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いみち
いみち
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男の田舎、祖父の持つ土地に、忌み地と呼ばれる場所がある。
大きな田んぼの一角が、それで、簡素で小さい社があるだけの、家一軒程度の土地だ。
男の父が病気で入院したとき、祖父も田舎から出てきたときに、男が聞かされたことだ。
祖父が言うには、もし男の父に何かあった時、男にも知らせておかねばならない話だと言うことだ。
ついでで悪いが、と、忌み地のことを祖父は男に伝えてきたのだ。
男もよく覚えている。
田舎の田んぼの一角にある小さい社がある場所のことを。
今、祖父が持つ土地の大部分は、その昔先祖が神より授かった場所という話なのだが、その神は実はあまり良い神とはいいがたい神だったとのことだ。
ただ、男の一族が約束さえ守っていれば、何かしてくることはなく物凄く強い守護神のような存在だという話だ。
だが、それ以外の人間には、あまり良くない神なのだという。
そして、その神がいる場所がその忌み地であり、それを管理する約束がいくつか存在している。
その土地を欲しがる者がいたらそのものに売らなくてはならない。
その際、売ることを拒んだりすることをしてもいけない。
売値はいくらでも良い。
さらに、土地を売るときはちゃんと全てを説明し、更に売った人物がその土地を手放したくなったら、男の家で売った額の半額で買い戻さなければならない。
最後に、男の一族が土地を管理するときは必ず簡易的にでもいいから社を建てておかねばならない。
と、そんな話だった。
男は話だけ聞いて、そんな土地売ってしまえばいいじゃないか、そう思ったそうだ。
無論そんな話で終わるわけもない。
祖父は続ける。
売った側に人死が、男の一族が土地を半額で買い戻すまで、売った側の一族に人死が出続けるというのだ。
男もそれを聞いて嫌な気分になる。
ついでに約束を破ると、男の一族に人死が出続ける、というのだ。
その昔、祖父の一代前の家長が、説明をしないで騙す形で忌み地を人に売った時、家長を男の一族と売った側も含め、五人の人死にが出たそうだ。
それで三男だった祖父が現在の家長となったというのだ。
さらに祖父は顔を顰めながら、男に言うのだ。
最近、外国の人があの土地を欲しいと言ってきて、現在協議中であると。
断ってはいないが、父の大病もそこからきているのかもしれない、と。
外国人には忌み地であることを伝えはいるのだが、相手はまったく信じていない、という話だ。
男は、でも、ちゃんと説明をしたならうちに人死は出ないのではないか、そう聞くと、祖父はそう思うこともあったが、何度も人が死んでいくのを見ると胸が苦しくなっていくというのだ。
祖父は深々とため息をついた。
そして、祖父は疲れた顔で、おまえが家長になればわかるようになるさ。
そう言った。
男の父が大病から回復するまで数年かかり退院したころ、あの土地を買い戻した、と祖父から電話があった。
その際、今回は相手が揉めたせいで相手側に三十六人も人死がでた、祖父は疲れた声で伝えてきた。
それを聞いた男もその土地を受け継ぐのが怖くなってきた。
ただそれだけの話だ。
大きな田んぼの一角が、それで、簡素で小さい社があるだけの、家一軒程度の土地だ。
男の父が病気で入院したとき、祖父も田舎から出てきたときに、男が聞かされたことだ。
祖父が言うには、もし男の父に何かあった時、男にも知らせておかねばならない話だと言うことだ。
ついでで悪いが、と、忌み地のことを祖父は男に伝えてきたのだ。
男もよく覚えている。
田舎の田んぼの一角にある小さい社がある場所のことを。
今、祖父が持つ土地の大部分は、その昔先祖が神より授かった場所という話なのだが、その神は実はあまり良い神とはいいがたい神だったとのことだ。
ただ、男の一族が約束さえ守っていれば、何かしてくることはなく物凄く強い守護神のような存在だという話だ。
だが、それ以外の人間には、あまり良くない神なのだという。
そして、その神がいる場所がその忌み地であり、それを管理する約束がいくつか存在している。
その土地を欲しがる者がいたらそのものに売らなくてはならない。
その際、売ることを拒んだりすることをしてもいけない。
売値はいくらでも良い。
さらに、土地を売るときはちゃんと全てを説明し、更に売った人物がその土地を手放したくなったら、男の家で売った額の半額で買い戻さなければならない。
最後に、男の一族が土地を管理するときは必ず簡易的にでもいいから社を建てておかねばならない。
と、そんな話だった。
男は話だけ聞いて、そんな土地売ってしまえばいいじゃないか、そう思ったそうだ。
無論そんな話で終わるわけもない。
祖父は続ける。
売った側に人死が、男の一族が土地を半額で買い戻すまで、売った側の一族に人死が出続けるというのだ。
男もそれを聞いて嫌な気分になる。
ついでに約束を破ると、男の一族に人死が出続ける、というのだ。
その昔、祖父の一代前の家長が、説明をしないで騙す形で忌み地を人に売った時、家長を男の一族と売った側も含め、五人の人死にが出たそうだ。
それで三男だった祖父が現在の家長となったというのだ。
さらに祖父は顔を顰めながら、男に言うのだ。
最近、外国の人があの土地を欲しいと言ってきて、現在協議中であると。
断ってはいないが、父の大病もそこからきているのかもしれない、と。
外国人には忌み地であることを伝えはいるのだが、相手はまったく信じていない、という話だ。
男は、でも、ちゃんと説明をしたならうちに人死は出ないのではないか、そう聞くと、祖父はそう思うこともあったが、何度も人が死んでいくのを見ると胸が苦しくなっていくというのだ。
祖父は深々とため息をついた。
そして、祖父は疲れた顔で、おまえが家長になればわかるようになるさ。
そう言った。
男の父が大病から回復するまで数年かかり退院したころ、あの土地を買い戻した、と祖父から電話があった。
その際、今回は相手が揉めたせいで相手側に三十六人も人死がでた、祖父は疲れた声で伝えてきた。
それを聞いた男もその土地を受け継ぐのが怖くなってきた。
ただそれだけの話だ。
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