それなりに怖い話。

只野誠

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るすばん

るすばん

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 少年は留守番をしていた。
 田舎の大きな家、そこでの留守番だ。

 少年の家ではない。
 叔父の家だ。

 車に乗れる人数制限上、少年は叔父の家で独り、留守番することになった。
 ただこの広く古い家には少年が暇を潰せるものは何もない。
 大きな家で部屋の中でも大の字になっても、どこの壁にも手や足が届かない、ということには少年も気分を良くしたが、それくらいだ。

 それにこの家はどこか不気味だ。
 古い家だからだろうか、家の中は昼でも少し薄暗い。
 電気をつけても、どこか薄暗く不気味に感じるのだ。

 なので、少年は縁側で横になり昼寝をしていた。
 やることもないし、外は猛暑で日差しも強い。
 何よりここは少年の家から遠く友達も知り合いすらもいない。
 やることがないのだ。
 こんなことならゲーム機でも持ってくればよかったと、もしくは最初から自分の家に居れば良かったと少年は考える。

 そうこうしていると、急にあたりが暗くなる。
 少年が空を見上げると、いつの間にか分厚い雲で覆われている。

 そして、ゴロゴロゴロ…… と鳴り始めた。
 少年は縁側から部屋の中に入り、空を見る。
 そうすると、稀に空に稲光が見える。
 少年は目を輝かせて、空を見続ける。

 ゴロゴロゴロゴロ、ピッシャーン、ドドドドドドドドと物凄い音と振動がする。
 近くに雷が落ちたのだ。
 それと共に大粒の雨が降り出す。

 それでも少年は部屋の中から空を見ている。
 何度目かの稲光を見て少年が興奮していた時だ。

 ピンポーン、と家のチャイムが鳴る。
 少年は素直に玄関に向かう。

 叔父の家の玄関の戸は引き戸で曇りガラスだったのだが、そこに映し出されている影は人にしては大きすぎた。
 曇りガラスに映っている影は戸よりも大きい。
 そんな存在が腰をかがめ、玄関の戸を覗き込むような影が映し出されている。

 少年がそれを見てギョッとしていると、戸の外から、アマヤドリヲシタイカラ、ナカニイレテ、とくぐもってはいるが子供の声でそう言って来たのだ。
 少年が茫然としていると、戸の外の存在は、コワイヤツガクル、ハヤクイレテ、イレテイレテイレテ、と、そう言って戸を叩いている。
 だが、玄関の戸は微動だにしていないし、音すら立てていない。
 玄関の前の存在は必死に戸を叩いているようなのに、戸自体は微動だにしていないのだ。
 まるで戸の外にいる奴は影だけの存在かのように少年には思えた。

 少年が何もできず、ただただその光景を見ていると、戸の前の存在は、ハヤクイレロ、イエノナカニイレロ、イレロ、と苛立つように言って来た。
 それに対して少年は、誰も入れるなと言われているので、と、小さな声でつぶやいた。
 そうすると、曇りガラスに映っていた影は玄関の前から去っていくように消えていった。

 その後も少年は玄関の前で呆然としていた。

 そのことを帰って来た両親や叔父に伝えると、この辺りの妖で家に入れると酷い事になっていた、良く追い返せた、と少年は褒められた。
 どんな妖なのか、それは少年がどんなに頼んでも叔父も両親も口を開くことはなかった。

 ただそれだけの話だ。




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