
その時、反対側の歩道、坂の下から先ほどの黒い服を着た老婆が再び坂を上がってきている。
服装から何からそっくりだ。
男は見間違いかと思ったが、どう見ても先ほどの老婆だ。
再びベンチに腰を降ろした男はその老婆を見守る。
そして、何事もなく老婆は坂を上がり切って男の視界から消えていく。
そうするとだ、再び坂の下から黒い服の老婆が現れるのだ。
三度目ともなるともう偶然ではない。
男は何か変な事に巻き込まれてしまった。
そう感じるようになった。
男が戸惑っているうちに三人目の老婆は坂を上り切り、坂の向こうへとその姿が見えなくなっていく。
そして、四人目が坂の下に現れるのだ。
男はこのままではまずいのではないか、そう思い始め、ベンチから立ち上がり、自分のスーパーへ向かい歩き出す。
もしかしたら自分も坂を降りきったら、坂の上に出てしまうのではないか、そんな不安に駆られる。
だが、男は普通に坂を降りきり、その坂の近くにあるスーパーまでたどり着いた。
そこで、辺りからけたたましいサイレンの音が聞こえ始める。
音からして救急車だ。
どこぞの奥様達がうわさ話をしているのを男も耳にする。
黒い服のおばあさんが車に跳ねられた、と言うことを。
男は話しかけなくて良かったと、心底思ったそうだ。
黒い服を着た葬式へ行くか、帰るところか、そんないでたちの老婆だ。
老婆は、男がいる道の反対側の歩道をゆっくりと坂を上ってきていた。
その日は日差しも強かったので、こんな時に黒い服を着ていて大丈夫かと、男はしばし遠目ではあるがその老婆を観察してた。
男はその間、坂の途中にある木陰にあるベンチに腰を掛けて、助けるべきかどうか、声を掛けようかどうかと、でも反対側の歩道だしな、そう葛藤しながらも見ていた。
だが、老婆はしっかりとした足取りで坂を上り切り、男の視界から消えていった。
男は良かった、とそう思って自分もベンチから立ち上がり、坂の下にあるスーパーへ行くことを再開しようとした。
その時、反対側の歩道、坂の下から先ほどの黒い服を着た老婆が再び坂を上がってきている。
服装から何からそっくりだ。
男は見間違いかと思ったが、どう見ても先ほどの老婆だ。
再びベンチに腰を降ろした男はその老婆を見守る。
そして、何事もなく老婆は坂を上がり切って男の視界から消えていく。
そうするとだ、再び坂の下から黒い服の老婆が現れるのだ。
三度目ともなるともう偶然ではない。
男は何か変な事に巻き込まれてしまった。
そう感じるようになった。
男が戸惑っているうちに三人目の老婆は坂を上り切り、坂の向こうへとその姿が見えなくなっていく。
そして、四人目が坂の下に現れるのだ。
男はこのままではまずいのではないか、そう思い始め、ベンチから立ち上がり、自分のスーパーへ向かい歩き出す。
もしかしたら自分も坂を降りきったら、坂の上に出てしまうのではないか、そんな不安に駆られる。
だが、男は普通に坂を降りきり、その坂の近くにあるスーパーまでたどり着いた。
そこで、辺りからけたたましいサイレンの音が聞こえ始める。
音からして救急車だ。
どこぞの奥様達がうわさ話をしているのを男も耳にする。
黒い服のおばあさんが車に跳ねられた、と言うことを。
男は話しかけなくて良かったと、心底思ったそうだ。
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
(ほぼ)1分で読める怖い話
涼宮さん
ホラー
ほぼ1分で読める怖い話!
【ホラー・ミステリーでTOP10入りありがとうございます!】
1分で読めないのもあるけどね
主人公はそれぞれ別という設定です
フィクションの話やノンフィクションの話も…。
サクサク読めて楽しい!(矛盾してる)
⚠︎この物語で出てくる場所は実在する場所とは全く関係御座いません
⚠︎他の人の作品と酷似している場合はお知らせください
百物語 厄災
嵐山ノキ
ホラー
怪談の百物語です。一話一話は長くありませんのでお好きなときにお読みください。渾身の仕掛けも盛り込んでおり、最後まで読むと驚くべき何かが提示されます。
小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。
短い怖い話 (怖い話、ホラー、短編集)
本野汐梨 Honno Siori
ホラー
あなたの身近にも訪れるかもしれない恐怖を集めました。
全て一話完結ですのでどこから読んでもらっても構いません。
短くて詳しい概要がよくわからないと思われるかもしれません。しかし、その分、なぜ本文の様な恐怖の事象が起こったのか、あなた自身で考えてみてください。
たくさんの短いお話の中から、是非お気に入りの恐怖を見つけてください。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる