533 / 710
もぐら
もぐら
しおりを挟む
モグラが出るのでどうにかして欲しい。
男はそう年老いた祖父から相談された。
都会で育った男はモグラの対処法など知らない。
ただ年老いた祖父に相談されてほって置けるほど、男も薄情ではない。
休みの日に祖父の家へと出向く。
そこで、家庭菜園の畑にモグラが出るのでどうにかして欲しいと相談される。
祖父も今までモグラなんて見たことなかった、とそう言った。
男は既に祖父の家に行く際、ホームセンターに行き、モグラの対策用品を買ってきていた。
とりあえずこれらを使って様子を見よう、と男は祖父に提案する。
祖父も孫の提案に嬉しそうに乗る。
男は買って来たソーラー式のモグラ撃退機を見せる。
太陽光で充電してそれでモグラが嫌う振動を出してモグラを遠ざけるというものだ。
電池式より値は張ったが、年老いた祖父が使うならこちらの方が手間がないだろうと、そう考えての事だ。
男は小さな畑に行くと、確かに穴が開いてある。
俗にいうところの、土を掻き出したモグラ塚というのもある。
確かにこれはモグラだ。
男が調べたにわかの知識の限りではそう思えた。
その巣あたりに男が買ってきた杭のようなモグラ撃退機を打ち込んでおく。
これで定期的に振動を起こして、モグラを追っ払ってくれるはずだ。
それに男が調べた限り勝手にモグラを駆除することは鳥獣保護管理法に違反するため、駆除はできない。
つまり追い払うくらいしかできなかったのだ。
ただ、男もモグラという存在を知ってはいるが見たことはない。
見られるものなら、その目で一目見てみたい、そう思っていた。
しばらくモグラの巣の前で様子を見ていたがモグラが姿を現すこともなかった。
男は祖父の家に入り、食事と酒を振舞われる。
祖父としても、こちらの方がメインだったのかもしれない。
男は祖父の家でもてなされた後、夕方にもう一度家庭菜園の畑を訪れる。
赤い夕陽に照らされたモグラ塚が見える。
そのモグラ塚が動いた。
男は、おっ、モグラが出て来るのか? と期待を膨らませる。
だが、モグラ塚から出て来たものはモグラではなかった。
では何か?
それは顔だった。
人間の手ほど、握りこぶしほどの小さな人間の顔だ。
男は人形でも埋まっていたのか? と一瞬思ったがそれがすぐに思い違いだと知る。
それが話しかけて来たからだ。
それは男に向かい、その奇妙な杭を抜け、五月蠅くてかなわん、と、そう言ってきたのだ。
男はあまりのことで、言われた通りモグラ撃退機を抜く。
そうすると小さな顔は、満足したように穴の中に消えていった。
男はそのことを祖父に伝える。
そうすると祖父は笑う、モグラじゃなくて神様だったか、と。
後日、祖父は畑のそばに小さな神棚を設置して、そこに酒をお供えするようになった。
そうすると、なぜか家庭菜園の畑は良く実るようになったそうだ。
男も祖父の家に行くときは何かお供え物を買っていくようになった。
ただ、それだけの話だ。
男はそう年老いた祖父から相談された。
都会で育った男はモグラの対処法など知らない。
ただ年老いた祖父に相談されてほって置けるほど、男も薄情ではない。
休みの日に祖父の家へと出向く。
そこで、家庭菜園の畑にモグラが出るのでどうにかして欲しいと相談される。
祖父も今までモグラなんて見たことなかった、とそう言った。
男は既に祖父の家に行く際、ホームセンターに行き、モグラの対策用品を買ってきていた。
とりあえずこれらを使って様子を見よう、と男は祖父に提案する。
祖父も孫の提案に嬉しそうに乗る。
男は買って来たソーラー式のモグラ撃退機を見せる。
太陽光で充電してそれでモグラが嫌う振動を出してモグラを遠ざけるというものだ。
電池式より値は張ったが、年老いた祖父が使うならこちらの方が手間がないだろうと、そう考えての事だ。
男は小さな畑に行くと、確かに穴が開いてある。
俗にいうところの、土を掻き出したモグラ塚というのもある。
確かにこれはモグラだ。
男が調べたにわかの知識の限りではそう思えた。
その巣あたりに男が買ってきた杭のようなモグラ撃退機を打ち込んでおく。
これで定期的に振動を起こして、モグラを追っ払ってくれるはずだ。
それに男が調べた限り勝手にモグラを駆除することは鳥獣保護管理法に違反するため、駆除はできない。
つまり追い払うくらいしかできなかったのだ。
ただ、男もモグラという存在を知ってはいるが見たことはない。
見られるものなら、その目で一目見てみたい、そう思っていた。
しばらくモグラの巣の前で様子を見ていたがモグラが姿を現すこともなかった。
男は祖父の家に入り、食事と酒を振舞われる。
祖父としても、こちらの方がメインだったのかもしれない。
男は祖父の家でもてなされた後、夕方にもう一度家庭菜園の畑を訪れる。
赤い夕陽に照らされたモグラ塚が見える。
そのモグラ塚が動いた。
男は、おっ、モグラが出て来るのか? と期待を膨らませる。
だが、モグラ塚から出て来たものはモグラではなかった。
では何か?
それは顔だった。
人間の手ほど、握りこぶしほどの小さな人間の顔だ。
男は人形でも埋まっていたのか? と一瞬思ったがそれがすぐに思い違いだと知る。
それが話しかけて来たからだ。
それは男に向かい、その奇妙な杭を抜け、五月蠅くてかなわん、と、そう言ってきたのだ。
男はあまりのことで、言われた通りモグラ撃退機を抜く。
そうすると小さな顔は、満足したように穴の中に消えていった。
男はそのことを祖父に伝える。
そうすると祖父は笑う、モグラじゃなくて神様だったか、と。
後日、祖父は畑のそばに小さな神棚を設置して、そこに酒をお供えするようになった。
そうすると、なぜか家庭菜園の畑は良く実るようになったそうだ。
男も祖父の家に行くときは何かお供え物を買っていくようになった。
ただ、それだけの話だ。
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
(ほぼ)1分で読める怖い話
涼宮さん
ホラー
ほぼ1分で読める怖い話!
【ホラー・ミステリーでTOP10入りありがとうございます!】
1分で読めないのもあるけどね
主人公はそれぞれ別という設定です
フィクションの話やノンフィクションの話も…。
サクサク読めて楽しい!(矛盾してる)
⚠︎この物語で出てくる場所は実在する場所とは全く関係御座いません
⚠︎他の人の作品と酷似している場合はお知らせください
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
短い怖い話 (怖い話、ホラー、短編集)
本野汐梨 Honno Siori
ホラー
あなたの身近にも訪れるかもしれない恐怖を集めました。
全て一話完結ですのでどこから読んでもらっても構いません。
短くて詳しい概要がよくわからないと思われるかもしれません。しかし、その分、なぜ本文の様な恐怖の事象が起こったのか、あなた自身で考えてみてください。
たくさんの短いお話の中から、是非お気に入りの恐怖を見つけてください。
百の話を語り終えたなら
コテット
ホラー
「百の怪談を語り終えると、なにが起こるか——ご存じですか?」
これは、ある町に住む“記録係”が集め続けた百の怪談をめぐる物語。
誰もが語りたがらない話。語った者が姿を消した話。語られていないはずの話。
日常の隙間に、確かに存在した恐怖が静かに記録されていく。
そして百話目の夜、最後の“語り手”の正体が暴かれるとき——
あなたは、もう後戻りできない。
■1話完結の百物語形式
■じわじわ滲む怪異と、ラストで背筋が凍るオチ
■後半から“語られていない怪談”が増えはじめる違和感
最後の一話を読んだとき、
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる